2011年6月〜7月の作品づくりから

バーベキュー
 
はるかが走ってきてなにやら叫び石を投げ始める。
 えりかが走ってきて「あぶないよ、人にぶつかる」とやめさせる。
 「みんな心配してるから帰ろう」
 「心配してない」「お兄ちゃんは階段踏み外すし、お母さん変なこと始めるし、」
 「お父さん、たばこ持って出ていった」
 「さっき市役所に行った、戸籍見たら、私の欄に養子と書いてあった。私は誰の子。中野のうちの子じゃないの」
 ゜中野はるかだし、あたしは中野エリカだし、お兄ちゃんは中野俊之だしお母さんは中野梓だしお父さんは
 「だって」
 なんでそんなことを調べたかというと一ヶ月前の来客から母がおかしかったこと。
 血液型の違いに気がついたこと。
 だから市役所に行ったこと。
 「家族だよ、だって一緒に幼稚園行ったし、滑り台滑ったし、門の所に大きな犬が居てかまれたし、」
 「血が繋がってないから家族じゃない」
 「お父さんとお母さんは血が繋がってないけれど家族だょ。」
 そこへ兄がバーベキューのセットをはこんできて、さらに母が食材を一杯入れたクーラーバックと椅子を持ってくる。
 あきれる姉妹の前でセットが完成火がつけられる。肉を串に刺しながら母が
 今まで言わなくてごめん。かわいくて言い出せなかった。あんたの母さんは工場で働いていた人。
 あんたが来た時かわいくて父さん気に入っちゃって、えりかと一緒に育てちゃえってなったの。
 民生委員の人があんたの行方不明だったあんたのお母さんが見つかったって言いに来たの。福井の方で入院してあまり良くないらしい。
 あいたいって。
 ま、あたしはほんとの母さんじゃないから、自分で考えて、あたしは母さんじゃないから。
 かあさんだよ。
 涙ぐむ母。ほのぼのと肉をほおばる家族。

木を植える
中学校の裏山。生徒達が苗木やスコップを持ってのぼってくる。卒業記念に木を植えようというのだ。
あの太い木は担任の俺が中学を卒業する時に植えた。あっちの木は俺の先生が中学を卒業する時に植えた。
みんな卒業記念に植えているんだ。この山には沢山のさくらがあるんだ。あの先生が植えた木は40年たってあんなに大きくなった。
だからみんなで植えるこの木も40年立ったらおっきなさくらになるぞ。その時みんなで花見をしよう。
だってもう戻ってこれないかもしれない。避難するのは明日だよ。フィリッピンにかえることになってる。
40年立てばきっと戻ってこれる。その時には満開さ。みんな夢を語ってみよう。
私は幼稚園の先生になりたい。お嫁さんになりたい。医者に。看護士に。魚とっていたい。この土地に戻ってきたい。
最後に学校にお礼を言おう。ありがとうございました。さ、麓まで競争だ。

日記
 5才の時母と死別した中学生の女の子、父と二人暮らし。引っ込み思案で、閉じこもりがち。
 ある時、母の遺品の中に日記を見つける。
 母の青春時代。母の冒険を呼んでいくうち少女の心に強さが宿り始める。

ベランダ
 マンションで食事の時、兄かの担任から電話があって学校に行ってない事がばれる。
 いかる父。おまえは俺と同じだ。親や先生に迷惑かけながら生きてきた。
 死んでやる。おう死んでみろ。ここから飛び降りてやる。
 母、飛び降りなさい。でもそれで死んだらそれだけの男と思われるのよ。
 うー。兄は飛びおりられなくなった。

ここからは考察
さて
会話で進行するエチュードがつくれたのはすごい。
先にプロットありきだと図式的になりがちだ。
その状況にはまった者がしゃべりそうな事をさがしている内になにかが出てくると言うのが正しいのかもしれない。

その中で人物がどう変化したかを考えたい。
PSPは厳しくリアルであるが、この30分間によって人物が変化していないのが欠点かもしれない。
兄と妹の持つ状況がこうである、というのはわかるけれど、さらに変化するきっかけとその進展が欲しい。

プリンは冷たい食事から思い出を経て、ラストのプリンによって変化を感じる。食べている姿、きっと次の日があると思える。
これが強い。

ゆうちゃんはもちろん変化を目標とした芝居だ。

カレーとベランダはウエルメイド芝居。よくここまで楽しませる。けれど人間の本当のつらさとは無関係な世界だ。

消える島のようなスペクタクルを考えると人間は記号で終わってしまうかのせいがある。日常生活からふっとわいて出てくる
他からのような言葉が出てきにくい。身近な感じられる世界を作りながらやがてそれが壮大な空気をはらめばいいのだが。

7月11日の考察
ラ・マンチャの男は、夢を三つの次元で扱って臭さを防いでいる。かもスペクタクルでありながらその舞台は
馬追達であり宿の女中であり、なにも派手なことはない。
スペクタクルを感じさせる個人的ドラマかけないものか。

7月11日のエチュードでPSPの次のシーンにチャレンジした班。母が一人になると、離婚届けを突き出される思い出になる。
母が傷ついた一因となるシーンがあるのはバランスがとれて良い。これで三人の苦しさは充分伝わった。
ならばこの先この一家に何が降りかかるのか、そこが勝負になる。
例えば父が帰ってくる。
例えば家賃滞納で家を追い出される。
地震で家が崩れ、その危機を乗り越える時、次の一歩が始まる。
狂ったようになった三人のシーンから暗転。時を経て事件が起きればいい。

日記
生を受けた娘が母を思いやるのは感動できる。
であれば、母の魅力がたっぷりあればいい。どんなことを乗り越えた母なのか。どんな恋をしたのか。
どんな事に戦ったのか。夢中になったのか。運動会があったのか。兄妹達とどんな話をしたのだろう。

