最近読んだ戯曲 観劇記録 ネタバレします。
2008年−7月
2012年6月
「心の止まり」 美苗
二世帯住宅の片方に越してきたピアノ教師の女性。元大学教授の男は最初ピアノをいやがるが、若い女教師の心配事に
世話を焼いていくうち、彼の妻が倒れてしまう。焼き餅。体の不自由。一つの建物の中の二つの家。老教授と若い女教師は
妻の介護をしていくうちに更に親しくなっていくように見える。妻の回復と誕生日パーティーを祝うピアノ演奏でついに妻は爆発する。
「青空……!」 東憲司
祖母が使っていた防空壕に逃げ込んだかつての絵本作家志望の女性
紙のきりんをつくる。一人芝居
「ぺてんばなし」 中津留章仁
そば屋の蔵の中におやじの残した骨董品が山ほど。店の弟子と店主の娘。結婚させるはずなのにこの半年
店主は弟子に冷たい。何故?え?ペテン師?だれが?
「だらぶち 月夜に荒ぶる男達」 ・阿寒弁
石川県。明治維新。藩はなくなり士族はくいつめる。天下国家を論じる結社の中に飛び込んだ百姓が
姉に宛てた手紙を読んでいくという形ですすんでいく。
くいつめ士族のあらそい、交渉、失敗、北海道開拓、鯨取りの否定、石川に舞い戻りつぶれかけたところに
北海道でのせいかが届く
「オイル」 野田秀樹・
だまされた庶民。だました天皇。ずるいアメリカ。時を知らぬ人々が老いる事を教えられ、憎しみを教えられ
憎しみの元にオイルが吹き出す。
「百枚目の写真 一銭五厘達の横丁」 ・児玉隆也・原作 桑原甲子雄・写真 ふたくちつよし
実際にある不明の人々の写真。戦地に赴いた夫、息子、父へ送るためにとられた写真が発見された。
この移っている人達は誰だろう。下谷の路地裏に人々は生きていた。その一間に焦点をあて、そこの人々を
思い起こさせていく。
2011年7月
「骸骨ビルの庭」 小松幹生・脚本 ☆
原作は宮本輝。原作を知らないで読み始めた。いつものこまつ節と思いきや、深い。サスペンスに貫かれていて
何故夏美はあんなことを言ったのか、なぞはわからないまま、最後まで引っ張っていくうちにあのときの姿が見えてくる。
男と、その友と子供達が。
「箱根強羅ホテル」井上ひさし
キャスト記録をみながら読む。三人娘。外務省。軍人が四人。憲兵一人、と一読だけではちと誰が誰だかつかみにくい所も。
終戦直前、ロシア大使館を箱根強羅ホテルに疎開させ、和平交渉に臨もうとする外務省。それを阻止しようとする海軍、陸軍の少佐や軍曹
が従業員としてスパイとして紛れ込む。歌が暗号となっている。ところがロシア人学校の教師が持つ歌本が良くてこれにつられて和やか。
そしてやがて多くの親子関係やそれに近い者が明らかになるうちに、もう、爆破はやめよう、平和が欲しいと願い始める。
軍人達がこぞいもこぞって和平を意識するか、これも見てみないとわからないことか。
2011年3月〜
「ムサシ」井上ひさし ☆
みたい。やっぱり生で見たい
2011年 1月〜
「光る時間」渡辺えり子
みんなで音読で
「南へ」野田秀樹
劇を見た後で
「夢 大江磯吉の」ふじたあさや
2009年−8月
「海光」斎藤憐
歌入り芝居。まだ日本が日のいずる国と名付けられていなかったとき、オオクニはアマクニのスサーノの軍勢に囲まれた。
神の言葉を聞けるクシナダは神が戦いをさけよと述べたとする。しかしそのクシナダは愛する男コトシロと愛し合ってしまったために
すでに神の言葉を聞ける体ではなくなっていた。ここいらはまことに面白い。勇者コトシロは民衆を鼓舞しスサーノと戦うが敗北、囚われ人となる。
クシナダが助ける。荒武者スサーノはクシナダに惚れクシナダを后にする。前半面白かったのだが女だけのために戦いをやめるか?とか、うーんと
うなったところこれが猿之助芝居だったことに気がつく。斎藤憐が書いても横内健介が書いても同じになっちゃうのだなあ。
