私の観劇記録  全くの独断偏見です。ごめんなさい。ネタバレもします。 ついでに映画も ついでに

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2008年

1)2008年1月18日(金)  三越劇場  ☆☆☆
 
「女将」 北条秀司・作 齋藤雅文・演出 二村周作・美術 水谷八重子 波野久里子 安井晶二
   
戦後、夫を戦争に取られ一人で留守を守ってきた女将、シベリアから帰ってきた夫と店も賑やかになってきた。
  その一人娘に縁談が持ち込まれた。昭和の現代っ子の前に女将のいらいらは募るばかり。
   お師匠さんを中心に序盤は話が進み、娘と女将との喧嘩ではらはらする。そこに持ち込まれた打ち掛けが夢をつなぐ。
  仲人さんの人物評価とはうらはらにお相手の東大の学生さんは二回に上がり込んでどんちゃん騒ぎ。
   夫婦の絆もさらに深まり、ほろりとする。いいなあ。


2007年

2007年に見た劇のベストセブン

    今年は良い芝居にいっぱい出会えた。約39の芝居の中で、☆をつけた作品は見に行って良かったと思う。 
  つけていなくても面白かったものもある。☆三つ・二つのものを集めてみると

 どきどきしっぱなしだった     「The beauty queen of Leenane」 
 
笑わせてくれちゃう、その力に  「冬のひまわり」
 
親子ギャグも含めて笑えて楽しめて泣けて  「春でもないのに」
 
森光子さんに            「寝坊な豆腐屋」
 パワーと熱中度に        「軍鶏307」
 
緊張しっぱなし          「きりぎりす」
 
笑った笑った           「妻の家族」

 

39)2007年12月27日(木)  パルコ劇場  ☆☆☆
 
「The beauty queen of Leenane」 マーティン・マクドナー・作 長塚圭史・演出 二村周作・美術 白石加代 大竹しのぶ
   
息を飲ませない。最後には観客の息が荒くなってしまう。ものすごい緊張感、娘とその手を借りなければ生きていけない母の戦い。
  けれど、大竹しのぶと、白石加代子の戦いを見てると笑い声が出てしまう。隣の女性客なんて初っぱなから笑い続けていた。
   ああこれは、手紙を見せないぞと、客が読んだとおりに話が展開し、この火かき棒はきっと凶器になると思った通りそうなる。
 そして、ぎりぎりのところで客の読みを超えていく。イングランドに出稼ぎに行かなければ生きていけないアイルランドの小さな村。
 しかもその丘の上に二人の家はある。コンプラ?オートミールを巡る戦いから始まって、やけど、というヒントが出てくる。
  アメリカへ戻るという人の送別会というヒントが、娘の人生に大きな転機をもたらす。ついにどうしようもない、結末になる。
 「私の夢は変質者に母さんが殺されて首がごろんと転がっている事。」という台詞で客がどっと笑う。そして、その一部が現実となる。
 けれど、その最後に、娘が一人になってから、娘が母の揺り椅子に座る頃から、命がつながっていく。そっくりになり、動かなくなり、
 揺り椅子の大きな揺れもやがて止まる。
  どうしもない嫌さから、いつの間にか抜け出してしまう。暗い天国を家の奥に見てしまう。不思議な強い芝居。

38)2007年12月25日(火)  シアターX 円 ☆
 
「あらしのよるに」 きむらゆういち・作 小森美巳・演出 あべ弘士・美術 小森昭宏・音楽
   
場面の終わり毎に出てくる歌う蛙が楽しい。蛙になりきっちゃってて、終演後CD売る時も蛙のまま。
  第一巻の小屋の中より、第二巻の小屋の前の再会、そしてピクニックがものすごく楽しい。
  お弁当と一緒に歩く。おいしそう〜のオオカミがかっこいい。第三巻霧の中あたりから再び当たり前に戻ってしまうけれど
  二匹の蛙で全て許されちゃう。
  

37)2007年12月15日(金)  紀伊国屋 劇団本谷有希子 ☆
 
「偏路」 本谷有希子・作・演出 中根聡子・美術
   
28才で中途半端に役がついていた女優が、田舎に戻る。28才の本谷の周辺にいそうな事。
  でもおまえ当たってるじゃんとつっこみいれたくなる。田舎に戻れるかどうか試すためにおばあちゃんの仏壇がある
  叔母の家に親父と一緒に止まる。田舎に拒絶反応を示す娘を見て父もまた昔のように狂っていく。
  女優をあきらめきれない娘もまた狂う。ホームドラマ。みんな夢が捨てられず、他人の顔色をうかがい、時に切れていく。
   初めてこの劇団を見たが、それほどの毒を感じず、しつこく追いかけていくなあ、でもまあ飽きさせずに見せるなという印象。

36)2007年12月9日(日)  文学座アトリエ
 
「かどで」 森本薫・作 森さゆ里・演出 石井強司・美術 
 「華々しき一族」 森本薫・作 戌井市郎・演出 石井強司・美術  ☆
    意外な恋の告白は同じ。かどででは病に二年も伏している奥さんのために気をもむその母と夫。
    華々しき一族では、弟子の男と師匠の奥さん。華々しき一族が笑える。これが杉村春子だったらと重ねながら見てしまうところに
    杉村春子のすごさがあるのかな。

36)2007年12月8日(土)  新橋演舞場 ☆☆☆
 
「冬のひまわり」 佐々木渚・作 齋藤雅文・演出 石井強司・美術 塚本悟・照明 藤山直美・西郷輝彦 
   
サウンドオブミュージック。6人の子供と立派な父親。
   大きな違いはトラップ一家がナチの迫害と戦うのに音楽が重要な武器となったのだが、こちらはそんな事は全く関係ねえのである。
   家庭教員に入った藤山直美があっという間に子供達にすかれていく。そんな過程はちと急ぎすぎ。
   でも、それは藤山直美の楽しさではねかえされてしまう。泣かせる時に必ず笑わせる。他の役者だったらただのベタな芝居なのに、
   笑いに変えてしまう。「わたしとっても幸せ〜」と最後の台詞まで、笑わせてしまうのはとにかくお見事。

35)2007年11月13日(火)  新橋演舞場 ☆
 
「ナツひとり」 橋田壽賀子・原作 マキノノゾミ・脚色演出 松井るみ・美術 服部基・照明 仲間由紀恵・森光子・宇津井健 
   
橋田壽賀子のNHKドラマを日本に残ったナツだけを中心に一晩芝居にした。
   仲間由紀恵に大舞台など出来ないだろうと思っていたが、若い頃はやはりできてない。その頃は本もありきたりで面白くない。
   恋の話になると言われたとおりにやってるぐらいにしかみえない。
   他の女優なら、演出家が予想できない部分がぐわっと浮かび上がりそうだろうなと思う。
   が後半年をとってから舞台はしまってくる。いつゴクセンに戻るかみたいなはらはら感もそれはそれで使える。
   声しか出ない森光子だがさすが。なんだこりゃ、みたいな体操も、ラストシーンのためかと思ってみると許される。
  仲間の成長を待てば良くなるかもしれない。

34)2007年11月11日(日)  帝国劇場 ☆
 
「イースト・ウィックの魔女たち」 ジョン・アップダイク・原作 ジョン・デンプセイ・脚本作詞 山田和也・演出 松井るみ・装置
       森公美子・涼風真世・マルシア・陣内孝則
   レーザービームではじまって、乳房をもした半球が移動すると、女体をもした大きな傾斜舞台が現れる。
   生演奏のオーケストラとともに、帝劇のミュージカルの楽しさだ。大騒ぎの街広場の中に、魔法使いの男が登場。
   あぶれ者の三人の女を次々と陥落して魔法を教え込む。宙乗りで空に舞い上がった三人は、いたづらが過ぎて反省。
    あらたにひっかかった女は元の恋人と再び結ばれて一件落着。そこいらになると、無理矢理まとめてきたかになる。
   豪邸のセットやセクシャルな踊りが情念を持っていて残る。

33)2007年11月10日(土)  テアトル・エコー
 
「忘れられランド」 小川未玲・作 保科耕一・演出 熊倉一雄
   
かかしが見守る田んぼ。お米を見守っていた一人暮らしのおばあちゃんが無くなる。かかしが命を持って歩き回る。
  かかしが四人。娘が三人。蒸発した父が一人。カラオケに乗って歌うのだけれど、昨日の興奮が冷めないままの観劇で
  ぼーっとしてしまった。ほのぼのと暖かいのだけれど。

32)2007年11月9日(金)  スズナリ 鳥獣戯画 ☆☆☆
 
「春でもないのに」 知念正文・作・演出
   楽しかった。フォークが歌えてギター弾けて、それだけで泣いた。スズナリの狭いステージで19人が踊る。
  まあ無理だろうなところを無理矢理踊る。軽いセットとカーテン幕と無対象演技と数々のヒット曲でつないでいく。
  ユニコが高校一年になった。達者になった。親子がギャグがほんとに笑える。後半は禁じ手使いすぎ、泣いちゃうけれど
  いやだな。せめてコンサートは一緒にやってほしかったな。

31)2007年10月22日(月)  シアタートップス 自転車キンクリートstore ☆
 
「ツーアウト」 飯島早苗・作・演出 中川隆一・照明
   
わざわざの背景画。二人っきりの一回の裏から、七回の裏まで全て守りの時間に、話が進む。
  一回裏の二人っきりの時、これはやばいかなと思ったけれど、回が進んで、訳のわからない女の子が出てきてから
  楽しくなってきた。これは、不倫の話?いや親子の話?DNA鑑定で親子でないとわかる話?いや結局夫婦の話。
  裏ごとに、ゆっくりと、あほな三塁コーチ交えて、笑わせながら進むのが、気楽で、だよな、でおもしろかった。