プリンとカレーライスの合体はどうだろう。
仕事を失った現業の父。飯だけ用意するが、自分は食わない。
喧嘩ごしのつらい食事。
けれどこの家にはかつて笑いがあふれていた。
カレーを食べ与太話をし小学生の娘をからかい中学生の息子をしかり姉の抵抗にびっくりした。
娘を守るために飛び出した二人、戻って来て、誕生日パーティを始めて収まった。
けれど姉は結局出ていった。兄も家を飛び出した。父は職を失って酒浸りになった。
母は耐えきれず家を出て居った。
数年後息子は戻りまずい飯を食う。そんなところに宅急便が届く。

7月14日の考察
 PSPの一番つらい家族の状況がはっきりした時、いわばここが底であると思う。
となると、次には未来が予測されるとして、まず一番の底で手に楽器を取る設定を入れてみた。
子供が幼かった頃、家族で楽器をどんちゃんやって騒いでいたかもしれない。
兄の心は少し落ち着く。暴れてひっくり返したノートなどから自分が書いていたイラストを見つける。
みつめる。黙ってペンを取り書き加える。点描を始める。母は疲れ果てべったりと座り込む。
妹が戻ってきて兄を見つめる。「PSPの後は漫画?」といらだっているが、やがて、試験勉強に取り組む。
母はまた楽器を鳴らす。兄妹が振り返って見つめる。暗くなる。
 集合住宅に住むやかまし練は最近静かになった。兄貴の方見かけなくなった。死んだのかしら。もうすぐお祭りね。
などと井戸端会議。
 母と娘が喧嘩しながら戻ってくる。母がまた仕事を変わるという。また給料が下がるに決まっている。
娘は私のバイトに頼るなと切れる。兄はまだ漫画を書いている。ポストには電気やガス、もろもろの請求書。
ふとその中に、出版社から兄宛の手紙。変なところで借金していないだろうねと疑う妹の前で、兄は佳作に入選したと
驚喜する。

 というのをちらっとやってみた時、成功した瞬間にさーっとしらけた。客は登場人物が幸せになることを望んでいないのだ。
いっぺんに話が軽くなりそれまでやっていたことがふっと吹き飛んでしまう。
 だから前半に楽しい家族を示し、その中で暗い未来を暗示する。母の行動なり父の表情なり、隙間に入り込むことに
不安を感じ始めると、事件が起き、一は崩れていく。そしてPSPが始まる。
 そこに祭りの要素を入れる。人々にとって復興を祈る祭り、寄付、お手伝い、この家に迫ってくる、外部の華やかさが
この一家の悲劇を際立たせていく。 

7月15日のチャレンジ
今日の班は初め食事中に電報で赤紙がつく。ダメだね。ごはん作ったけれど娘が食べないで出て行く。ダメ。
起承転結を考えて、例えば
清水公園で体操する、ちゃっと切り上げて走る。ぽんぽんと最初の競技、危険にあいつつ次へ。水上輪わたり。
そして水上ターザン。クリアした男子の後は次から次へ落ちる。大笑い。ところが水からあがったら眼鏡がない。
泣き始める美代。眼鏡ぐらいで泣くなよ、と冷たいメンバーは次の競技に必死。残ったのが慰めて。
回りきって戻ったらまだ泣いてる。泣くな。付き添っていたのが怒ってもぐれ、とれ、男二人いやいや水中で悪戦苦闘。
やがて眼鏡が手に引っかかり、無事本人へ。泥を洗って、見える?うん。あ、夕日だ。帰ろう。
と起承転結にこだわった。そしたら

 小学校5年の時、公文の宿題をやらないでやったよと嘘ついていたら、隠しておいたプリントが見つかった。
父には殴られ、母には玄関際に追い詰められ、二階からランドセルやら筆箱やら投げつけられ、あげくに布団を二階から投げつけられ
気を失いかけたところをドアから閉め出され、公演で暫く泣いていたら、冬で寒かった。母が弟とやってきて、あやまったら「はい」と
靴下だけ渡して帰って行った。泣く泣く家に戻ると今度はドアの外でココアを渡されてまた閉め出された。12時過ぎに、やっとドアを開けてくれ
「今日は、はいりなさい」と入れてくれた。
 それ行こう!とエチュード作り、ラストの発表で大笑いをとり、アンコールに清水公園までやってのりのり。真っ暗な班の再生でした。

 そのあと、残業でひみこにチャレンジ、悪戦苦闘、なんのストーリーも浮かばず、哀しく馬橋を後にした。

7月16日(土)のチャレンジ
 稽古はプリンとカレー。祖母とバカップルが登場。祖母がただ邪魔者としてしか居ないので、まずここを手直し。バカップルを長女の秘密を暴く役として使用。
母が重要な役を果たしていないのでここもポイント。
役割が見えてきたところでキャスト変更。
 兄妹に飯を食わせている父。息子の仕事に文句をつけ、娘の交際に首を突っ込む。二人が去ると眠る。
母がリードして3人兄妹が父を起こしカレーが食卓に並ぶ。電車の中の化粧の話し贅沢は敵だとの話し。高級香辛料を取り寄せた長女に食卓はさらに盛り上がる。
そんな所に隣に住む祖母がカレーを作ったと持ってくる。食べ比べるとこちらの方がはるかにおいしい。いずらい母。
そこにバカップルが大島の海の宿が取れフェリーも予約したと長女につげに来る。5泊6日楽しみだ。長女が買った水着を見せろと大騒ぎ。
 父は5泊六日って、有給か?と問うがはっきりしない。バカップルが会社やめたんじゃないのと漏らしたところから父の怒り爆発。
バカップルは退散。父は娘を問い詰める。なかなか白状しない娘に業を煮やしたばこを吸いにベランダに。母の優しい言葉に娘は「会社でセクハラ……」
それを聞いた父は怒って飛び出す、母も飛び出す。残った祖母が聞く、本当かい?セクハラしかけたら首になった。だって本当に好きなんだもの。
結婚している人かい。やっぱりついていきたい。
 戻ってくる家族。とにかく落ち着いて明日以降作戦を立てる。長女は断る。なんでと問う父に「聞くな、私に任せなさい」と祖母。
説得された頃、誕生パーティ。贈り物、花、そしてプリン。このプリン食べると年をとるのがいやでなくなる。と父大喜び。
来年への夢を語ろうと夢話。
弟妹が居なくなった時、再び長女と父の喧嘩始まる。娘はさり、妻が戻ってきたとき、会社つぶれたと妻に言う。
そしてプリンへ戻る。