「異説津軽あいや節」岡安伸治
「八十八物語」岡安伸治
「愛の渦」 三浦大輔
2008年−7月
「制服」安倍公房
終戦間近。朝鮮半島に残っていたもと巡査が死んだ。幽霊になっていて何故死んだかがわからない。
どぶろくを密造していた小屋の二人と関わっての事らしい。巡査は日本に退職金2000円を持って帰ると、現れたときに事件ははじまった。
それはないだろ、それでは三人一組での稼ぎがフイになる。まあ、別れのどぶろく呑んでいけ。飲み始めて船に遅れて、極寒の中出て行った事が
事件の始まり。港に行き無茶を言い、制服を着たまま村に行き家に上がり込み、酒を飲み、戻ってきた所で、ぶっ倒れた。
事件を大事にしたくない警察によって挑戦の青年が殴り殺され、幽霊となって元巡査と事件解明していく。
巡査の妻は、どぶろく造りと出来ていたらしい、だから極寒の路上で倒れた夫を見捨てた。だから死んだ。
あの頃の空気がくっきりと見えてきそうだ。
「ひかりごけ」武田泰淳 ☆
前半は小説、または紀行文風。羅臼のひかりごけの洞窟を思い出す。たしかに半円状の洞窟だった。
そして人肉を食った船長と、それをあっさり受け入れている中学校長、役場のS君の話。
後半は戯曲、一幕は生き残った四人の漁師が徐々に減っていく話。二幕が裁判。一体誰がこれを裁けるのかがモチーフとなる。
天皇が?人を食った人間には光りの光背がつく。それが裁判している人間に全部ついてしまうって居るという話。
四季の金森薫のセット図を思い出しつつ読む。誰が人を裁けるか、裁判員制度につながっても行けないか。
「奴卑訓」寺山修司
何もない顔に義眼を入れ、歯を入れ、そんなわけのわからない所からはじまる。主人の靴をはけば主人になれる。
主人の椅子に座れば主人になれる。宮沢賢治の登場人物達が、不思議な生き物で、主人の座を争い変わり続ける。
訳わからないけれど、面白そうだと思ってしまった。
「屋根裏」坂手洋二
屋根裏キットの中で弟が死んだ、から始まり次から次へと場所と状況と登場人物が変わりながら屋根裏キットは変わらない。
これはやはりみなければわからないな。写真で見ると面白そう。セットの力か。
「焼き肉ドラゴン」鄭義信 せりふの時代 2008夏 ☆☆
国立劇場で見た芝居を読み直した。やはり面白い。劇の場面が色々思い出される。
脚本にない部分は演出だったんだとも。
2008年−6月
「読む劇 高校編」
プロが書いた一時間以内の芝居。ぼがあさんなど、やってもいいけれど女主体の部活では無理か。
2008年−5月
「裸足」田村孝裕
保育園の職員室、壁紙工事が行われているらしく、その職人がお昼を食べている。保育園の先生達の会話。
子供達の不始末、親や他の担任のうわさ、盛り上がったり下ネタに行ったり、横でカレーを食べているのにうんちの話。
非難されている先生が子供に事故をもたらしたらしい。裸足保育が問題になっているのかも。園がつぶれるかもしれない。
バスの運転手。新米の壁紙屋。こき使われる教材屋。ある一日の中で、勤めている人間の微妙な力関係と、
それでも園は続いていけるんだろうなと言うほのかなあたたかさ。
「山本周五郎の妻」 小松與志子 テアトロ 2008−3
庭で洗濯物を干している若いきん。新米の編集者がやってきて、洗濯物を干すのを手伝いながら
周五郎の噂をする。周五郎は気むずかしくて、あつくて、でも愛すべき人で、その小説は人に優しい。
妻のきんや編集者達、きんの妹夫婦の支えがあってはじめて、周五郎の小説は成立したのではないか。
楽しげに元気よく平明にすすむ。やがて往生しておしまい。周五郎の小説のいろいろな一部がたびたびさしはさまれている。
でも、その言葉は、やはり周五郎の小説の中でこそ生きるのではなか。