30)2007年10月18日(木)  新橋演舞場 ☆☆☆
 
「寝坊な豆腐屋」 鈴木聡・作 栗山民也・演出 妹尾河童・美術 中村勘三郎・森光子
   
盆踊りの夜に街を二つに分ける大げんか。東京オリンピック目前の下町、新しいマンションを建てるか、古い町を残すか。
  そこに持ってきてしまうと、それじゃあ、動かないでしょ、都合つけちゃっちゃいやだな、とか思ってしまうけれど、
  ワイヤレスマイクがんがん使ってる森光子の、一言一言に、一挙手一投足に、気を吸い込まれた。
   力まないんだけれど、元芸者の、おかあさん。「言わなかったの?なら、あたしも言わない。」など小気味いい。
 勘三郎があまり遊ばないのも。花道横にいたので、勘三郎の背中に負ぶわれた近寄ってくる森光子がきれいだったのも心に残った。

29)2007年10月8日(月)  吉祥寺シアター
 
「ヘル」 スエヒロケイスケ・作 鐘下辰男・演出 島次郎・美術 中川隆一・照明
   
きついなあ。お岩の息子が伊右衛門をおいもとめる。
   真っ暗な中に足音がして、やんで、足音がしての始まり。レジ袋をかぶせられ、手錠をかけられた男たち。
   話を追えなくなった。 

28)2007年9月17日(月)  新橋演舞場
 
「憑神」 浅田次郎・原作 G2・脚本演出 中村橋之助
   浅田次郎が終わりをこう書いたのだろうか。ついてない男が、貧乏神に取り憑かれては宿替えし、疫病神にとりつかれては
  宿替えする。その苦しさと、逃げ切る力とが笑いを呼ぶだろう。が、最後の死に神からは逃げずに、受け入れる。それは時代の流れが
  男を飲み込んでしまったからではないだろうか。それがまるで大英雄になったかのように死にむかってあがめられていく。それが橋之助のせいだとしたら
  なにかいらだつ。盆を二つにして自由自在に場を渡るの前半は気持ちいいけども。

27)2007年8月31日(木)  麻布区民センター いたわさ ☆
 
「ハロー・ザ・ロンググッドバイ」 テネシー・ウィリアムズ ・作 冨田正久・演出
   前芝居に「欲望という名の電車
」「しらみとり婦人」「バーサよりよろしく」をコラージュしロンググットバイをゴスペルソングのピアノと
  ソロとコーラスで見せる。ピアノとソロが醸し出す空気があっている。この芝居は高校一年の時にやった劇。しゃべられる一言一言を覚えていて
  相手役の表情も浮かんでくる。自分たちが端から見てどう見えていたかはわからないが、相手役がどうしゃべっていたか、どう練習したかは
  思い出す。すべてを失っての引っ越し、荷物を捨てられず、倉庫に預け、その喧噪の中で家具一つ一つから過去が浮かんでくる。
  現実と過去とかぶってなきそうになった。

26)2007年8月23日(木)  世田谷パブリック・シアター シスカンパニー ☆
 
「ロマンス」 井上ひさし・作 栗山民也・演出 大竹しのぶ 松たか子 木場勝己 美術=石井強司 照明=服部基
   チェーホフの評伝劇。4人の男性と二人の女性。宇野誠一郎の音楽で歌う。
  中学時代のチェーホフ(井上芳夫)はボードヴィルにあこがれる、雑貨屋の息子。大学時代のチェーホフは卒業試験で満点を取る優秀な医者の卵。
  青年時代のチェーホフは貧乏に金をあげてしまうこまりもの。サハリン時代のチェーホフ(段田安則)、モスクワのチェーホフと時代を経て
  「笑いが人を救う」事を理解する。生活のために書いていた小説が売れ、モスクワ芸術座の誕生とともに、かもめがヒットする。
   スタニスラフスキーの新しい演技論もチェーホフの目指す笑いとは異なってくる。
  若い頃から気にしていた病気、結核。小さい時から死に至るまで、常に世話を焼いてくれた妹(松)。
  あでやかで彼の芝居に主演している女優(大竹)と結婚。
  病に倒れているチェーホフ(木場)るラストのトルストイを交えての芸術論がものすごく楽しい。

25)2007年8月9日(木)  シアターサンモール ケーダッシュステージ ☆
 
「メモリーズ2」 妹尾匡夫・作 中野俊成・演出 入山学
    
若手がマイクの力を借りてがんがんしゃべる。ちょっと単調。死の直前に記憶を入れ替えて幸せな気持ちで黄泉の国に
   向かわせたい。ここで音楽とヒップホップが有効になる。SFの世界へスムーズに移行できる。
   これにお笑いがはいる。 死の直前ではなく、やくざの鉄砲玉として使われるよう、仮死状態にさせられた親父が
   車いすに乗せて連れてこられ、手術チームの思惑と違い、元気なずれたガンマンとしてよみがえって大騒ぎ。
    どたばたに、娘への父の気持ちをたっぷり乗せて、楽しめる。

24)2007年7月26日(木)  SPACE雑遊 tfactory
 
「路上」 川村毅・作・演出 小林勝也 占部房子
    
50ずつ互いに直角に客席をつくり、そのコーナーにロープが一本下がっていて、あとは灰色に塗った箱状の椅子だけ。
   真っ暗な中で、いきなり他人同士が、交換殺人の打合せをする。一人は若く、一人は老人。一人は妻を殺してほしいらしく、
   若い方はバス停にたっている女を殺せと。暗闇の中で全てが進み、暗闇の中で登場人物も見えないまま、一人が去っていく。
   前半はこの暗闇と光の関係が面白い。
    制服を着た女がバス停にたっている。死にたがっている。老人は娘が高校生つまりあまりに若いから殺せない。
   練習しようと言う。一方、老人の妻を殺そうとした方も上手くいかない。妻が家に帰ってこないからだ。
   やがてクローゼットの中に死体が。
    小林勝也のとぼけ、枯れた笑いが生まれる。死という言葉で存在を確認しようとする三人がもがいている。
   三人芝居だが、路上で起きる事件に、観客もさせられている形になり、群衆劇の雰囲気を帯びる、
   だったら舞台はもっと狭い方が面白いかも。あきずに引っ張っていくが、最後の都市崩壊を経て、でないはずのバスが出発し
   ミイラ姿でびくんとふるえる女で芝居は切れる。え、もう、終わり?そうか50分芝居だったんだ。三人の中心は誰なんだろう。
    絵面からすると女。女が抱いた不安が巻き込んだ世界なの?そこまではくるみきれないか。

23)2007年7月18日(水)  船橋市民文化ホール トムプロジェクト ☆
 「カラフト伯父さん」 鄭義信・作・演出 
  ベンガル・冨樫真・岡田義徳
    三人芝居。劇場に入った時に、あ、このセットなら見てもいいなと思わせた。
   ダイハツハイジェットが乗り組んでくる。船橋市民文化ホールのステージを本当に運転して走る。
   三人だけ、二時間弱。なぜ、寂れた鉄工所なのか。なぜ、屋根が治っていないのか。何故、トラックの中に寝るのか。
   何故、実父が子供を気にするのか。馬鹿騒ぎをする元ストリッパーと、相変わらずふざけるベンガルの中で、
   30才ぐらいの子供だけが、ぶれない。謎を抱き続ける。謎は解かれてしまうと、ああそれだけのと思うけれど、
   そこまでを楽しめる。
    ふざけた親父といえど、宮沢賢治を使って少年にあこがれを抱かせた男なら、ベンガルではないような気がする。
  ラスト、ダイハツのトラックがまるで銀河鉄道のようにというなら、もう一つ仕掛けが激しくても良かったのかな。

22)2007年7月4日(水)  本多劇場
 「社長放浪記」 三谷幸喜・作 三宅裕司・演出 
  伊東四朗・佐藤B作・三宅裕司
    三谷戯曲だけれど、それより三宅祐司の臭いが濃い感じ。70才伊東四朗が面白い。自然で三谷の本が良くなじむ。
   佐藤B作もほどよく納まっていて、中村メイ子が締める。ほどよく笑ってなんにも残らず。伊東四朗の手の内か。
   アンコールでも笑いとりまくっていたのはさすが。

21)2007年5月29日(火)  船橋市民文化ホール こんにゃく座
 「フィガロの結婚」ボーマルシェ・原作 モーツアルト・作曲 加藤直・訳演出 衣装・合田瀧秀
    
一杯飾りの舞台。客はけっこう湧いていたけれど。

20)2007年5月22日(火)  鈴木興産2号倉庫 桟敷童子 ☆☆
 「軍鶏307」サジキドウジ・作 東憲司・演出 塵芥・美術
    
こきみよさ。この集団がある一つの方向をめざしている小気味よさ。倉庫の中で三階建てのセットが動き回り、
   一瞬のうちに病院となり、倉庫となる。
    導入はこの病院に入院する事になる女がどうしてこうなったかの説明なのだけれど、そのスピード感が小気味よい。
   いざ本編にはいると新劇的なスピードになる。堕胎が行われる世の中から捨てられた掃きだめの病院。
   復員の看護婦がやってきた。売春婦、性病患者、精神を病んだもの、そして子供を国に奪われた狂った母。
   飛行機の塔を作り出す。復員のくいつぶれ、やくざのばしりがやってきて、狂った女を差し出せと言う。
    男側は食い詰め、女はどん底。そこに軍鶏307と呼ばれる飛行機模型が夢をもたらす。ややパターン的な人物像
   だけれど、こうやってみせるんだのおもいっきりが小気味良い。

19)2007年5月19日(土)  ベニサンピット 地人会
 「ビルマの竪琴」竹山道夫・作 ふじたあさや・台本 木村光一・演出 
    
集団で台詞を割るので、全員が同じキャラに見えてしまう。人生が深まっていかない。
   ビルマの竪琴が全くの空想上に成り立っている、ということを始めて知った。となるとますます白々しく見えてしまう。

18)2007年5月18日(金)  青山円形劇場 ナイロン100℃
 「犬は鎖につなぐべからず」作・岸田国士 潤色構成演出・ケラリーノ・サンドロビッチ 美術・加藤ちか
    