何故こんなに暖かい家族が壊れたのか、はっきりしない。嫁と姑も許容範囲だし、夫の会社がつぶれたぐらいで妻は出て行かないだろう。


PSPは子供とよく遊ぶ父、でも夕食にポテチを食わせるようでは無理、また、仕事を気楽に辞める母という場面が一幕としてついているが、
母の一幕と二幕の落差が出ていない。何故父が逃げていったのかわからない。

7月18日(月)のチャレンジ
 プリンのオープニングを縮小バージョンで稽古している。それではこのかわいそうな男の話はわかる訳がない。
決定的な瞬間のエチュードを開始する。夫婦喧嘩を始めた。夫婦喧嘩をするぐらいでは離婚はしない。なぜ別れたと思う。
収入がなくなったから。貧乏では別れない。相手にしてくれないから。口をきかない夫婦だって居る。
 経験を話して。6人目に痛烈な話が出た。それを聞いて確認してから、エチュード開始。はじめは妻が電話している時に「おいビール」などと言い始めて失格。
2セット目、メールを隠したところから、それを見つけてスタート。小道具がいつの間にかよその男からのプレゼントに変貌していったが、傲慢さが見えたところで
爆発。サインと印鑑を求め子供を呼び出し、夫は崩れ初め子供達は緊張そして泣き始め、妻も夫も涙を流してエチュード完了。
 涙が収まるのを待ちながら台詞を確認。どんな言葉をどんな順番で吐いたか、何をしたか、班全員でチェックして紙に書き起こす。
全て書き終わって軽く読んだところで、夢と現実の組み合わせ構想を発表。夫が寝ると、過去の楽しい思い出が次々と沸き上がってくる。
お祭りの記憶も鮮やかだ。思い出が夫をたたき起こし、祭りの日、この日は夫の誕生日でもある、その日のカレーが始まる。
 カレーのシーンは16日(土)にやったものをとりあえず使うとして、そのあとの変化を再び夫が眠ったあと、祭りの幻想とともに復活させる。
ただ子供達は成長し、妻の健康は少し下がる。母も他界した。そして破局のシーンへ。
 そのあとの眠りで、兄が高校をやめ、長女はすさんだ父に嫌気をさして出て行った。
そしてラストへ突入する。
 カレーのハッピーさから少しずつ壊れていく家庭、それをはっきり見せたあとのラスト、極限の孤独から残ったものはなんだろう。三人はそれでも一緒に暮らしていると言うこと。
生きていると言うこと。それは次のステップが必ず訪れると言うこと。その最終段階に達するにはまだまだ工夫が必要だ。


7月19日(火)のチャレンジ

 わずか一時間の稽古。はじめ厳格な子育てをしたいお母さんのエチュード。暗くなりただすすむだけ。
明るく楽しいから始めよう。その中で芯のある母と母の短所が見えればいい。16日の主食ポテチには納得できない。
スーパーで買ってきた総菜を皿に空けないでそのまま食卓に並べる母に設定変更。時間の節約と皿洗いなどの節約。
割り箸まで古いのを再使用。そんな食卓が外で働いてきた夫には我慢できない。皿を出せ。無駄は省く。だめ出さなくて良い。
食べ物は舌だけではなく目でも味わうものだ。有田焼でも良い、立ち吉でも良い、少なくても良いから、見た目良く並べよう。
どうせ口の中に入ってしまえば同じでしょ。この間福原さんの所によったら、備前焼のお皿にお魚がちょこっと載ってさんしょの葉がそえてあって、
そんな器もったいない。最後に出てきたお茶だって萩焼の七化けっていうの網目模様が。紙コップで何が不満なの、紙コップの使い回しはやめろ。
心の贅沢はやめて。もう俺は食わん。ちゃんと皿に出るまでは。何を今日に限って、たいした稼ぎもないくせに。食べちゃおう。お父さん食べよう。
おいしかった。マルエツも捨てられないでしょ。東京駅のデパ地下ではなあ。口に入ったら同じ。片付けるね。
 お父さん、買ってきた?ああ。おかあさん今日は何の日だ。お誕生日おめでとう。
わー、バースデーケーキ。はいこのチョコ板はお母さん。四つに分けよう。はい、はい。おいお皿だそうよ。
汚れるでしょ。結婚して最初の三ヶ月だけだ、お皿出てきたの。はるかとマサがうまれてからないね。
あのな、俺、会社やめる。どうするの。福原さんとなパン屋を始める。パン屋?どこで。この家を改造して、奥の部屋に釜を入れて
じゃああんパン食べられるの?メロンパンも。父さんは学生時代パン作りにあこがれてドイツに修行に行ったんだ。でも親や兄妹に反対されてな今の会社に入った。
でももう人にぺこぺこするのは耐えられん。ドイツのパンを中心にな。開業するお金なんてない。福原さんと半々に出資して、うちの親からもおまえの父さんからも少し出してもらって
うちのお父さんは堅実なことにしか、いいよ、なんとかなる。多数決で決めよう。家族会議だ。パン屋を開くことに賛成の人。反対。三対一だ。パン屋の名前は?
麦や、シュプレーゲルだ。
 半年後。おーいめろんぱんだぞ。レーズンパンもある。ツイストもハムコーンもカレーもある。わーい。
また全部売れ残ったの?全部じゃない、ピザパンは5つ出た。どうするの、この借金。店あけてすぐスーパーができるなんて思ってなかったんだ。
その中のパン屋が評判良くてな。店の内装だってあんなにお金かけて、ドイツバイエルンの田舎屋風?見た目が大切なんだ、そこで買いたくなるような、
だれも買いに来ないじゃない。どうするのうちはもうパンしか食べてないの、明日借金の利息だけでも返さないと大変なことに、わかったこのパン売ってくる。
どこで。駅前で。利息分ぐらいなんとかなる。僕もいく、あたしも。なる訳ないでしょ。もう。

