ライラ


ライラは王の国に生まれました。
ライラは毎日草を飛び越え、麻の実を蒔いてその芽を飛び越しました。
麻はぐんぐん大きくなって、ライラは自分の背丈よりも高く飛べるようになりました。
やがて一飛び一山といわれるほど遠くへ飛ぶようになりました。

ある日、ライラが海へ行って岩から岩へと飛び移って遊んでいると、
岩が砕けて、ライラは海の中へ落ちてしまいました。

海の奥深くへ、遙か海の下へと、いつまでもライラは落ち続けました。
なにしろライラのジャンプ力はものすごかったので、飛び降りた勢いは、
少しも衰えず、とうとう海の奥深くにあるカミュンの国まで、ついてしまったのです。

 カミュンの国は冷たい女王が治めていました。冷たい女王は、
厳しい人で、カミュンの国の人が、国の様子を話す事をきつく封じていました。

 ある時など、カミュンの国の青年ナリルが「海の上に一度出て、他の国を見て、
カミュンの国に役立つ事をしてみたい。」と、いっただけで、
冷たい女王は氷の牢に、ナリルを閉じこめてしまいました。

 カミュンの国はライラの国と海の魚をめぐって争いを続けていました。
互いに時々は話し合うのですが、その時ごとに、やれそちらがうちの船を傷つけたとか、
そっちが先に石を投げたとかの喧嘩が始まってしまって、話も出来ません。

 そこにライラが砂を蹴立てて飛び降りてきたのです。
無言の兵士がライラを取り囲み、剣龍という蛇たちが、
ライラをあっという間に縛り上げてしまいました。
ライラは氷の牢へ入れられてしまったのです。

 氷の牢に閉じこめられたライラとナリルはすぐ友達になりました。
二人は冷たい氷のような女王を倒す事を決めました。
「どうやったらいいかな。」
「君は足が強そうだね。ここの地下には熱いマグマが昇ってきて居るんだ。」
「そうか。」
 話が決まれば簡単です。ライラは地下深く通じていそうな、岩の筋を見つけ、
そこをジャンプして蹴りつけました。岩の筋はいったん地底深く潜っていったと思うと地響き共に
特急電車のように地下から飛び上がってきました。
牢の屋根をつんざきました。そして真っ赤なマグマが開いた穴からカミュンの国
めがけて飛び上がっていきました。
 氷の牢は跡形もなく消え去り、怒り狂った冷たい氷のような女王も、こなごなに砕け散ってしまいました。

 こうしてライラは、カミュンの国の人々の心をときはなったのです。
ナリルは人々のために働き、ライラは海の底のカミュンの国からもどり、平和に暮らしました。  


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