知らない面をみせてくれて楽しいかもしれないが、ただほめているだけではものたりない。
「人間・失格」 三浦大輔 せりふの時代 2007秋 ☆
アパートの一室。ベッド。バイトにも出てない男。テレクラに電話。女と会話。その後アダルトサイトからの請求の電話。
母に無心の電話。友人から金かえせの電話。元かのに電話。「人間失格読んでごらん」。ここまでは電話の声と本人一人だけ。
テレクラの女が来る。美人局で男が来る。ただ逃れるだけの情けない男。友人が来る。ごまかすだけ。元かのの近くにいるとの電話。
ここから、一気に最初のシーンが繰り返される。そして、それが、先ほどの情けない何もしない状態と違って、
暴力をふるい、犯し、どうしようもない世界が作られる。どちらが本当?そしてもしかしたら、なにも変わらないのか、変わるのか。
いやな世界だなあ。ボツドールの毒。
「僕たちの好きだった革命」 鴻上尚史 せりふの時代2007春
鴻上ってこんなにわかりやすかったっけ。全共闘で戦っている最中ガス弾が頭に命中する。30年間意識ない植物状態に。
突然意識が回復。歩き出す。自分の高校に復学する。正門では服装検査。「管理主義に〜」とアジ演説。文化祭を自主開催すると
行動する。ラッパーのタイト・キックを呼ぶ企画で学校側にはねられたクラス、その提案者と行動を共にする。周り生徒のしらけと
ことなかれ主義(これも時代錯誤的言葉か)、の中で孤立したり、校長や教頭と戦ったり。最後には機動隊まで登場し、大騒ぎ。
ラッパーのリズムがたのしくのりのりになりそう。
「別れの唄」 平田オリザ せりふの時代2007春 ☆
こんなにも言葉が堪能なんだ。フランス語で書かれていて日本語が時々はいる。上演は字幕を見ながらになるだろうけれど。
フランス人の妻が亡くなった。日本の旧家の居間。日本でフランス語の教師をしている人と、フランスから来た家族。
日本の家族で、お通夜ってなに、坊さんは講話をしないの?と文化の違いが若手来る中に、フランスから元夫がやってきて
遺体の前で号泣し、遺体にキスをしようとする。あわてる葬儀屋。
男が泣くってなに?日本人の旦那は葬式の時に何故泣かないの?亡き人をしのびながら事件は起き、静かに過ぎていく。
2008年−4月
「誰?」 高谷信之 テアトロ2008−3
女の部屋に男がやってくる。男は薬を飲まされ、縛られる。医者で医療ミスを三年前に犯したらしい。
男の娘を人質に取っている。ちょいとした油断で今度は男が女を縛り上げる事に成功する。
娘の安否を確かめたい。この女が誰であるか知りたい。女の仲間が現れ、再び男は縛られる。
キャッシュカードを巻き上げて、弟におろしてと言うと弟は犯罪は犯したくないという。女が銀行に行っている間に
嫉妬に狂った弟は、男を……と無限にひっくり返されていくうちに、全ては閉じこめられた見知らぬ三人のゲーム
かもしれないとなる。男2、女1の三人芝居。なかなか面白い。
「そらいろの時間人のユメ」 星新一・原作 小松幹生・脚色
10程のショートショート。万引きした女性は実は……。実は……シリーズでちゃんちゃんと音が鳴って暗転するのかな。
客席はきっとくすくす笑いであふれたろう。ショートコントの練習にいいか知らん。
「ゼブラ」田村孝裕
危篤の母の家に戻ってきた姉妹達。そしてその旦那と婚約者。予約葬式の葬儀屋。そして葬儀。
浮気や喧嘩や、それでも幼い頃を見てくれた母が去るのは悲しくて。「莫逆の犬」とは違ったほのぼのさがある。
ばかばかしさと、部屋の閉塞感は同じに感じた。
「のらねこハイジ」作・矢田嘉代子
人間に甘やかされて捨てられて、子猫はネズミのチュー子に救われる。野良猫となったハイジはやがてネズミを追いかけて。