 というような約30分でエチュードを作った。全員の前での発表では父のりみちがぐだぐだでよくわからなくなってしまった。

価値観の違い。でもまとまっている家族。見た目や夢を大切にする男の夢が壊れた時にPSPが始まる。
肝心なことは、一人一人の登場人物を客がどのくらい愛する事ができるか。そして悲しみを共有し未来を夢見るかだ。

7月20日(水)のチャレンジ
 今日も台風が心配されるとのことで昨日と同様の予定でスタート。
今日は日記の班。まずは見せてもらう。たかはるのうそ事件をやっている。なぜこれをやるの?
のぐの思い出の母がどんなに素晴らしかったか、そのいきざまを追いかけるのじゃなかったの?娘が見てその特殊な美しさを発見しなければ。
一人一人に母を語ってもらった。派手な格好します。絵がうまいです。うちの中ではお茶目だけれど会社では大人。
介護に責任を持って12時間も自転車で徘徊した人を探しました。尊敬できます。
4人兄妹の末っ子だったけれど、早くに母をそしてやがて父もなくして子供達だけで育ちました。
子供達は決めごとを持って居ました。毎週一回辛いものパーティーをやっていたそうです。
 それだ!
4人兄妹が八百屋に買い物に行くシーンから始める。八百屋にはお客が一杯。一家を支える姉は値切りに値切ってカレーの具を買い整えていく。
もちろん妹弟が八百屋の親父におべっかを使う。家に帰ると末娘が料理を仕切る。4人で包丁同時に使うとやがてそれはナンタに。
盛り上がって炒めて水足してルー入れてかぶりつくと辛い〜。私は辛くない。私はからくない。わたしはつらくない。
おかあさんは日記に辛いと辛いをかわりばんこに書いていた。ちょっとお茶目。
 あるとき末娘が絵を描いている。姉がその出来の良さにびっくりしていると「美大にいきたい」と相談を受ける。
兄も資金面で応援する、下の姉も応援すると宣言。なにせ絵がうまいのだ。でも結局末娘がバイトをして4人で美大卒業を果たしたのだ。
 ある時名古屋から新幹線に乗った時、満席で末娘は座るところもなくふらふらとしていた。図面のいくつかを名古屋に届けた帰りだった。
新幹線が遅れ、もう限界でふらふらとした時、「ここに座って」と堅いスーツケースを椅子替わりに出してくれた人がいた。
スーツをキチッと着たサラリーマン。一言二言言葉を交わすうちに二人は仲良くなってしまう。
 あるとき二人はジェットコースターに乗った。豪快に園内を駆け巡る。キャーキャー言う末娘。終点についてふとみると横の彼は気絶していた。
 あるとき二人は隅田川の花火大会に行った。ナイアガラ。スターマイン。2尺玉八重心の錦。きれいね。このきれいな花火を毎年一緒に見よう、死ぬまで。え…。
 あるとき二人は買い物にふっとおなかが動いた。
 あるとき久しぶりに4人揃った兄妹。末娘のお腹の子を祝うとともに安全な出産を祈る。
 あるとき二人は病院に行った。
ここまでをエチュード発表。
そして、二人にとって最大の試練が来る。ここからがこの班の最大の難関になる。

7月21日(木)のチャレンジ
 台風が過ぎて朝から各班の自主練。10時からマキダンス。14時から発表会。
 まず日記。八百屋から、昨日と同じ台詞を無理矢理言っていてもはや無茶としか言いようがない。絵、新幹線、花屋敷、花火も同様、台詞を覚えて言うだけで
実感を持つメンバーがいない。いよいよ本題に入った病院のシーンがものすごく雑で、相談でもなんでもない家族シーン、劇になっていない。20分。

 PSPのパン屋、キャスト変更した上で成立するかどうかもポイントになった。
母役、エアロビ・食器論争・ケーキ・パン屋騒動、別のあり得るキャラとして可能。父役も少しは抑えられたので一昨日よりは良い。売れ残りパン。
そして噂。重要なのはここで引っ越しが起きて部屋がりがはっきりすること。
PSPが始まる。こなれた展開となっているが、やはり出口がない。37分26秒。ということはあと20分の展開がなければならない。

 焼酎をあおって食事をしてる子供に絡む男。
酔いつぶれると、祭が通過する。それは現実でもあり、夢の中でもある。夢の中に、母や恋人や、子供達が祭のキーワードに囲まれて現れる。
幸せな思い出のかけら。祭りの山車に押しつぶされる悪夢のあと再び軽妙な思い出が忍び寄ってくる。
 カレーを食べた日、男が子供達に気を配り、母に守られ、妻にいろいろともらっていた。この話がややばたつく。木に竹をつないだ形で、無理があり
スムースでない。全体が見えてきた今、ここをゼロから作り直した方が良い。誕生日祝いからプリン。娘との会話。ここももっと深められるはずだ。
過去にあったこと、他の家族への思いやり。それが妻との会話を導き出す。どうしても言わなければならない気になった。また首になった。今度はちゃんとやりたかった。
思わず言い合う二人。ここの締めに大きな工夫が必要だ。
 眠ると再び祭、妻の感謝の言葉。長女は家を出なかった。長男の成長、末娘の甘えも気持ちいい。母の死。家族の流れが断片的に現れる。
そんな中、電話の音が夢に現れる。妻が電話している。なにやら贈り物を持って。気がついた男が責め立てる。
妻が体を痛めていた時にも何もしなかった。そんな辛気くさい顔するな。言い争いの中から男は贈り物を切り裂く。
妻は離婚届けを取り出すサインを迫る。驚く男の前で妻は寝ている子供達を呼び出し座らせ「お父さんとお母さんのどちらについていくか選びなさい」と迫る。
男はもうただ謝り始める。「もう遅いのよ。」と妻。子供達が選んでは部屋に引き込む。妻は子供達の貯金通帳を机において去る。
 男は離婚届けを引き裂きテーブルにつっぷす。重い祭り囃子の中で長女の宣言「お父さんだらしなさ過ぎる。」
 男は酒におぼれる日。次女がやめてと訴える。次女にも捨てられる。再びつらい祭。
 宅急便が届く。妻からの宅急便。手紙。そしてプリン。うまい。祭り囃子。「まだまつりやってるか。」
祭に行くかもと思わせつつ 51分45秒。
 実体験が入っている部分がシャープ。
前半を無理ない展開にし、ラストをもう一工夫加える必要がある。だが、ここまでの事から考え、これを秋作品の土台とすることが良いだろう。いだろう。