7本の一幕劇を、切り貼りして、和装でダンスで転換して、いくつかの劇が同時展開して。
   となりの花、色っぽいし、驟雨もおかしい、弟もいいが、やはり長いよ。

17)2007年5月12日(土)  新橋演舞場
 五月大歌舞伎「妹背山女庭訓 三笠御殿」「隅田川続悌 法界坊・双面水照月」染五郎・吉右衛門 
    
妹背山、ここだけ見るとやはりわからないな。解説で納得するけれど。
    双面・法界坊と野分姫の亡霊を浄瑠璃と常磐津で語りわけ、瞬時に切り替わる演技。やりがいあるだろうな
    そこが面白い。

16)2007年5月11日(金)  紀伊國屋サザンシアター 文学座 ☆
 「ぬけがら」 作・佃典彦 演出・松本裕子 美術・石井強司
    
40才、郵便局員、真面目、でも同窓会で出会ったもと彼女と浮気した。別れ話をしに行った
   彼女の家を車で出る時に幼子をひいてしまった。首。そして母の死。そしてぼけた父。ぼけた父が
   突然脱皮。脱皮をくり返す度に父は若返り、ついに戦前の父まで戻る。父たちが並ぶと、
   父の人生が浮かび上がり、現在の息子の新しいゆるやかな再起を導き出す。そのしかけが飲み込めてくると
   ばかばかしいと思ったマジックが、過去の実現という温かさに変わる。そこに拍手。

15)2007年5月4日(金)  シアタートップス 道学先生
 「新しいバカをうごかすのは古いバカじゃないだろう」 作・中島淳彦 演出・青山勝
    
体育館ステージ脇のアンプとマイクと体育用具が置いてある小部屋。
   吉田拓郎が九州の田舎町にやってくるというので市をあげての大騒ぎ。招いた女子高生のもとに
   あらわれたのは売れないフォークシンガーたちとあやしげなマネージャー。
    市の期待と、レコード店主のなんとか仕様とするドダバタと、ばらばらでどうしようもないなフォーク芸人?
   手伝いに来ていた青年が希望をつなぐ。六角精二の、どうしようもない歌に、なるほど。
   青年の歌は最後はがなってしまったか。よくこれだけギター弾けるなあ

14)2007年4月14日(土)  シアタートップス 一跡二跳 ☆☆☆
 「きりぎりす」 渡辺淳一・原作 山田信夫・脚本 古城十忍・潤色・演出 磯田ヒロシ・美術
    
大変な緊張感をしいる芝居で、落ち着いて座ってられず、手がこわばり指がぴくぴくして見てた。
   バイトのベテラン医者が交代の医者を待っている。久しぶりに妻と、子と義父が博多行きのフェリーに乗る前に
   食事をしようというのだ。帰る間際、若い医師が声をかける。来て下さい。かけあがると14才の少女の心臓が止まっている。
   すぐ心臓マッサージ。酸素。薬。胸部切開。手づかみでの心臓マッサージ。優秀な看護婦でさえ貧血で倒れかかる。
   こちらも同じ。けれど、その中で、若い医師の言動がこちらをくすぐる。タバコをのみ、おしっこをもらしのマッサージに、
   ついに笑いが飛び出てくる。一つのセットの中に妻とおじいちゃんの光景が混じり、
   このベテラン医師の9年間の生き方が見えてくる。アメリカに三年居て子供が生まれた時も知らん顔。
   妻が交通事故で倒れた時も帰ってこない。離婚届をハンドバックにいれたまま待つ妻。
   若い医師の成長。夫婦の認め合い。きりぎりすの声。じわじわときいてくる一作だ。

13)2007年3月28日(水)  紀伊国屋ホール ラッパ屋 ☆☆☆
 「妻の家族」 鈴木聡・作・演出 
    
いやあ笑った。客席が身を乗り出したりリラックスしたり大笑いしたり、本当に久しぶりに一体感を覚えた。
   中庭があり、庭には池がある。舞台前面が離れ、その奥に中庭、その奥に母屋。ラッパ屋独特の奥行きのある舞台。
   喪服を着た新婚夫婦が帰ってくる。ハハキトク、母。と書いた差出人に気がつかなかったのだ。
   とにかくそのメールに釣られて、四人の娘たち夫婦と二人の息子、前夫二人が、計十二人がこの家に集まった。
   ストーリーを見つめるのは喪服で来た始めてこの家族に加わった新婚の夫。
   しかもしかも籍を入れて僅かの日、結婚相手と知りあってからもほんの数日。その小学校の落ちこぼれ教員が
   この家族を知っていく。
   バスの運転手の長男にこの大きな家を売ってお金の工面をしてほしいとそれぞれが言い始めたところから、
   事件はすすみ、お金、ゆらぎ、あつまる、とキーワードがしみてくる。

12)2007年3月17日(土)  スズナリ MODE ☆
 「美藝公」 筒井康隆・原作 天野天街・脚本演出
    
まあ、なんとも。二人で一時間四十分。映像を駆使して、くり返してくり返してくり返して。
    炭坑に埋め残されたイメージと、脚本が書けないというモチーフをくり返して、まるでゴドーのような
    くり返されるイメージ。タンゴも色っぽくないけれど、書けないの連続は面白かった。

11)2007年3月16日(金)  新国立劇場
 「コペンハーゲン」 マイケル・フレイン・作 鵜山仁・演出 村井国夫 島次郎・美術 服部基・照明 
    
島次郎のセットは、原子をイメージする。中央の円形の木製の床。それをとりまく円周。
   木製の床のエッジはブルー系の明かりで縁取られる。けれど物理は量子力学を中心に難しい。
   話を聞くにも相当の集中力が必要。ぼやっとしてしまった。

10)2007年3月12日(月)  スズナリ MODE ☆
 「変身」 カフカ・作 松本修・構成・演出
    
ベッドのあるグレゴール・ザムザの部屋。象徴的なオープニングでは三人で一匹の毒虫になっているが、
   芝居が始まると、健康な役者に対する家族と他の人々の反応で、変身をあらわす。
   部屋のドアと壁は紗になっていて、奥の食卓のある部屋とグレゴールの部屋とで話は進む。
    家族の期待を背負った兄が、ある朝、起きるのが嫌だなと思ったら毒虫になっていた。
   家族はおびえ、みとめ、困り、忌避する。そしてリンゴを投げつけられ、食事も満足に貰えなくなった毒虫は
   死んでいなくなる。二時間15分はやや長い。そこはかとなく面白い。

9)2007年3月7日(木)  HDD
 「売り言葉」 野田秀樹作・演出 加藤ちか・美術 大竹しのぶ
    
さすがおおたけ  録画なので

8)2007年3月7日(木)  新橋演舞場 ☆
 「出雲の阿国」 鈴木聡・脚本、栗山民也・演出 妹尾河童・美術 木の実なな
    
え?若いなぁ。ややこのダンスから始まって、ああ、この騒ぎを見に来たんだと納得。この笑顔が
   中心にどーんとある。中心にないときは求心力がちょっと落ちる。もてはやされ、時代に捨てられ、弟子に出し抜かれ
   江戸へ走り出すところでパンと終わる。それがこきみいいな。
   ピーターのずらがとんで、とり方がはめ直したので客席は大笑い。

7)2007年3月2日(金)  ベニサン・ピット tpt
 「薔薇の花束の秘密」 マヌエル・プイグ・作 木内宏昌・演出 朝倉摂・美術 安奈淳/毬谷友子 
    
舞台前面が白。舞台の上部は白い布が折り曲げられて。衣装もはじめは殆ど白。
   病院の一室。金持ちの厳しい老女が、個人で付添婦を雇った。やがて日が傾きアンバーから、ブラインドがなると
   ブルー系の白。幻想が始まる。互いの内面や過去が自在に登場する。
    老女は夫が浮気していた。娘は母を批判し、希望を託した孫は死んでしまった。
   介添え婦は、母の幻想を見る。一日しか持たないと思われた雇用関係は二週間も続きく。
   いきなりの緊張で始まる「私の薬に触らないで」。それが食べるシーンで笑いがとれて、少しずつ劇になじんでいく。
  二人が信頼しかける事と、だますことと、二人の幻想が入り交じり、ついて行くのがやっとになってしまった。

6)2007年2月24日(土)  スズナリ 弘前劇場
 「真冬の同窓会」 長谷川孝治・作演出
    
中華レストランのロビー。同窓会があるので次から次へと人が集まっては、くっちゃべって、なつかしがる。
   ここで働いている料理人の女の子が、ここでよく司会をしている男の離ればなれになっている娘で、その娘と
   ヤクザな道から劇作に身を投じようという男と今日同窓会の二次会で結婚式をあげようとする。10年という日々が
   どんな変化を人間にあたえてきただろうか。ブログから出発した小説家の女の子。馬にのってきた女。へんな先生。
   飲茶。飲茶に深く思いを寄せて、生きているのは娘の父と小説家だけという事になるのだが。

5)2007年2月17日(土)  シアターサンモール 青年劇場 ☆
 「博士の愛した数式」 小川洋子・原作 福山啓子・脚色演出 高橋あや子・美術
    
紗に数式や放物線がうつる、かわいいセット。家政婦の自宅と博士の家を照明の変化だけであらわす。
    たくさんの細かな場面の積み重ねで、少しずつ男に逃げられ一人で家政婦をしながら男の子を育てている女性が
    80分しか記憶がもたない博士のおうちに派遣される。おかあさんがどこかにそのまんま居る感じでいい。
    笑いを少しずついただきながら、息子の「博士は馬鹿って一度も言わなかったよ。」で落ちたりする。
    場面転換もっと少なくできないのかな。オイラーの公式の意味わからなかった。エンディング、夢で終わるけれど
    もっと教えて欲しかったと軽い欲求不満、と、リアルな芝居は注文が多くなっちゃうな。

4)2007年2月13日(火)  紀伊國屋サザンシアター こまつ座
 「私はだれでしょう」 井上ひさし・作、栗山民也・演出 石井強司・美術 服部基・照明 宇野誠一郎・音楽
   浅野ゆう子 梅沢昌代 大鷹明良 川平慈英