「ユニコーンは時をつれて」作・小風さち 脚色・さねとうあきら
古着屋でもらったコートが50年前にスリップさせる。街が森の境にあって、森の中にはユニコーンが走り回っていた中に。
「ワニの涙」 川村毅 台詞の時代
「クリオネ」「フクロウの家」と劇場で見てきたが今回は戯曲で。散漫な読み方をしてしまったので、つかめてない。
DJ、「今夜はサイテー」の市、けれどこれだけの悪意のある番組に至るまでに、良心的な時代もあったのだ。
神がいないこの時代に、けれど結局は神が無くても生きている。
「太鼓たたいて笛ふいて」 井上ひさし 新潮文庫 ☆
林芙美子・前半は貧乏を売り物にしていた時期。昭和の物語にのって従軍手記を書いて国民をもり立てていた時期
二幕からは戦後、命を賭して、戦争を見つめ直して戦った時期。
両方の姿で、林芙美子へのいとおしさが増す。見事だなあ。
「飛んで孫悟空」 別役実 テアトロ
情けない悟空、情けない三蔵、ひっくり返した姿
2007年−9月
「アザリアのピノッキオ」 翠羅臼 テアトロ2007.10
7つの断章による協奏曲とある。人形と、布と、天幕と驢馬と。無限の世界が続く。
わかるわけないが引き込まれてしまいそう。夢を読み取られる話などおもしろい。
見てみたい。
2007年−7月
「犬が西むきゃ尾は東」別役実 台詞の時代
全員アルツ?どこかに行こうとしてどこにも行かない。番号で振られたキャスト。見ないとわかりにくいなあ。
最後は死のイメージが紛々としている。のだけれど。
2007年−3月
マリオ・フラッティ 戯曲集
「金曜日のベンチ」
金曜日のベンチ。赤ん坊をかごに入れて女が一人。中年の紳士がふらっとあらわれ、端っこに座る。
そしらぬ会話。だが、この二人は世間を気にする関係だった。やがてあらわれるベビーシッター候補の女。
一気に急展開をとげる。見事な三人芝居。
「黒人と口をきくと」
白人と黒人の間に生まれた黒人。新しい母が殺された。実の父も殺された。犯人は誰?
意外な展開をするのは同じ。ただ人種差別のもえたぎる思いがないと、これはわかりにくい。
2007年−2月
「二人の柳」 森井 睦 テアトロ2005.10
朝鮮を日本が占領し3.1に暴動が起きた。人々は立ち上がるが日本は朝鮮の人々を痛めつける。
柳は朝鮮文化を愛し文化によって交流を図ろうとする。武器を持ってはいけないと。
けれどそれは日本の手先としかならなかった。今では珍しいシュプレヒコール劇。日本のひどさを
訴えようとしたのか、矛盾する一日本人をあらわそうとしたのか、表面だけのような気がする。
「遭難、」 本谷有希子 台詞の時代 2007冬
いや、きついな。「……うんこしなさいよ、そこで」と、中学生の母親の衝撃的な台詞から始まる。
いじめを受けたことを教師に相談したが無視された。だから、毎日責め立てにくる。
ところが手紙を捨てたのは、責められている担任とは別の教員で、これがまたどうしようもない
うそつきで、中道をいきそうな男性教諭も責め立てている母親と不倫の関係になり、
やはり、これは、見に行かないと
「飛行機雲」 草部文子 創芸社
特攻隊の基地。海辺で整備兵と特攻する少尉とが話している。
特攻隊の兵士たちと送り出す教官たちと整備兵たち。それぞれの思いの中で
兵たちは飛び立っていく。焼け跡に残っていた形見のラジオが現代のディスクジョッキーも放送し始める。
DJは特攻兵の姪にあたる。ついに特攻兵は現代の生放送に電話する。「日本はどうですか」
わかりやすく、そのわかりやすさをDJにつなげたしかけ。
戯曲成立の過程が書き込まれているのが楽しい。
「久遠の彼方へ peace in a bottle」草部文子 創芸社
ラジオドラマ。ダイバーの青年が瓶に入った手紙を見つける。沈み行く潜函の艦橋で描かれた手紙。