7月26日(火)のチャレンジ
 まずは残留隊の発表。男と女の見合い。次にプリンを食べる。前回のを繰り返し余計な台詞をしゃべりだらだらとしているだけ。意味がない。
 次に東金隊の報告。幕パネの作り方。木の切り方。パンチの切り方。張り方。三角台の作り方。凸凹壁の塗り方。黒書きの塗り方。
 カッターの使い方。鉄さびの作り方。

  次にエンディングについて即興。3〜4人ずつに別れ5分考えたあと1〜4分の発表。
  プリンが二個しかない。息子が酒を飲もうという。浴衣が二つ送られてくる。など。

 男・一夫  工作大好き人間がたいした勉強もせず、高校タバコと喧嘩で退学。
         あれている時代に美子と出会った。
         酔っぱらいに絡まれている美子を救い出したがあまりの美しさに自分を恥じ名も告げず去った。
        意外と近くに住んでいて美子を見かけた。まともな姿をしようと無理したがちぐはぐ。
        せめて花でも贈りたいと工事現場で働き、プレゼント。
        とび職などの仕事を転々とし現在はペンキの腕を認められ仕事が入る。
        子供達が大好きで子供の運動会では夢中になって走って転んで大けがをしたこともある。

 妻・美子  東北から出てきて東京で働く。一夫の不器用なアタックに笑うことしばしば。でもクリーニング店で働く美子にはそれが一番の楽しみとなった。
        子供が三人生まれて大忙し。旦那は安い給料なので全国あっちこっちの現場に向かって不在の日も多い。
        それでもこの家が保たれているのは美子が節目節目の日を大切にしているからかもしれない。
        正月には正月の飾り物。二月には節分。三月にはひな祭り。どんなに安いもの、紙のおひな様でもきちっと折って飾る。
        そんな貧しいながらも暖かい母に育てられ子供達はすくすく育った。全員の誕生日には特製のプリンが振る舞われる。
         夫もそんなプリンが大好きで「これがあるから年をとるのがいやでなくなる」とさえ言わしめる。

 そんな一家に不幸の風が吹き始めたのはいつからだろう。バブルがはじけ一夫の仕事は確実に減っていった。
 家のローンの支払いに美子はパートに出ざるを得なくなった。姉は大学に進学する夢をはぶかれた。ローン返済に追われる父と母は仕事ですれ違うことも多くなった。
 何よりまだ小さい末っ子は学校に忘れ物をすることが多くなった。兄も病弱になってきた。
  そんな中、姉はついに会社を辞める決心をする。豪華に振る舞った食材があらたな問題を引き起こす。

基本は一人一人がどんな人間かと言うこと。
中卒で一家を築いた男が何故壊れたのか。
社会の実状を混ぜながら
がんばって報われない人たちの小さな幸せ、
そして決して小さくなんかない宝の幸せを描く事

大切なものを失ったあとに残るもの 
それは何?
それは残ったもの達の生きる力。

そんな生きる力を伝えること。

男・女・そして一人一人の登場人物の幸せを予感させること
それがねらい

7月27日(水)のチャレンジ

 3年を中心として2年生を加えたA班、2年と1年でサブキャストとなるB班、裏を中心にエチュードによって場を作るC班に分ける。
 A班で語り合う。

 母についていきたかったと父を非難する末娘、なぜそんなに突っかかったのだろう。
 あたしはお兄ちゃんのようにならない。お父さんのようにならない。あたしの勉強の邪魔しないで。進学の邪魔しないで。

 数日後、父は学校に呼び出される。ものすごく勉強して学年順位が3番になった。
 けれど気になることがある。教育相談のカウンセラーから話を聞く父。
 学校で暴れた末娘。高校を中退した兄、レーズンパンしか食べられなくなった兄、膝を抱えゲームとアニメに逃げ込もうとして
 みんなにいじめられた兄、そんな兄が居ることをからかわれ、そして、出て行った母をからかわれた。
 男作ったんだよ、絶対。残された親父ってこんな馬鹿面してるんじゃない。だから暴れた。
 まけない。絶対にお兄ちゃんのようにならない。とぶつぶつつぶやいている所を助けられたんです。
  先に手をだしのは娘さんです。ですがまわりの生徒達にもそれなりの指導をしました。ただ不安定で壊れてしまいそうです。
 お母さんが出て行ったことが彼女に。私が悪いんです。私が悪いんです。悄然と教育相談室を去る父。

 何日かして宅急便が届く。手紙と器。

 母がよこした手紙には何が書いてあったのか。
 お誕生日おめでとう。のみ。
 それを受け取った末娘はどう感じたのか。
 オリジナルキャストのちー、嬉しかったけれど悲しかった。

 もとの旦那の誕生日に手間暇かけてプリンを作って送る。
 かあさん、もどりたいんじゃないのかな。さいとうさんとうまくやっているのかな。
 男の哲学はそれを許さない。一度選んだことは全うしなければならない。

 私おかあさんのようにならない。勉強を始める末娘。
 食べよう。兄が勉強をやめさせる。
 食べ始める三人。おいしい。そして悲しい。

 わたしみんなのようにはならない。
 そうか。


 おやじ、息子が木の箱を出す。オルゴール。どうした。親父の作業場の残りで作った。
 だってこれは、立派な出来だ。親父の子だよ。

 姉が帰って来る。何しに来た。あ、やっぱり来てる。もう一個あるでしょ。おいしい。
 肉屋でとんかつ上げてるかあさんにあった。とうさんの誕生日覚えていたよ。
 あたしブティックのお店にいるの。かあさん今度ピアノの発表会にでるんだって。小さな小さな会だっていったけれど
 お店のドレス買ってあげた。
 ピアノか。
 ひさしぶりだなこのプリン。
 ああ。