    
戦後、
東京放送会館の楽器置き場だった部屋。「尋ね人」のコーナーが作られその投書を読み、放送原稿を作る人々。
   自由を標榜したマッカーサーの元、組合運動が起き、新しい時代が始まったが、中国・朝鮮半島の半分が共産化すると共に
   進駐軍の統制が厳しくなっていく。サイパン島で記憶喪失した男を軸に話が進んでいくのだが、
   何かぼやっとした感じで、三時間半もつのだが、なにやら物足りない。
    桜町かみやホテルのように、悪役の手先となるものが舞台に登場しないからかも知れないな。

3)2007年2月12日(月)  スズナリ Theガジラ
 「セルロイド」 鐘下辰男・作演出、島次郎・美術 中川隆一・照明 岡まゆみ
    
白いビニールのゴミ袋が床一面におかれ、光を跳ね返すぐるぐる回るインテリアがぼんやりと自己を主張している。
   開演前のぼーっとした不安は、さすがと思うが、明かりが入るとつるんとグレイに塗っただけのパネルだけ。
   え?何回も血やしょう油が壁にたたきつけられるので、何回も上演できるようにふき取りやすい素材にしたと思える。
   1人の女が、血だらけの男を連れてきた。バットを持つ兄はいないような存在。やがて暴力的な父が現れ(立ち上がり)、
   兄妹はこの父から虐待を受け、母から食べさせてもらえず、やがて兄は母に暴力をふるうようになり、
   妹は父から性的虐待を受けていたらしい事がわかってくる。妹は子供を産むが、おむつを替えようとしてちんぽこがついている
   のを見て切り取ってしまいたくなる衝動に駆られ、育てられず、きいきいきいきいいう音にいらだち、壁にたたきつけ、
   頭に障害を負わせ、さらにダンボールに閉じこめたらしい。血だらけで飛び込んできた男も虐待を受けていて暴れると
   意識がなくなる。人を殴っているときだけが生きていると思えるように。話は連続して断絶し男は女の子供にも成り、
   三人全てが女の描いた幻想のようにも思える。ただ情念だけが渦巻く。
  

2)2007年2月8日(木)  新橋演舞場
 「殿のちょんまげを切る女」 中島淳彦・作、ラサール石井・演出 中村勘三郎・波乃久里子・藤山直美
    
明治維新前夜・九州で薩摩につくか、幕府につくかで迷う藩主。黒船から逃げ出した妖しげな通訳。
    秀吉の子孫であるというあやしげな奥方。ごり押しの島津。士族の身分を捨て百姓とともに、過ごした藩主が
    豊臣の埋蔵金をみつけ河川工事をして、ついに宮崎県知事となるというのだが。

1)2007年2月6日(火)  市川市文化会館 民芸
 「深川暮色」 作・藤沢周平 演出・高橋清祐
    
第一部は おみね  第二部は おしま、おりつ
   小さな話の二本立て。第一話は貧乏長屋の向かい側に赤子を抱いて途方に暮れている
   情けない男やもめが居て、赤子の世話を申し出た嫁入り前の娘と、ついに結ばれるという人情噺。
   第二話は、苦労の末に持った居酒屋に、自分を売って今は浮浪者のようになっている父が戻ってき、
   昔自分を食い物にしていた男も、島帰りとなって、再び、食い物にしようという話。
   第二話にははっきりした悪役が出てついに殺される。藤沢節というべきなのか。
   暗転によって舞台を大きく替えていくのがたるいな。

2006年

2006年に見た劇のベストフォー
    今年は忙しくて東京になかなか出られなかった。約30の芝居の中から
 かっちりとみせられた 「京紅ものがたり
 
心のひだひだに感じ、そして最後の水に  蝶のような私の郷愁
 
人の苦さと笑いに 酒坊ちゃん
 
演出に      「血の婚礼」

31)2006年12月16日(土)  スズナリ 鳥獣戯画 
 
「十八番」 知念正文・脚本 
    
一年ぶりに見た こなれた感じ ユニコが大きくなっていた

30)2006年10月120日(金)  新橋演舞場 
 
「獅童流 森の石松」 サタケミキオ・脚本 本木克英・演出 中村獅童
    
どうしようもない芝居を演出している獅童・だらだらと話が進み屋台で雷に打たれてタイムスリップ。
   といっても映画のように鮮やかにとはいかず、ただ芝居が続くだけ。ただ石松が死ぬ場所を知っているので
   その運命に逆らおうとするという設定がなんとか話を進める。はではでのスピード殺陣をやりたかったのだね。

29)2006年10月18日(水)  スズナリ The shampoo hat
 
「津田沼」 赤堀雅秋・作・演出 
    
古びた団地の一部屋。袖ヶ浦団地ぐらいのつもりかな。10年後の今、耳鳴りがして、鏡を見ると
   17才突っ張った自分がガンをつけている。10年前の高校時代のこの部屋で起きた事件と、その日につながる今、
   かわりばんこに同じ登場人物で、苦い日が浮かんでくる。今の奥さんをこの部屋に呼び出した日。
   悪ガキども、暴力団員、逃げようのない事件。それにつながる今。明るい奥さんのようで居て、許し難い苛立ちが
   わき上がる。それがねらいか。

28)2006年10月14日(土)  東京芸術劇場小ホール2 
 
「オホーツクの女」 本山節彌・作 岩村久雄・演出 内山勉・美術
    
総勢20人以上の漁師とそのかかあたちが、新造船での出漁の夜に集まる。酒とばかっぱなしと
   体制と。嵐と。

27)2006年9月25日(月)  HDD 
 
「蛇よ!」 松尾スズキ・作・演出 大竹しのぶ
    
大竹しのぶと松尾スズキの2人芝居 一日に5時間も稽古できて幸せとの公演後インタビュー。
    しのぶ、まさに、そこだね。

26)2006年9月10日(日)  新橋演舞場 
 
「魔界転生」 山田風太郎・作 G2脚本・演出 橋之助
    
あのいやらしくどきどきする山田風太郎がどこまで出せるかという所までは行かなかったね、やはり。
   花道を疾走する橋之助は気持ちいいだろうな。森のセットは厚みがあるけれど、ラスト幕切れの振り落とし
   及びその時のあかりはいかがなものかと。

25)2006年8月17日(木)  ベニサンピット tpt ☆☆
 
「血の婚礼」 フェデリコ・ガルシア・ロルカ・作 アリ・エデルソン・演出 板垣桃子 パク・ソヒ
    
L字型の黒光りする舞台・縁に並べられたスペインのグラス・ろうそく・靴。舞台を覆う透ける白い布と、支える赤い緋。
   ピアノ・ベース・ギター・パーカッションと歌で紡がれていく。花婿の母が圧倒的と思ったら、桟敷童子のおしの強い女優だった。
   よく見ると役者達も音楽座・四季・宝塚と、どうりで歌が台詞になって届くわけだ。
   生の音楽は婚礼の場ではタンゴ合戦の伴奏となりわくわく。
   花嫁とその昔の彼が、婚礼を前にしていらだっている。男のうその結婚、そして今その女の血が今、また沸き立っている。
   母の緊張の元、そのままに人がはまっていく。そしてついに奪い去る。夜の森、馬の背に二人がのって逃げていって悲劇が来る。
   月のヘア、あれでいいのかな。死の存在、と共に疑問。花嫁や男の方が月や死の役者よりはるかに人間の業を背負って神格化しているから。
 

24)2006年8月12日(土)  草月ホール 
 
「LOOT 薔薇と棺桶」 ジョー・オートン・作 鵜山仁・演出 安寿ミラ
    
グレイ系の書き割りで作ったセット。直線と平面のみ。クローゼットの等身大の鏡と中央の書き割りがブラインドで
   後ろから窓外の光景やら薔薇の絵が浮かび上がる。豪邸というイメージにこのセットは何かそぐわない。
   草月会館にぱっとあって居るのが大きな吊りもの。まるでもののけ姫のだいだらぼっちのよう。人の形に見えるのは
   ミケランジェロの天地創造の書いてある布。それに黒紗がかけてあり、最後に赤い薔薇が黒紗についているのがわかる。
   音楽を意図的に使い、照明を壁にくっきりと映し出す。
     最初のうちはなじみにくいものだったが、母の死体をもて遊ぶ息子、義眼をくりぬく女、どんでん返しをする刑事と、
   異常性が高まり、悪の打ち勝つ様に笑いが起きていく事に、そんな芝居にしたかったと、作り手の意志を感じた。

23)2006年8月8日(火)  SPACE雑遊 燐光群+グッドフェローズ ☆☆
 
「蝶のような私の郷愁」 松田正隆・作 鈴木裕美・演出 中川隆一・照明 奥村泰彦・美術 占部房子 坂手洋二
    
二人芝居 キャパ60ぐらいの客席に次から次へと人が入る。六畳間、一間間口の空間で置くが台所。そして窓。
   この窓に台風の夜が現れる。自己を予想されるヘッドライトも見事。そして終盤の六畳間が水中にある工夫。
   狭い空間の中でのタイトな芝居を楽しんだ。 年の差のある夫婦。ちゃぶ台に寄り添っている妻。
   駅前にマンションが出来たという話題を運びながら夫が戻ってくる。食べ物にまつわるすれ違い。
   そして、女の姉、夫の前妻へと思いが忍び込んでくる。

22)2006年7月24日(月)  紀伊国屋ホール 円
 
「ファウスト」 ゲーテ・作 石塚千明脚本 橋爪功 加藤ちか美術
    
一部マルガレーテのくだりだけは、なるほどこうやるかとも思う。二部ヘレナ・三部干拓と無理が目立ってきて
   訳がわかんなくなる。

21)2006年7月5日(水)  船橋市民文化ホール 前進座
 
「銃口」 三浦綾子・作 
    
本当に三浦綾子が書いたんだろうか。筋だけ追ったのだとするとなんと中身がなくなることか。
    前進座だから当然前を向いて演技する。でもそれ以上に客席に話相手を置いた事にして話しかける。
    これが説教となる。役者の交流など感じられなくなり、歴史事実だけを押しつけられることになる。
    途中、質屋の場から舞台は息を吹き返す。けれど特高取り調べ、満州、朝鮮とパターンだけになってくる。
    戦争の中の人間、形だけでは伝わらない。