青年の祖父が沈んだ戦艦の人々を助けた人間。過去の軍艦にのっていた人間たちのドラマと
その過去を調べていく若者たちのドラマが同時進行していく。
2007年−1月
「蜻蛉」 松田正隆 テアトロ
アパートの一室と露地とだけで起きる男と女の話だけれど、言葉にひきつける物がある。
妻の元から、一週間も来ている男。男と妻とは電話で居ることだけは確認しあっている。
女の妹の夫、かつては女の恋人だったかも知れない、その男が妹が居なくなったと探しに来る。
妹は姉の物をなんでもとりあげてしまう。ここに来ていたあたらしい男もなんとなく女と消えてしまう。
全てははっきりしない。退学する女子高生とその男がくっきりとしたイメージであるが。
男と女はくっきりしない
「フィモジスB」三原世ツ菜
エレベーターの中、式場から逃げ出した花嫁が式場に戻る途中、ゴリラのぬいぐるみを着た男と乗り合わせる。
かつて遊んだ男の一人らしい。打算に生きる彼女にとって男は惨めな存在でしかない。
「幽霊はどっちだ」 芳地隆介
自分が分離して、真面目に勤務、本人は自宅でぐずぐず。けれどそれは会社で組合運動と
スト破りが戦っていて、二人にどちらかと迫る展開に。やがて幽霊は人格を持つが、さらに別の幽霊があらわれる。
幽霊複数化は面白いけれど、社会情勢、せりふ、古さを感じる。
「人形の夢 ひとの夢」 小松幹生 テアトロ2006.11
四国の言葉、人形、男と女、自由民権、板垣退助、川の縁、芝居
2006年−12月
「やわらかい服を着て」 ☆☆ 永井愛 台詞の時代
イラク・湾岸戦争前夜。町工場を借りたピースウォーカーのメンバーたち。
第一は自衛隊派遣前。署名も集まる。第二は人質が自衛隊バッシングに遭い意見が分かれ始めたとき。
第三は恋愛のイライラがたかまりつつ、医療支援の活動をなんとか活動しているとき。
工場の持ち主に日本人を代表させ、笑いと皮肉を取りながら、ここにいる若者たちの生きている姿を
感じさせる。
2006年−8月
「男装の麗人伝説」黒川欣映 テアトロ2006.10
満州での川島芳子、その影と本人の会話。彼女に関わった少佐や上条(東條?)。
清朝を復活させようとする川島、ラストエンペラーの溥儀をどう利用とするかの軍部。
女として男としての川島芳子、それとどう関わっていくかの男たち、それを運んでいく
ロコウキョウ事件・上海事変・満州立国・国際連盟脱退・二次対戦・そして靖国へ
時代は流れていく。
2006年−8月
「第32進海丸」蓬莱竜太 ☆ テアトロ2006.9
土佐の鰹漁師。土佐に似合わない二階のスナック、男だけ、時間はそのまま一時間半。
台風が近づいている。今はなき「黒潮の狩人」と呼ばれた進海丸の船頭の息子の所に通信士がやってくる。
日本一の漁獲量を誇った進海丸が漁を早めに切り上げて日本一の座を奪われた。新しい船頭の方針だ。
息子は船に乗せてくれと言い、通信士は近く自分の船が手に入るという。現船頭や機関長、船主、そして進海丸の猟場を
荒らした船の船員達がやってきて、大暴れしながら、土佐っぽの力強く生き抜こうとしている姿が楽しめる。
2006年−7月
「プラモラル」佃典彦
団地の中、新旧住民がうまくいかない。外面だけは互いに仲良くつきあっている奥様達、旦那達
名前の無さがやがて集団の中で役割が決まり、その集団が含んでいる毒が次々と吹き出てくる。
2006年−6月
「母の名は山崎けさのと申します」 作者の望月先生の姿形笑顔全て浮かび上がってきた。
2005年−10月
優秀新人戯曲集2005より
「人生はバラ色」山本真紀 孤独なおばあさんが中学校の校庭で飛行機を作る。
登校拒否の中学生が操縦する。夢にはいりこむやら、いろいろ使って、軽く扱ってまとめている。