 父さん、プリン好き?
 世界で一番?
 いや二番。
 父さん誕生日
 やめろ
 はっぴ。うちの店の隣が和装のお店。とうさん、おまつり行こうよ。
 プリンのあとはお祭りだ。
 うん。
 量多いね。かあさんプリンだからな。
 うん。
 
7月28日(木)のチャレンジ

 A班。オープニングをつくる。
 不思議な音とともにスローモーションで入場してくるとそれがみかぐらそしてこの地の祭のはねとびになる。
 一夫は真ん中で踊っていたがやがてみんなに殴られ倒れる。

 気がつくと酔って座ったまま寝ていたらしい。手元に踊りの錫杖が転がっている。こんなものを見つけたから変な夢を見た。
 焼酎をあおり、食事を載せた皿を二つだし、子供達を呼び出す。食え。
 兄はPSPを始め口げんかとなる。はるかのいらだちで食事が始まる。
 男の愚痴が始まる。そんなものしてねえで仕事しろ。娘には学校行ってるか。男は居るのか。手なんかつなぐのか。
 娘が「仕事して」。「派遣の仕事がこねえ。」
 「仕事あっても遅刻したり、喧嘩したり、遊んでばっかり。遊ぶ兼ねなくなるとあたしの財布からお金持って行くでしょ。」
 「うるせえ。」
 「そんななんだから姉さんも母さんも出て行っちゃったんじゃないの。」
 兄妹は出て行く。
 男はいらいらして酒。疲れ果て、ふと錫杖をふるうと、祭太鼓の音がして、スローモーで家族が現れ、お祭りに。
 金魚すくい。浴衣きれい。輪投げ入った。焼きそば食べに行こう。お面買っておじちゃん。よその子はでてけー。

 と、

 時が逆に流れ、思い出はさらに若返る。一夫の幼児の頃。美子とのデート。小さかった子供達の甘え。ゼリー食べたでしょ。
 プラモデル出来た。リレーの選手になったから靴買って。また音楽に乗って時がぐんぐん過ぎていく。

 長女が祭の踊り手としてデビュー、一夫がその相方、母と兄妹が楽器。
 親父はそうだそこで右、けって、回ってと楽しそうな寝言。
 踊りが盛り上がったところで、時が流れていく。
 親父は、そうだそうだと、幸せそうな寝言をまだつぶやいている。
 思い出達は集合し、ある年の祭、つまり親父の誕生日の出来事となる。


 男が寝ていると贈り物の箱を見てびっくりしながら妻が入ってくる。電話。夫の顔色をうかがいながら部屋の外で受ける。
 ペンダントにイニシアルが入っている。と聞いてみてみる。ある。食事に誘われる。スケジュール帳を取りに部屋に戻り、テーブルにネックレスを置いたまま
 再びベランダで電話。夫が起きて不思議そうに話しかける。なんでもないと答える美子の前にネックレス。すっと隠したところを見とがめられる。
 なんでもないと言っている間に、男が焼き餅を焼き始める。口汚くののしる様に「あんたはこんなものをくれたことがなかった」と反撃が始まる。
 あたしが腰を痛めた時だって、息子が悪さをして学校に呼ばれた時だって全部私一人。ちょっとぐらい。
 何が人の女房にこんなもの送る男なんてゆるせねえ。こんなもの、とネックレスを引きちぎる。
 なにするの。おめえに色気なんかねえくせにこんなものいらねえだろ。
 美子は突然動き出す。つかつかつかっと棚から書類を取り出しテーブルに置く。サインして下さい。
 なんだこれ。あたしはもうサインして判も押しました。あとはそちらだけです。
 まて。
 子供達を呼び出す美子。喧嘩の気配におびえていた子供達出てくる。すわらせる。
 お父さんとお母さんどちらについていくか決めなさい。
 末娘が母を選び、姉娘は父を選び、兄は混乱してとびだす。
 子供達の預金通帳と印鑑をおいて女は出て行く。

 B班 舞台図 @四角の二重舞台の奥にすける壁。壁の奥には提灯。
          Aスロープの手前に骨組みだけの家のセット。頭上に提灯。
          B舞台前方間口一杯にずらりと並んだ提灯の壁。奥に袖から袖までの6尺高の透けて見える塀。

 C班 舞台図 @書き割りで囲まれた部屋の上空に、6尺高の空間。そこでいろいろな芝居が展開される。
     エチュード 妹が家出して滑り台の上に固まっている。現象のみ、エチュードになっていない。
            このときの妹が気持ちを暴露して行くなり、家族の秘密が暴かれていくなら価値はあるが。 

7月29日(金)のチャレンジ
 A班 自力では恐竜から始まってる。ダメと思いつつ始めたら最後までとほっておいたら働くのではなくデザインに行きたいとという結論にいたった。
  しきり直し。
   お祭りの夜からスタート。 金魚・水飴・輪投げ・焼きそば・お面までは男抜きで実施。
  時をさかのぼって男の幼児時代になった時、思い出達が男を巻き込むことに。そしてデート。
  役者の都合により焼き肉食べ放題に。そのまま20皿食べきったら無料にチャレンジ。女派はがばがば食べ男はげんなりと苦しむ。
  けれどそこにエンゲージリングという結論。
   そのシーンの思い出からプロポーズの返事のシーンへ。まだ苦しい。長女のロールケーキ食べちゃった事件。
  長男の飛行機の模型完成。末娘のリレーの靴。そして祭の出し物、馬踊りに。夢中になって踊る長女に拍手。
  親父は「合格だ。」と繰り返すうち眠ってしまう。