20)2006年7月3日(日)  新橋演舞場 ☆☆
 
「京紅ものがたり」 水上勉・作 石井ふくこ・演出 十朱幸代
    
これが水上勉。どうしようもなく点と点の人が結ばれ糸になる。紅花を仕入れに行った先での、恋。京にやってきたとく。
   色つやの先代の心臓麻痺の死。同郷の仲居との出会い。清いままで別れられぬ男女。
   203高地から、昭和の終戦まで、京紅にかかわった、男と女。死に別れ、生き別れを経て、京紅の命を継いでいく。
   そのあやあやが面白い。

19)2006年5月24日(月)  船橋市民文化ホール 民芸
 
「明石原人」 小幡欣治・作 演出 松井るみ・美術
    
いかにも民芸らしく、かちっと人物が造形される。南風洋子のおばあちゃん。日色巴の音先生。
   松井るみのセットも壁を回転させて各場面を作る。かちっかちっと進んでいくけれど、ラスト付近理屈っぽいかな

18)2006年5月14日(日)  新宿花園神社境内 唐組
 
「紙芝居の絵の町で」 唐十郎・作演出 
    
赤テント。半分が失われた絵本の一ページにつられて、コンタクト屋が使い捨てコンタクトを貢いでいる。
   観客は老若男女、開演時期待の拍手が力強い。笑いもよく起きる。でもそれは身内の笑い。
   もともとわかることは期待できないが、一幕は何やら面白い。二幕に入って台詞のスピードは倍増。ついて行けなくなった。

17)2006年5月12日(金)  HDD
 
「おじいちゃんの夏」 G2・作演出 2002青山円形劇場
    
おじいちゃんのぼけが突然治って、借金とりに攻め込まれた一家を救っていく。
   小須田のじいちゃんと孫娘、息子夫婦が、笑いとペーソスで一騒ぎの夏を過ごす。借金とりと組の娘が悪役となって、
   ドラマを作っていくのだけれどこれはこれでいいのかなあ。

16)2006年5月4日(木)  新橋演舞場      ☆
 
5月大歌舞伎 
「増補双級巴 石川五右衛門」「京鹿子娘道成寺」「松竹梅湯島掛額」
    
石川五右衛門、いいとこどり。つづらぬけ、その瞬間見抜けなかった。南禅寺山門「絶景かな」だけで声が飛ぶ。
   相手は染五郎。 道成寺は福助、だんだん展開を覚えてきた。 
   八百屋お七は亀次郎。人形ぶりからいきなり、自分で演じる、歌舞伎の節操の無さ、面白ければいいは大いに参考になる。
   紅屋長兵衛のお土砂は笑いきれなかった。 

15)2006年4月28日(金)  シアター1010 ☆
 
「秘密の花園」 作・唐十郎 演出・三枝健起 美術・朝倉摂 三田佳子
    
水をかぶる席でなく見る唐。三田佳子の二役、朝倉摂の装置で、なにやら美しい。
    自転車が坂をかけおり日暮里の駅に漆にかぶれた彼が幻想の世界に巻き込まれる。
    生まれる前の港で未来を交わした男と女。心の中の旅がたのしいか。

14)2006年3月27日(月)  笹塚ファクトリー 燐光群
 
「フィリッピン ベッドタイム ストーリーズ2」
    「アスワン 〜フィリピン吸血鬼の誕生」作・ロディ・ヴェラ 
    「それで裸になったつもり」作・リザ・マグトト
    「フィリピンパブで幸せを」作・内田春菊

      フィリピンの俳優達がパワフル。アスワンが迫力。それを日本語バージョンでやる必要があったのかな?

13)2006年3月17日(金)  歌舞伎座       ☆
 
3月大歌舞伎 
「近頃河原の達引」「二人椀久」「水天宮利主深川」
    猿がいきなりとんだところに拍手・菊之助の踊りお見事・幸四郎の狂い、前半の堅さもこのためかと。
   御簾をあげての清元、それが狂いのための伴奏となる。現代劇ならみてられないものを、歌舞伎にしてしまうと
   見ていられる。

12)2006年3月16日(木)  船橋市民文化ホール 青年劇場
 
「喜劇キューリー夫人」 作・ジャン・ノエル・ファンウィック 演出・飯沢匡 黒柳徹子
    カーテンコールの黒柳徹子のトークが一番面白い、というのもなあ。原題が「シュッツ氏の勲章」というなら
   演出が違うのではないか。若々しい役者でやってみたいし暗転無しでやってみたいよ。

11)2006年3月9日(木)  日生劇場
 
「夏の夜の夢」 作・シェークスピア 脚本・小池竹見 演出・加納幸和 美術・島川とおる 尾上松緑
    役者の力ってこういうものだと、おしえるよう、4人の恋人達の場になるととたんに、空間が魅力が亡くなる。
    対して妖精の世界はそれなりに面白い。二重盆で鳥居と井戸と巨大な立木がまわる。日本がテーマと美術は初めから
    宣言しているのだがそれがわかるのは終幕、宴が去って松緑のパックが寂しげに残ったとき、盆の奥が開いて、
    現在の都会の夜の遠景があらわれ、ここは高台の神社となる。ここはきれい。

10)2006年3月4日(土)  シアタートップス ポツドール ☆
 
「夢の城」 作・演出 三浦大輔
    とにかくびっくり。黒幕がとんだと思ったら目の前にエアコンの室外機が置いてあって
    舞台の中が見えない。進行と共に客が笑い初め、見えないことに焦る。一場が終わると室外機も壁も消え
    部屋の中が丸見えになる。劇中台詞は一つもない。最低の人間の最低の生活を描くとのパンフ。
    雑魚寝の男四人と女三人、男たちはすっぽんぽんでうろうろ。すぐあはあはとなり、ゲームからはなれず、
    映像に時間をつぶし、どうしようもない時間がどうしようもなく過ぎていく。

9)2006年3月3日(金)  東京厚生年金会館       ☆
 
「トミー」
    久しぶりにロック・ミュージカルを見た。オープニングの時代説明、楽しかった。
   ピンボールにはまっていく流れも踊りも楽しい。
   時間的にいつかは聞こえるようになるとは思うのだけれど、鏡を割ったから、生まれ変わったというのも
   舞台上では単純に思える。わかりにくくなるのは、あるいは、ただ進んでいくだけになるのは
   後半、カルトの教祖的集団になってから。「あなた」についていくの「あなた」ってだれとか思ってしまった。
   トミー自身を語っている歌手が歌っているのだから、トミーの事かとも思うのだけれども。

8)2006年2月24日(金)  歌舞伎座       ☆
 
2月大歌舞伎 
「梶原平三誉石切」「京鹿子娘二人道成寺」「人情噺小判一両」
    幸四郎の梶原、まずまず。玉三郎・菊之助の二人道成寺、きれい。てぬぐいの踊り、色っぽい。
    吉右衛門・菊五郎の小判、悲しい結末、良し。

7)2006年2月21日(火)  本多劇場 三軒茶屋婦人会
 「女中たち」 作・ジャン・ジュネ 演出・G2 篠井英介・深澤敦・大谷亮介
    
やっぱり難解な本かなあ。強引な組み合わせの三人が力ずくで見せようとしている感じ。
   難解な本を男でやると、さらに色っぽくなるのか、すさまじい恐ろしさが出るのか、笑えちゃうのか。
   そこいらへんが中途半端な気がした。

6)2006年2月17日(金)  シアター1010 ☆
 「ベルナルド・アルバの家」 作・フェデリコ・ガルシア・ロルカ 演出・高瀬久男 舞台美術・朝倉摂 照明・沢田祐二 小川真弓・占部房子 
    
宇宙を切り裂いてきて浮かび上がっているようなセットが、おおっ。盆がまわって心理が変わる。
   緊張した舞台運び。娘達の情念の表出が面白くて。召使いが舞台を締めて。母正面切りすぎ?房子はまだ房子らしく。
   エンディングは美しくさえある。

5)2006年2月15日(水)  シアタートラム t-factory
 「フクロウの賭け」 作・演出 川村毅 舞台美術・島次郎  江守徹
    
暗転が多い・最初の内の暗転はトラムの柱や壁を様々に浮かび上がらせて飽きないけれど時間かせぎと感じる。
    江守徹が不気味でしかも笑いがとれる。そこにあまり無理がない。過去の事件が徐々に浮かび上がって
    くる。その時の互いの傷、そこに救いを求めるという事。

4)2006年2月11日(土)  スズナリ 桟敷童子
 「泥花」 作・演出 東憲司
    
筑豊の炭坑の持ち主の子ども達が、別の炭坑住宅に逃げ込む。そこでも時代に翻弄されていながら
   強く生きている人たちが居て、となるのだろうが、ただ単純に順を追っているように思えた。
   前回の博多湾岸台風小僧のどきどき感がない。ラストの泥花の機関車には期待していた分がっかり。

3)2006年2月4日(土)  東京芸術劇場小ホール1 桐朋学園卒公 ☆
 「ブンナよ木からおりてこい」 作・水上勉 脚色・小松幹生 演出・篠崎光正
    
全30年前の青年座の役者達の楽しさ、一人一人が思い出される。
    22才4年間を過ごしたとの一人一人のアンコール挨拶に真の演出が発揮される。
    そこが一番面白かった。けれど、初めの堅さ、前半の笑いの取れ無さ、蛇のちょっと物足りなさ、
    あるけれどそれなりのブンナを楽しめた。

2)2006年1月28日(土)  東京芸術劇場小ホール1 道学先生 ☆☆
 「酒坊ちゃん」 作・中島淳彦 演出・青山勝
    
全員が傷を持っている。そこに漱石の坊ちゃんときよが登場する。きよは母代わりに坊ちゃんを育て、
   その父に求婚されると坊ちゃんがいやがると思って出て行く。手紙を常に送って、何でも周りにしゃべっちゃうので
   このアル中断酒会の人はみんな「女癖が悪いんだって?」と聞いてくる。
    酒を飲んでは殴られる妻、別れる別れると他の男に寄っていきそうになりながら夫の側を離れない。
   断酒のために家族と離れ、子ども達に手紙を送り続ける男の元には、ラジオから子ども達がリクエストした美空ひばりが聞こえてくる。
  手が震えて水をこぼす手品師。落語たっぷりのカクスコの役者。ださいけれど面白い。

1)2006年1月24日(火)  船橋市民文化ホール 東京ヴォードヴィルショー
 「竜馬の妻とその夫と愛人」 作・三谷幸喜 演出・山田和也 美術・石井強司 
    
ラストにいろいろ落ちをつけて締めているけれど、ああただ女を奪い合っているだけだ、と思えてくると途中やや飽きる。
    佐藤B作の遊びに客は結構乗っているけれど、三谷幸喜らしくシチュエーションを組み上げた感じはしない。
    もちろんキーになる落ち、とか笑えるところは多々あるのだけれど。でもラスト、あれいっちゃっていいの?