「東おんなに京おんな」ひょうた 浮気されて夫を追い出した後に、夫の母が荷物を持って逃げ込んでくる。
女二人。会話で成り立つそれぞれの夫の空気。
「蔵」澤藤桂 情念の芝居。唐とか梁山泊とか。獅子踊りのコロスが語る蔵の中に閉じこめられた血の話。
見たら面白いだろうな。
シング戯曲全集
「海に行く騎者」高校の時本棚に並んでいた青高のレパートリー
海で息子が不明、打ち上げられた死体の靴下を娘が持ってくる。
母には秘密。下の息子が嵐の中馬を引きそしてそして死の知らせが。
「谷の影」死んだふりする年寄りの亭主。逃げたい女。
「鋳掛屋の婚礼」
教会の前、無信心な女が鋳掛け屋と婚礼をあげようと神父に迫る。
神父は金を要求し、十シリングと鋳掛け屋が作るブリキ缶で、いやいや引き受ける。
ところが鋳掛け屋の飲んだくれの母親が間を盗み出し、酒にかえてのんでしまう。
いかった神父と女が喧嘩になり、教会なんか関係ないと、神父を縛り上げ、泥沼に沈めようと
するが、のんだくればばあの機転で相互不干渉が成立する。
前二作は、しぶい動きだけれど、こちらはどらまちっく。
2005年−8月
荒牧瑞枝 一人芝居作品集
「星逢い」 ☆ 七夕の夜に過労死で倒れた夫の幻影が現れたのかもしれない。
それが停電の夜、雷雨上がりの天の川の美しさにある。
「おりのうた」☆沖縄、亀甲墓の中で沖縄戦で夫を失い、子を殺した女が幻想をみる。1996年作品だけれど
沖縄言葉や唄を思いっきってつかい未だに力がありそう。工夫すればできるかな。
「関釜の風」 前二作と比べると朗読の色がより濃く残っている。
朝鮮半島から連れてこられた女子挺身隊の女の子の言葉と、叙事を担当する風の言葉で成り立つ。
「千年の祈り」 さらに朗読をつなげただけという感じ。
「命を弄ぶ男たち」岸田国士 自殺が意志のはっきりした時代にこそわかるテーマとらえ方かな。列車音などいいけれど。
「葉桜」岸田国士 二人芝居、母役なんてやりがいあるだろうな。見合いが当たり前の時代設定で成り立つのだけれど、
古くさくはならず、二人の人間が深くて面白い。
「朝に死す」清水邦夫 一直線だな、この二人を描くのは難しいかもしれないけれど、引っ張れる
「わすれな草」岸田理生 魔性の女が男を次々と殺していく。この女は大正そのものなのか。
「星の時間」 別役実
2005年−7月
「戯曲が書ける」 ☆☆☆
戯曲ではないが、インターネット講座の受講生と講師との交信記録。すごい。
あらすじが、プロットになり、戯曲になり、言葉が人物が切れていく。
「白い家」「家守」すごい。
「舞え舞えかたつむり」別役実
ニュースでばらばら殺人事件が報道されている。緋毛氈の雛飾りがされている中で女が話している。
刑事がやってくる。旦那さんの遺体と確認されたと。不安材料が無くなって殺されたんだと解明していく。
視覚と音楽、両方を足して独特の世界となりそう。
「おかしな少女とへんてこな老木」郭宝崑
少女と木が交流する。木は切られる事になるが、彼女の願いで阻止される。けれど木の上の部分は切られてしまう。
「棺桶が入らない!」郭宝崑
一人芝居。でっかい棺桶をつくったじいさんの孫。墓穴に入らない棺桶を前にして大奮闘。落ちも楽しい。
役人が表彰され、画一化された自分の墓に不安を抱く。
「やよいの空に 杖物語」 石沢富子
二人の老婆、のんびりとうららを楽しんでいるようだけれど、互いの過去にワープしてはもとの老婆に戻る。
醜悪、でも、それも貴族であったり、男を戦場に送ったり、谷に飛び降りたりそんな過去が紡ぎ出した物。
いつの間にか幻想の中に入り込んでいき、老人ホームの音で元に戻ってくる。不思議な力がある。
「オレアナ」
これは こわいな 調子に乗って生徒に親切な言葉を使う。
自分を卑下してみせる。そして同ラインに立った上で励ます。この時の一言一言が