  音楽でブリッジされる。
  兄妹と母が男を起こす。今日のごはんはなーんで。カレーか。愛情たっぷりカレー。
  今日帰る時に電車の中で目の前に座っていた女がいきなり化粧を始めた。
  おれに唇つきだしてこんな顔をして、俺は腹が立つ。人間は相手への気配りが必要なんだ。
  高そうなバックもって、なんだブ、ブ、
  ブルガリ?
  そうヨーグルトみたいなバック、高いんだろ。日本人はいつからそんな馬鹿で贅沢になったんだ。贅沢は敵だ。
  かおりは?下の玄関についたって言うからもう来るわよ。ただいま。おう。
  父さん、ま、一杯。お、気が利くな。じゃ僕も。おまえまだ幼稚園生だろう。中学生。二年生。
  食べましょう。いただきます。おいしい。
  おー、これは丸の内に行けば1200円はするぞ。
  食べたの。丸の内で働いていた時な。父さん丸の内で働いていたの。ああ、丸の内の壁は俺が丁寧にペンキを塗った。丸の内は俺が育てた。
  そうだ。わたしすごいもの買ってきた。じゃーん。本場インドの香辛料セット。レジェンドアールティインディアからの直輸入品。日本では滅多に手に入らないの。
  いくらしたんだ。5万円。
  馬鹿者、そんなただの粉に、じゃいらないのね。ちょい。一振り1000円かな。かけてかけて。俺もかける。
  うまい。
  ほんとだ、一振りで変わる。こっちのもかけてみる。ああ、そんなに。おほ、真っ赤だ。父さん何かけたの。ハバネロ。あぅーーー。みみみ。
  あ、それ焼酎。ああああ。
  死ぬとこだった。はるか、学校面白いか。好きな子でも出来たか。お、その顔はいるな。そんな山田君となんか何でもないよ。山田君ていうの。
  おいねその山田とはどこまで行ったんだ。まさか、セクハラまがいの事されてないな。そんなときは俺に言え。ゆるさん。とうさん。セクハラする奴も最低だが
  されて黙っている奴も最低だ。いいか。さ、どこまで行った。そんな山田君に消しゴム借りただけだよ。おまえはどうなんだ。え、僕は何にもない。
  お兄ちゃんが公園で女の人と会っているの見ちゃった。ほう、やるな。ごめんなさいって言われてた。ごめんなさいって。ごめんなさいって。
  やめてよ。とうちゃん、俺来年修学旅行行っていいの。もちろん。あの先生に先月お金が振り込まれなかったって言われたんだ。
  あ、ごめん、私先月ちょっと忘れちゃって。そうだ、心配するな。うちは父さんと母さんとそして香織も働いてお金を作っているんだ。心配するな。
  あの、さ。なんだ。あの。ピンポーン。はーい。あ、おばあちゃん。
  はい約束通り来ましたよ。一夫、いいもの持ってきたよ。なあに。おまえの大好きなカレー。あ……。あらあ。かぶっちゃったね。
  おばあちゃんのカレー食べてみたい。おかわりする。俺も。おいしーい。お肉とろとろ。なになんなのこれ。
  高校受験に失敗してないていた時もこれ食べて元気になったんだよ。
  お母さんのを食べてみる。そうだね。あ。ああ、不思議な味だね。
 
  ピンポーン。おじゃましまーす。あ、でれでれとゴンゴン。こんちはおじさん。あのさ、大島行きのチケットとれたんだ。え?あの五泊六日。大島の海の旅。
  やったあ。明日からだよ。明日から5泊の海の旅。いえーい。あの水着で泳ぐんだろ。え。ほら携帯におくってきたじゃんこれ。
  みせてよ。やだあ。どっちにあるの。あっち。おい、大島って?ああ。うわあ、この水着すごい。これでどこ隠せるの?あたしも着てみたいわ。おばあちゃん似合うかも。
  明日から二人でいくのかい?ううん香織と三人で。だって会社は?有給とったの?
  だって香織会社やめたて遊びに行きたいって……あれ、これまだおじさんに言ってなかった?
  おいどういうことだ。会社やめたって何だ。
  あらー、口滑らせちゃったみたい。いけない、お口ミッフィー。さよなら。
 
  どういこうとだ。どうして会社やめるって、おい。いいでしょ、私のかってでしょ。なんだその口の利き方は。いいか物事は続けることが大事なんだ。
  ペンキ塗りだって、地道に何度も何度も重ねて縫って、勉強だって続けるからこそ合格するんだ。模型作りだって寝ないでやったからあんな立派な賞とったんだろ。
  おまえだって中学3年の時お祭りでみかぐら踊ってみんなに拍手浴びて、あんなにつらいつらいっていってでもがんばり続けたから楽しかったんじゃないのか。
  つらい事があっても続けるから乗れ越えられるんだ。恋愛だってそうだ。一人に決めたらずっとそれを守るから、たとえ何かがあっても自分で決めたことはじっとやり通すから良いんだ。
  やり通すから。言ってみろ。なぜやめるんだ。
   まったく俺はそんな根性なしにそだてた覚えはない。そんな変な情けない奴に育てた覚えはない。いったい誰に育てられたんだ。
  ちょっとそれじゃ私が悪いって言うの。

  おまえこのカレーに何を入れた。
  隠し味でめんつゆ。
  めんつゆが隠れてねえんよ。これじゃめんつゆ風味のカレーじゃなくて、カレー風味のめんつゆだ。こんなもの食えるか。
 
  ちょっとここでタバコすわないでちょうだい。俺のうちだ。俺の勝手だ。天井のタバコの脂を掃除するのは誰。ベランダ行って。けっ。
  あ、お腹痛くなってきた。トイレ行ってくる。
  かおり、どうしたの。何かあったの。はるかはおばあちゃんと買い物行こうか。いい。何があったの。あたしね。うん。
  紙どこ、なくなってたよ。棚の上。あ、そ。
  どうして会社やめたの。
  会社の上司にセクハラ
  セクハラ?!会社の上司に。おい、ななんだと。ゆるさん。うちの娘に手をつけるなんてゆるさん。丸の内の田中だな、おれが一発。
  とうさんやめて、うるさい。やめなさい。あたしが行ってくる。かあさん。 
  どうしたんだい。おばあちゃん、あたしの会社の上司にセクハラ仕掛けたの。そしたら首になったの。
  セクハラしかけ。そんなんじゃないの、でもずっと一緒に居ようとしたら、
  好きなのかい。その人。奥さん居るの。子供も。奥さんが会社に来てあたし……