2005年

2005年に見た劇のベストセヴン
    今年は約40の芝居を見た
 パワーが気持ちよかった 「博多湾岸台風小僧
 
心のひだひだを楽しんだ  「リタの教育」
 
苦さを逃げられた気がするけれど 「歌わせたい男たち」
 
笑って笑って苦くて      「片づけたい女たち」

 
かっちりとした芝居に仕上がっていて 「恋ぶみ屋一葉」
 
玉三郎 清姫の人形ぶり・知盛の踊り
 
 
番外でDVDだけれど 「フレンズ」

39)2005年12月26日(金)  スズナリ 新宿梁山泊
 「風のほこり」 作・唐十郎 演出・金守珍 
    
水かぶったぁ。ビニールシートを持ち上げつつ最前列での観劇。唐の世界にはっきりした筋を探すのは無意味と思いつつ。
    劇場地下に螺旋階段が水たまりに落ちていく。田中加代が書こうとする「尻子の旅」。義眼を彼女は借りている。文にしていくと
    イメージが広がるが、めくるめく次から次へとは行かなかった。水の底に鍵がありそれが最後に見られるだろうという期待が
    水の中から現れた鏡では不足だ。風の又三郎のテントが割れ降りしきる雨の中を飛行機が飛ぶラストには全てを許す力があると思う。
    スズナリでは、そこまでできなかった。スズナリもただの箱であるとわかってしまうという結末が悲しい。

38)2005年12月16日(金)  off off シアタ− 佐藤正隆事務所 ☆☆☆
 「リタの教育」 作・ウィリー・ラッセル 演出・高瀬久男 
    
富本牧子のリタがどんどん素敵な女性に変わっていく。だらしない有川博のフランクが落ちていく。
    脚本読んだ段階で面白かったが、ゆたかな観劇だった。十分で若返らせてあげると、はさみを使うリタと
    耳を切られたと居たがるフランクの笑顔を素敵。

37)2005年12月16日(金)  松戸市民会館 シアター青芸 馬橋高芸術鑑賞会
 「ウィンズ・オブ・ゴッド」 
    
漫才から力がない。笑いがとれない。生徒にはなんとか見続けたいという意欲はあった。
   声がよく通らない。
鑑賞会としてはなんとか成立している。

36)2005年12月14日(水)  歌舞伎座 ☆
10月大歌舞伎 「恋女房染分手綱 重の井」「船弁慶」「松浦の太鼓」
    
船弁慶の知盛(玉三郎)かっこいい。勘三郎は船弁慶の船頭、松浦の殿様と愛嬌があるのが楽しい。

35)2005年12月6日(火)  紀伊國屋サザンシアター  1980
 
「行路死亡人考」 藤田傅・作演出 
    
5才の時に別れた父が焼身自殺したと報告され、こだわるようになる。
    この父ではないか、こんな死ではなかったのか、こんな別れではなかったのかと、三話にわたって考えていく。
    5歳児をおぼれさせてしまった男、出稼ぎで解剖の献体にサインした立会人、精神病院に逃げ込んだ男
    早口でまくし立てる、女二人と口をきかないオッチャン。津軽から出てきたハイテンションな母娘。一つのスタイルだなあ。

34)2005年11月13日(日)  新橋演舞場 
 
「児雷也豪傑譚話」 河竹黙阿弥・作 尾上菊五郎・演出 菊之助・松緑・亀次郎
    
第一幕ではやばやと大蛇丸の蛇(神楽の蛇みたい)が登場し、谷に落とされた幼き雷丸が大きくなって復讐を誓う。
   児雷也のガマと綱手姫のナメクジ(この形はおもしろ)との夫婦で大蛇丸と戦う。さっそくガマは背が割れて、児雷也のワシにのり飛び去る。
   フォーまで飛び出す笑いの場、悪代官とその妻を児雷也がやっつける二幕。大蛇丸を倒そうとして毒気にやられる。
   姉の生き血を飲んで生き返る自己犠牲の三幕。硫黄燃えさかる中を戦う和太鼓付の立ち回り。と、てんこもり。

33)2005年11月12日(土)  スズナリ
 
「十八番 (おはこ)」 知念正文・作・演出 松井るみ・美術 沢田祐二・照明
  
 
大石内蔵助が切腹を前にうなされている。死を怖がっているのか?歌舞伎の夢を見ている。一時間45分の中で次から次へと
  十八番の一部が現れる。狭い中であせいっぱいで踊る。

32)2005年10月30日(日)  サンシャイン劇場
 
「サラ 追想で綴る女優サラ・ベルナールの生涯」 ジョン・マレル・作 宮田慶子・演出 松井るみ・美術 沢田祐二・照明
  麻実れい・金田龍之介
    
老残ということ。骨折のくだり、足切断のくだり、迫力。ピアノが屋外にあるセットなぜなんだろう。

31)2005年10月22日(土)  ベニサンピット ☆☆☆
 
「歌わせたい男たち」 永井愛・作・演出 太田創・美術 中川隆一・照明  戸田恵子・大谷亮介・近藤芳正
    
笑えないよ、これ。どうするんだよ。しょっぱな戸田恵子のセクシーシーンに笑い始まったものの、うーん、うーんと
    うなりながら、結局笑ってしまう。おー力業てな、装置と旗と照明との終盤近くの演説シーン、そうやって、
    どちらにもつかずに、終わらせるか。その中でシャンソンが心に響いてくる。たしかに一歩進んでいる。めがねと夕景とシャンソンと。
    

30)2005年10月15日(土)  紀伊国屋サザンシアター
 
「島清、世に敗れたり」 松田章一・作 高瀬久男・演出 松井るみ・美術
    上杉祥三の島清、占部房子のお嬢さまのあらそい、森尾舞との色事が面白い。天才と傲慢と狂気あたりがモチーフとなって
   動いていくのだけれど、色事だけなら風俗喜劇。虐げられた金沢時代がエネルギーの元という設定のようにも見受けられるけれど
   二人の娼妓たちと深く関わっているわけではない。貧しい、だから飛び出した、というだけでは、狂気にいたる事にはならないのではないか。

んといっても玉三郎の清姫すごい。人形ぶり、波布、金銀の蛇体。振り落として一面の桜。
    河庄はしつこいかも。

28)2005年10月10日(月)  新橋演舞場 ☆☆
 
「恋ぶみ屋一葉 齋藤雅文・作 江守徹・演出 朝倉摂・美術 吉井澄雄・照明 池辺晋一郎・音楽 高橋英樹・浅丘るり子
    しょっぱなから、きっちりと人物像が組み上げられていく。文士の元に集まる書生・編集・女中。
    長い物が嫌いな文士、一葉が無くなった事が一葉先生と呼ばれる女の登場で怪談もどきに。
    浅岡るり子が太い声と華でかざる。誰が書いた恋文か、客にはわかって登場人物にはわからない。
    こんな人間模様ゆったりとみていられるのも幸せなのかもしれない。
    朝倉摂のセット、盆を三つにわけているのだが、かっちりしていて舞台全体の空気を作り上げている。
    不忍池の蓮。石段にあたる光。良い。

27)2005年10月8日(土)  紀伊國屋サザンシアター 岡部企画 
 
帰去来 赤とんぼ ぶんととんだ
    若い役者達と何人かのベテランの集合
、野球選手が特攻に行った。
    状況説明に必死という感じ。

26)2005年9月6日(火)  歌舞伎座 
 
9月大歌舞伎 「平家蟹」 「勧進帳」 「忠臣連理の鉢植」
    平家蟹 芝翫の玉蟲が海に入っていく、所作いい。吉右衛門の弁慶がお客の笑いを呼び、
    弥七とお欄のやりとりに客がよく反応している。

25)2005年8月14日(日)  スズナリ ☆ 燐光群
 
「だるまさんがころんだ」  坂手洋二・作・演出
    
傾斜エプロンステージの横で見た。このセットは「私の戦争」と同じ。真横あるいはやや後ろから見るせいか
   ところどころ聞き逃す。特に字幕は見切れて英語の台詞はほとんどわからない。笑いそこなった。
   ヤクザのお兄さんの地雷調達の話が面白い。特に喫茶店で会う女との会話が肉を感じさせてよい。
   「今日会社で事件があってな」しかいわない無口な地雷作りの親父など何本かの縦糸が肉太。

24)2005年8月11日(木)  DVD ☆☆
 
「フレンズ」 飯島早苗・作 長谷川康夫・演出 升平香織・美術  齋藤由貴・七瀬なつみ
   
DVDでみたのだけれど いいなあ。ネタバレするけど、メモしておこうっと。男に振られて酔っぱらった東京在住の栗子が、
   家族写真が載ってない素っ気のない年賀状を出した、顔も覚えてないはるかにメールするところから、
   二人のメールだけの交流が始まる。恋バナに花を咲かせるうち、札幌のはるかの男が東京に行くから、「案内してあげて」と
   なる。パターンがあっという間に客に読めるけれど本人たちだけがわかってない。
   はらはらしながら、齋藤由貴の馬鹿さと強さにひかれ、どうしようもないい世界にはまっていく。
   ラストそう来るかといった苦い解決になって、二人のぐっと深まった人生だけが残る。 泣いちゃうよ。
   