敵の武器となって、復讐される。頭の弱そうな女子学生が、悪魔に変わっていく。
結局、教授のやっていた授業は、意味が無くくだらない授業と認めさせられ、職も家も失う。
2005年−5月
「大甕」 ピランデッロ
怒りっぽい農場主。オリープオイルをいれるための新しい甕が突然割れた。
瀬戸物直しの職人が中に入ってなおしたら出られなくなった。
修理代しか払わない農場主。その修理代を利用し酒盛りで主人を怒らせ、甕を蹴飛ばさせる。
割れて見事脱出。人物紹介が素早く、あっという間にキャラがわかる。
「2001人芝居」 野田秀樹
モニター症候群だとわかってくる、モニターと男一人の芝居、みないとわからないかな。面白そうだけれど。
「女優」 三條三輪 カモミール社
病院、脳が侵された女優、妄想、劇団の女優同士の確執、先生との恋、あふれてくる台詞達。
狂っていく家庭が面白いかも。
「黒雪姫と七人の大人たち」同上
まあ、身内のパーティでどうぞという本
「喜劇・桜の園 〜狸は嫁か姑か」 池田政之 テアトロ2005.5
商業演劇・こんな大役者がこんな風にやって、こんな風に客は笑うんだろうなと、予想できる劇、
というかそれだけ。
2005年−4月
「売り言葉」 野田秀樹 ☆
大竹しのぶがこれをこんな風に言うんだろ、それが豊かに、体を包んでくれる。
みたいな。
2005年−2月 ☆
「BLASTED 爆風」 サラ・ケイン ☆
なんだこれは。イラク?アイルランド?戦争まっただ中の街のホテルの一室。ジャーナリストと壊れかけた若い女。
狂ったセックス。狂った兵士。目を食べる。赤子を食べる。狂った事実?
2005年−1月
「ドストエフスキーという名の亀」 アラバール ☆
放射能によって巨大化した亀が動物園の檻の中にいる。男が食われる。
連れの女は泣き叫ぶ。けれど、亀の中は気持ちが良い。飼育係のどたばたと
むちゃくちゃな世の中。最後に女は裸で亀の中に。面白いかも。
「雪女房」さねとうあきら
うん
2004年−7月
「広島の女」
「父と暮らせば」の楽しさのなかに忍び込んでくる力にかなわない。
「農業少女」野田秀樹
野田はやっぱり舞台で見てみないとわからない
2004年−7月
「横恋ぼうず、走り雨」 小松幹生 テアトロ04年8月号
うーん
2004年−7月
「黒いスーツを着たサンタクロース」
やっぱり甘いかな。
「名医先生」 ニール・サイモン・作
作家が語りながら、オムニバス形式で話がいくつも数人の役者によって演じられる。
大人のクスクス。チェーホフ風に。
2003−8月
「照手と小栗」 ふじたあさや・作 晩成書房
三木稔・作曲 西田堯・振り付け などと 聞くと観たい 観たくなる
2003−8月
「をぐり考」 ふじたあさや・作 晩成書房
壮大な説教節だなあ。それを、楽しく読んだ。一人芝居になった舞台も目に浮かぶ。
2003−7月
「髪をかき上げる」 鈴江俊郎・作
劇団八時半のあの芝居の空気が濃厚に思い出される。なんということない、
でもどうにもしようもない人たちが、部屋の中で、川辺で苦しんでる。
2003−6月
「肉体改造論 女子高生編」 古城としのぶ・作
ダイエット・リストカット・ゲーム のオムニバス 女子高生と大人の俳優のための作品
もちろん現代そのままのテーマだがそのまま提示しているだけとも思えた
2003−6月
「夢 ハムレットの」 福田善之・作 1996初演
焼け跡に復員した男が、GIとパンパンガールのダンスの中で
ハムレットとして立ち上がるなど、ぉぉ、と思うシーンはあるのだけれど
シェイクスピアはなかなかの台詞を役者に言わせるなぁ、等というのも
あるけれど、わかりにくかったなぁ。
ハムレットを通して昭和史は本当に立ち上がるのか?