  やめた。やめた。今日はやめた。いいか香織、あした父さん会社に行ってくるか。あたしも行くから。いかなくていい。
  だめだこういう事ははっきりしないと。いかなくていい。だめだ。あのな。娘の言うことを聞きなさい。おかあさん?
  あんたは娘の決めたことが信じられないの?だってかあさん。私の言うことが聞けないって言うの。それは。
  あんたのおしめを替えたのは私です。あんたがお湯の中に使って気持ちよくなっておしっこをちゃーと出した時、かぶったのは私です。
  私の言うことが聞けないって言うの。あんたの娘の言うことを信じなさい。……はい。
  そう、それでいいの。あんたはわかれば素直だからいい。あんたは良い子だ…あ、あれ、あれ、わたしが今日ここに来た理由、美子さん。美子さん。
  良い子になったみたいだからいいんじゃない?
 
 あ、そうですね

7月30日(土)のチャレンジ

  A班のラストの立ち 台詞の順番を変える。

 C班通し 5分 旦那が妻の携帯に出てしまう。不倫相手からの誘いの電話。問い詰めて別れ話へ。
 B班通し 37分 セットを変えることなく話が展開するので緊迫感がある。夫が中央の机に突っ伏して時がたち起きたところに空気が変わる。
       @だらしない、情けない親父が、夕食時、息子と娘に話しかけている。
       A父親の誕生パ−ティ、ハンバーグの日。盛り上がったところで父親会社を辞めてパン屋を開業することを宣言。子供達はお喜び。妻反対。
       B今夜の夕食はパンの残り物。毎日毎日パンの残り物。開店して半年後に大手のショッピングセンターが出来、そこにパン屋が出来たのが主因。
         1000万円以上の借金を抱えている。
       C妻は10時過ぎに帰宅。着ている服がずっと良くなっていて胸にはネックレス。夫は妻を疑い、妻の浮気をなじる。
        借金重ねて廃業した上に飲んだくれている夫と口論となり、妻にかかってきた電話で一気に離婚届けにサインをするしないになり。
        子供達が呼び出され母か父か選ばせられる。
       D飲んだくれている父。娘が帰ってきて娘の財布の中身を抜き取ってるだろうとなじる。息子も飲んだくれ親父を許さない。
       Eどうしようも内日々の中、宅配便が届く。プリンが届く。

 A班通し 77分 前半の妻が会話成立せず前半どうしようもなく落ち込む。60分を過ぎて妻が居なくなってから一気に芝居が絞り込まれて緊張が続き涙。
       @祭りで男が踊っている。回りが殴りかかる悪夢と変わる。
       A悪夢から目が覚める。手元に踊り鈴が落ちている。こんなものを見ていたから悪夢におそわれた。
         焼酎をあおり二皿の食事を出す。娘息子を呼び出し食事をとらせる。気まずい間。息子はPSPに逃げる。親父と口論となる。
         末娘がやめさせ二人は食い始める。「そんなものやってないで仕事しろ」と息子に言う。「てめえのせいでこうなったんだよーん」
         ふたたびの口論。娘怒る。娘をからかい始める。男居るのか。おい何してんだよ。
         娘仕事しろとなじる。すぐ会社やめちゃう。風呂入れ。選択したものきろ。そんなんだからお母さん出て行ったんだ。出て行く二人。酒。錫杖を投げつける。
       B祭の夜。金魚すくいの前の家族。
       C男の幼児期からの思い出。
       D男の誕生日を祝う会。長女の成長(30日にはその視点ではない。)。家族の思いやり。そして冒険と失業の予感。(30日では失業)
       E失業の実際。一家の苦労。(30日には未実施)
       F失業あがき、そして酒。妻の苦労。心の安らぎの他人の存在。ジェラシー。破局。選択。
       G長女、家を離れる。
       H学校の呼び出し。娘が起こした暴力事件。
       I妹と父を責め立てる。
       J妹、勉強、ひたすら勉強。兄、オルゴール作り。宅配便。カード。姉の帰宅。母の情報。てづくりの法被。
        おいしいプリン。おかあさん、かえりたいのかな。斎藤さんとうまくいってないのかな。おまつりにいこうか。
      
  B班が一気に話を持って行けたのは何故か。
      男の狂ってしまった現在と、幸せ野郎の過去、その途中段階が明確に異なっていたこと。
      男のパン屋を開きたいという夢が一家を壊したことが明白であること。
      男の夢とそれに不安を抱き対立する妻、対立構造が明確で、立場の逆転もよくわかる。
      これはとても大切なこと。対立だけがドラマを引っ張ることが出来るのだから。
  A班の話の前半を作り直さなければならない。カレー、娘の職場の恋、何度目かの自滅的くび、これでは対立および変化がはっきりしない。
      男は少なくとも自信に満ち苦労の末に勝ち得てなければいけない。

  男と女の設定は7/26のチャレンジが良いだろう。暴れ者高校中退、現業のたたき上げ。一目惚れ。妻を大切に。
  男の誕生日のシーンは、男が家族をどう幸せに育てたか、子供達それぞれがどちらをむいているかはっきりしめしたい。
  8月8日の誕生日、それは、はっはの日でもある。ここではプリンを食べながら夢を語るのが習わしだ。
   父は言う。○○をする。人に使われるのではなく自分のやりたい仕事をやりたい。
  それはもしかしたら船をつくる事かもしれない。パン屋でもいいが飛躍がありすぎないか。生活に密着しながら危険を感じさせることがいい。
  7/29のチャレンジでのカレーのシーンは4月の一家らんらんわ無理矢理くっつけたものであり今回にはふさわしくない。
   

    


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