23)2005年8月10日(水)  新橋演舞場
 
「もとの黙阿弥」 井上ひさし・作 木村光一・演出 高田一郎・美術 
   
おーっ井上ひさしが、大舞台の盆をぐるぐる回しながら、蜷川風に始まるなんて。
   23年前の大竹しのぶ・片岡孝夫・水谷良重・の方が面白そうだな。田畑が弱いよ。高畑は良い。
   井上ひさしにしては松竹新喜劇風、それを最後の結末で味付けているけれど、やっぱり役者の芸で見せる芝居かなこれは。  

22)2005年8月8日(月)  本多劇場  劇団健康
 
「東京あたり」 ケラリーノサンドロビッチ・作・演出  
   
一番笑えるのがケラが「キレイ」と「鈍獣」の本を公園のゴミ箱に捨て、手塚とおるにつっこまれるところ。
   小津の東京物語・黒沢の生きるを混ぜてぐちゃぐちゃにして笑いをとりにいってといったものだけれど、くすぐり程度。

21)2005年7月28日(木)  本多劇場  毛皮族
 
「銭は君」 江本純子・作・演出  照明・中川隆一 舞台・加藤ちか
   
元気いっぱい。宝塚と大人計画、ちらっと鳥獣戯画の若い頃
  歌いたい、踊りたい、脱ぎたい、キスしたい、暴れたい、ちょっとドラマもやりたいの大騒ぎ
  しいて流れを追える人物は、劇団を作って、借金増やして銭借りるだけになった人物、
  お笑いを絶望的に求め、結局は人を殺してしまう人物


20)2005年7月12日(火)  スズナリ  桟敷童子 ☆☆☆
 
「博多湾岸台風小僧」 東 憲司・作・演出
    
新宿梁山泊に木冬社を足したらこんな劇?テーストは赤テント。彼岸花がスズナリにお化け屋敷のように飾られている。
  マッチ工場から逃げてきた姉が曼珠沙華を食べて死ぬことばから、全ては始まる。唐風の地声の唄。音量いっぱいの効果音。
  曼珠沙華を切り抜く照明。全てを隠すスモークとブルーのバックパーライトの列。河あさりの長屋で、姉を亡くした弟がはい上がろうとしている。
  そこに女工が逃げてくる。スキンヘッドの戻しや達が追っかけて暴れる。元締め、小悪人、嫉妬、性病、官憲、と色濃く人間を塗り上げていく。
  舞台全体が船になり、曼珠沙華が吹き荒れる。面白い。

19)2005年7月10日(土)  吉祥寺シアター  桃唄309
 
「ブラジャー」 長谷基弘・作・演出
    
まとめてみると、大規模店舗に押されがちな商店街の人々と、手縫いのブラジャーをつくることになるデザイン学校出身の女の子。
   何もない空間に多数の男女の行列が行進してきて入場、合図の後、ばらけて演技の準備を始める。
   どんな役でも時代でもセット無しで飛びますよすスタイル。唄も入るのだけれど、ない方がいいかも。
   ブラジャーが発明された時、日本で作り始められたとき、商店街の一角で手作りブラを売りはじめる時、
   沢山の話をいっぺんにやったという事。

18)2005年5月28日(土)  東京芸術劇場小ホール2 PEEK−A−BOO
 
「Yell たとえきみにとどかなくても」 武松志朗・作・演出
    
取り立て屋が実はナィーブで、同棲記念日の花束を買いに行こうとして、自殺した者の家族に殺される。
   それだけの内実を持つモチーフだけれど、台詞で深まっていかない。

17)2005年5月22日(日)  シアター・アップル キャラメルボックス
 
「僕のポケットは星でいっぱい」 成井豊・作・演出
    
一体この人たちは成長しないの、とあきれた。銀河旋律の続編・広くて素敵な宇宙じゃないかの一歩手前。
   そこにストーリーを差し挟む能力は相変わらず。母の死を認めたくない少年の心を、タイムトラベルという安易な方法だけで
   解決してしまう。もっとかけないの?過去の二つの作品に頼っているということでも、二作を越えてない。

16)2005年5月21日(土)  俳優座劇場 シェークスピアシアター ☆
 
「冬物語」 シェークスピア・作 出口典夫・演出
    
隣国の王に滞在を続けるように妻が求めたら承諾しただけで嫉妬に狂ってしまう。開幕僅か五分ぐらいの速さ、これは見事。
  道化・シェークスピアにつきもののこの飛躍、やはりなじめない。 だがそのおかけで話が進み、不可能と思われる終盤を
  納得させてしまう。まったく不可能だよ。なぜ死んだと思ったの。なぜいきなりポーリーナが結婚しちゃうの。
  それをそれほど気にさせないのが仕掛けなのか、ちとうるっと来た。もちろんこれはポーリーナのせい。

15)2005年5月15日(日)  ブレヒトの芝居小屋 東京演劇アンサンブル ☆
 
「林檎園日記」 久保栄・作 広渡常敏・演出 林光・音楽 高田一郎・舞台美術
    
固い句読点で切るようなしゃべり。一回入ったプロンプ、はっきりしたとちり。あいかわらず難題。
  北海道に入った先駆者達がリンゴの木を植えた。士族のリーダーであった家は、あとから入ってきた者たちに負けていく。
  長女の日記を読み上げていく形で状況が作られる。
  金策のために買い足した土地を売って元の家に引っ越してきたその日。
  囲炉裏のみえる建物内だけで話が進む。
  ここに登場するのは林檎園を経営しようとする叔父・雇い人・長女、隣家の男。
  ヒットラーユーゲントとの交流にあこがれ仕事もしないでふらふらしている長男。
  林檎園の経営に破れ妻に死別し、鉱山に手を出し、林檎園を破産させてしまう父。
  官有地をいただいたと、国を敬う母。
  骨格のしっかりした人物達が、しっかり、組み合っていく脚本が良い。
  長い上演時間であるが見ていられる。
   あがめていた国を否定していく過程は良くわかるが、それから脱却することが、書いた小説を焼くことなのだろうか、
  今上演するに当たって、何かが違う気がした。 
   高田一郎のセットは食事の場面で映える。けれど新品のクレーン、家の中のつらら、役者が下がっていく二階は疑問。

14)2005年5月7日(土)  シアター・アップル KERA・MAP #003
 
「砂の上の植物群」 ケラリーノ・サンドロビッチ・作・演出  常盤貴子・筒井道隆・渡辺いっけい
    
近未来・日本に戻る飛行機が戦時下のある島に墜落。数人が生き残る。激しく軽快な音楽で映像にテロップが出されて進行する。
   現実に外にある戦争は、花火のような遠景で、軽く扱われるが、男と女、人間関係のどろどろは救いようもない。
   この救いようもなさがさらに進んだ未来に続くということで希望に続きそうなのだが、決して明るいとは言い切れない。
   この、救いのなさが言いたいことなのかとも思うけれど、「消失」の相手の記憶を消してしまうほどの愛情がない故に、むなしく、
   そらぞらしく、人物がただのこんなこともあるぞ、程度にしかなっていない気がする。有名タレントの使いすぎ?という気もした。
   なにか解け合ってない。、

13)2005年4月30日(土)  シアター・サンモール BQMAP
 
「イカロスの宇宙」 奥村直義・作演出
    
こちらはちょっとつらい。若者向けなのにねている客も。どこかの集団力高校演劇かと思う役者の使い方。
  美しくないダンス。下手な歌。嘘をついて好きな女の子に近づいていたつらさが役者の一人にかかっていて、
  それと宇宙船の中のドラマが同時展開するのだけれど、幻想が幻想になりえず、ごちゃつく。 

12)2005年4月29日(金)  本多劇場 動物電気 ☆
 
「寝太郎の新作カレー」 正岡泰志・作演出
    
ぐずぐすしているカレー屋のマスターが自信をつけていくだけのコメディなのだけれど
   飽きることはない。跳び蹴り、突き飛ばし、酢を飲む、娯楽はこうだよと示しつつ古典的な人情話になっている。
  本多初進出、まあ許せるかな、笑っちゃった。若い女の子中心に満席。補助椅子で見た。
  本多の補助椅子は前から5列目ぐらいなので嬉しい。 

11)2005年3月20日(日)  新橋演舞場
 
「ヤマトタケル」 梅原猛・作 市川猿之助・脚本演出 朝倉摂・美術 吉井澄雄・照明 市川右近
    
クマソの兄弟を倒すシーンが前に見たときからよっくおぼえている。カニとタコの背中の紋様、バラバラと落ちる壁。
   特にこれといった葛藤はないのだけれど、殺陣と舞台美術でのんびりと見られる。伊吹山の山神や姥神も楽しい。

10)2005年3月17日(木)  船橋市民文化ホール 無名塾
 
「いのちぼうにふろう物語」  山本周五郎原作「深川安楽亭」より 劇作・驕@巴 堀内紀男・舞台美術 池辺晋一郎・音楽
    
え、なにこれ? 見得を切りたいだけ? 絵に描いたような同じ演技。耐えきれない。

9)2005年2月20日(日)  本多劇場 阿佐ヶ谷スパイダース ☆
 
「悪魔の唄」  長塚圭史・作・演出 加藤ちか・舞台美術 
    
イントロから不思議な雰囲気。やがて腕がとれる兵隊、頭が割られている、顔が焼けた男、
    と前から二列目で見るには引いてしまうリアルなメイク。夫の不倫で精神が壊れた妻の養生に来た山間のお屋敷で、
    死者がよみがえる。それだけで成立しそうだけれど、そこにゾンビとなってよみがえった日本軍兵士の思いが加わる。

    と、逆に怖さが薄まってしまう感覚がある。日本兵としての口の利き方を持っていないからではないか。
    不倫によって壊れた妻とやり直そうとする男の気持ちの緊迫はよくわかる。
    トータルで「日本をまかせる」といわれた面白さもわかる。兵士の実在感、が中途半端かな。ドアのトリックはすごい。