2003−3月
「アテルイ」 中島かずき・作
人気の新橋演舞場と新感線の脚本。蝦夷を倒した大和朝廷、その大将同士を
時代に、翻弄されたものとして描いていく。発想はよし。二人もかっこよいだろう。
けれど、大和が蝦夷を押しつぶしきったこと、それはいらいらに。それを美化して
書かざるを得ない脚本にもいらいらを感じざるを得ない。
2003−2月
「郵便配達夫の恋」 砂本量・作 真柴あずさ 原作
歌が歌えなくなった歌手が島の灯台守のおじいさんの元にに帰ってくる。
まとまっている。破綻がないかわいいラブストーリー。なぜこんなきれいだけで終わるんだろう。
2003−2月
「利一郎きまぐれ日記」 小松幹生・作
小さな町の、先生や兄弟が、男の案内人したがって、スケッチされていく。
現代・娘へんろ紀行 と 同じ におい けれど 遍路の分だけ 遍路の方が面白いかな
2003−2月
「侍」 長塚圭史・作
男3人で出来るモノローグ芝居 まとまっているけれど最後墓で一致か?
2003−2月 ☆
「フール・フォア・ラブ」 サム・シェパード作
面白いな ぐいぐい 引っ張っていく
2002−7月
「リタの教育」 ウィリー・ラッセル作 ☆
二人芝居、大学教授と美容師 その立場の意識のレベルが方や上がり方や下がっていく
これも劇場で見たい。
「夜叉が池」泉鏡花・作 ☆
面白い。シンプルでシャープな切れ味。玉三郎の映画どこかにないかな。
「赤鬼」野田秀樹・作 ☆
本で読んでも面白い。せりふの時代にのった4人版をみんなで読んだ。
1999−8月
「鳥はとんでいるか」 森井睦・作 ピープルシアター
母と韓国で政治犯としてとらえられた二人の息子 人が良くわかる
「異人たちの辻」 森井睦・作 ピープルシアター
ゲームセンターの外国人と、百姓一揆の時の異人たち ちょっと面白い
「鳥人」 過士行 中国現代戯曲選@
京劇や中国のことよくわかってないと 無理かな
「逃亡」 高行健 中国現代戯曲選@
天安門事件のあたり
「思凡」 孟京輝 中国現代戯曲選@
色っぽい
「犬おやじの涅槃」 錦雲 中国現代戯曲選A
土地を得るために犬を食って死んだおやじの子、紅いコーリャンなど思い出す。
「ゲン in ヒロシマ」 中沢啓治 原作 木島 恭 脚色
原作より読みやすいかな。
「プロローグは汽車の中」 小松幹生
いなかの町の 昔の仲間たち 今は苦く
「Right Eye」 野田秀樹
劇場で見たいな
「カラフルメリイにオハヨ」 ケラリーノ・サンドロピッチ
やっぱり これは ……ギャグは面白い
「あの日たち」 清水邦夫
思い出 記憶喪失 おいしい構造だな