8)2005年2月16日(水)  紀伊国屋ホール こまつ座 ☆
 
「円生と志んしょう」  井上ひさし・作 鵜山仁・演出 石井強司・舞台美術 照明・服部基 音楽・宇野誠一郎
    
円しょうと志んしょうが
満州に渡る。戦況悪化、大連に逃げ込む。その大連でしぶとく生き抜いて帰ってくる、
    と言った話なのだけれど、それだけに終わってしまっている。大連の宿屋、売春宿、喫茶店、路地裏、とすみかを
    変え、四人の女優達がそれぞれの場で違った役を演じる。優れているのは二幕の修道女達とのからみ。
    一言ずつが神の言葉に似て修道女の誤解を生む。けれど、笑いにより救われるという言葉は確かな重みがある。
      

7)2005年2月14日(月)  市川市文化会館小ホール グループ る・ばる ☆☆☆
 
「片づけたい女たち」  永井愛・作・演出 大田創・舞台美術 照明・中川隆一
    
幕が開いた瞬間に
客席のおばさん達はどっと笑い出す。なんとまあ、よく散らかしたものだと。
    それが自分の生活体験に根付いている笑いだから、あとは50代の3人の役者が何をしゃべっても笑い転げる。
    「あれよあれ、なんだっけ」と忘れるとか、腰が痛い、腱鞘炎、首痛い、片づけようとして散らかすとか。
    その中で、永井愛が生きていた高校時代が
    くっきりと現れる。ベトナム反戦決議。コーチとの事件。すべて跳び箱のかげでの会話で話していたこと。
    恐怖の電話。そしてその解決がとんでもない方角からやってくる。客が笑いすぎて台詞が聞こえないのが残念。

6)2005年2月10日(木)  スズナリ TFactory ☆
 
「クリオネ」  川村毅・作・演出 島次郎・舞台美術
    
団塊の世代は戦争をもうれつに仕事をする戦争に変えた。そのあとに来た、現在40代の人間。
    確かな物がない。
シナリオライターのところに映画監督がやってくる。殺人を起こした者にしがみついていく。
    もしかしたら、その事もはっきりしない。いらいらいするような中心の欠如。ただ一人の女もいいな。
    遠近法の見本のような三方の壁。
    扉のむこうにあらわれたクリオネのイメージ、照明見事。

5)2005年2月5日(土)  シアターX 京楽座 ☆
 
「をぐり」  ふじたあさや・作・演出 石井強司・舞台美術
    
小栗が暴れ馬を制するあたりから話が面白くなってくる。餓鬼になった人形の登場もいい。
    小栗の復活を喜ぶ父母、再会する照手と小栗のシーンも高揚する。荒唐無稽な話をどう実現するか。
    餓鬼になった小栗から見たら世の中はどう見えるかなどと本を読んだ時には考えていたけれど。
    よくさらっていたといった所か。

4)2005年2月2日(水)  PARCO劇場
 
「Shakespear's R&J」  シェイクスピア・作 ジョー・カラルコ脚色・演出
    
台詞がしゃべりきれない。滑舌の問題?シェイクスピアの台詞を回せない。
    演出家が日本語のニュアンスをつかみきれないのが原因?
    カソリック全寮制男子校の4人の生徒が夜中に「ロミオとジュリエット」を読む、という構成だけれど
    結局はロミジェリの一パターン。夜中に読み演じ始めてしまうがゆえに、時々外部が感じられるようにはなっている。
    何もない四角のスペースで演じる事は可能だと思ったし、手や足でリズムとったり、赤い布一本で剣もナイフも毒薬も血も
    あらわす演出はさえているとは思ったけれど、「ロミオとジュリエットしらない人にはわからないわよね」と隣のお姉さんが言い
    後ろの伯父さんはいびきをかいていた。台詞に力が無いと言う事でしょ。

3)2005年1月21日(金)  新橋演舞場 ☆
 
新春大歌舞伎「鳥辺山心中」岡本綺堂・作 「文屋・喜撰」 「御所五郎蔵」河竹黙阿弥・作
    
市川団十カの五郎蔵、左団次の土右衛門、なかなかしまった舞台。
    新春につき、切り結ぶ最中にチョンパー、チョンパーもここまで来るとすごいな。
    鳥辺山、心中物はなぜに死ぬかと思ってしまうな。

2)2005年1月12日(水)  歌舞伎座 ☆
 
初春大歌舞伎「鳴神」 「土蜘蛛」 「魚屋宗五郎」河竹黙阿弥・作
    
久しぶりの歌舞伎座 にぎやかで楽しい  
    鳴神は三津五郎 雲の絶間姫は時蔵 しゃくのシーンも楽しいし しめ縄きったあとの 絶え間姫の雨中の運びもすごいな
    宗五郎は幸四郎、幸四郎の酔っぱらいも、あまりバタくさくなく、なかなか。 
    番長皿屋敷と違い、無理矢理ハッピーエンドに持っていく運び うーん でいいのだろうな

1)2005年1月4日(火)  こまばスズナリ 青年団 ☆
 
「S高原にて」  平田オリザ・作・演出
    
堀辰雄の「風立ちぬ」をキーワードにしながら、サナトリウムの休憩室で、患者と見舞客達のドラマが
    展開していく。一人は半年もサナトリウムにいるために東京にいた時は毎日一緒にいた彼女が、
    久しぶりに訪ねてきて、その本人ではなく変わりに一緒に来た彼女の友人が彼女の結婚を告げる事。
    一人は、婚約者が迎えに来るが、彼自身はサナトリウムにいる女性患者をモデルに
絵を描き始めている。
    一人は4年もここで暮らしている男。砲丸投げの選手だった彼女に見守られながら、高原のピンクドラゴンと呼ばれるほど
    女にもてているが、体力が落ちてきてやがて死も近いものと思われる。
    久しぶりに青年団を見たが、随分上手くなったものだと思う。あのワザと下手にしゃべっているような感覚がなくなっている。
    

2004年

2004年に見た劇のベストセヴン
    今年は沢山の芝居を見た
 狂いそうになるぐらい考えた 「ささやく声」
 
レベルの高い娯楽  「高き彼物」
 
今をそのまま芝居に 「私たちの戦争」
 
笑って泣けて      「大阪嫌い物語」
 
初演のキャストにはかなわないけれど「父と暮らせば」
 
時代にはまった    「新三国志V」
 
どうしようもない笑いとつかみ「ウィンズ・オブ・ゴッド」
 
番外でVTRだけれど 「剛&剛」

40,41,42)2004年12月28日(火)芸術鑑賞会の為にVTRで
「夏の庭」
東京芸術座 
  夏休み三人の小学生の一人が祖母の葬式を経験する。
  死への恐れと興味。近くの一人暮らしの老人を見張り始める。
  心が触れ合うようになった時老人の戦時体験を聞き、奥さんを探し、二人を思いやり
  老人の死に接し、三人それぞれ成長していく。ビデオではあるが、
  子役と老人たちの力のバランスがよく、楽しめた。
「遠い水の記憶」 東京芸術座
   オリンピックの第一候補だった男が盲学校の先生になる。
   子どもたちと接しているうちに、自分に勝った男が泳ぐことに自信を失ってやってくる。
   一緒に指導しているうちに、三者とも泳ぎにめざめる。
   単純なマイムで泳ぎを表現できるなど、多分持つと思うけれど、
   盲学校の生徒たちが、一人のおちこぼれを救い出すだけの記号になってしまってると思う。
「剛&剛」コーロ
   中学でてフリーターの十五歳が宮大工の家にやってくる。
   本人は働く気などまるでないのだが家を追い出されたも同然の剛には行き場がない。
   もといじめられっこの少年、もと暴走族の青年と触れ合っていくうちに、
   徐々に剛の父のこともわかってくるようになり、弟子入りする。
   かたりのおばちゃんの大阪弁のせいだろうか、飽きることなく、ひとりひとりの人物像がわかってくる。
   水商売らしい母ちゃんもいい。とても十五歳に見えない役者だけれど、許せるかな。

39)2004年12月28日(火)  スズナリ にんじんボーン
 
「冬のモナカ」  宮本勝行・作・演出
    
前半はハイテンションな役者達の稽古場、後半は外部から来たまともな演出家の前で稽古する
    ハイテンション演技しか知らない役者達。そのずれのどたばたが笑える。意味はなく、見終わった後はストーリーも

    わからなくなっている。それをねらった作品でもある。    

38)2004年12月23日(木)  ブレヒトの芝居小屋
 
「銀河鉄道の夜」  宮沢賢治・作 広渡常敏・脚本・演出 林光・音楽
    
ジョバンニの学校での星と答えられなかったシーン、母との会話、牛乳屋、丘に登っての孤独、イントロは
    スムーズに世界に入っていける。列車の中に入ってからがなにかもたつく。難解な言葉が、鋭いイメージにならずに
    ああ、しゃべっているとしか思えなくなる。年に一度のクリスマス公演、客全員のキャンドルの火、お客が何より楽しみにしている空気
    が伝わった。

37)2004年12月18日(土)  ☆ 練馬文化センター小ホール  シアター青芸
 
「ウィンズ・オブ・ゴッド」  
    
転換スピーディ、後半あきたので暗転しない手もあるだろう。暗転中に白い服が動くのは情けない。
    ラスト近くの特攻、やや短いかな。100mのくだり何か足りない。
    さりげなく抑えられた中から激しい体の動き、気持ちが吐露される。こども劇場の子ども達が下ネタに乗らなかったのは
    愛嬌。けれど、時代錯誤に対して正確な笑いが起きる。そして泣いている。こんなによくわかるものか。

36)2004年12月17日(金)  市川文化会館  現代劇センター真夏座
 
「人間ども集まれ」  市川東高芸術鑑賞会
    
なにか勘違い。わかりやすいがいい?ところが生徒は静かに見ている。なんかなさけない。

35)2004年12月15日(水)  新橋演舞場
 
「丹下左前」  中村獅童 美術・松野潤
    
スクリーンの中村錦之介は華があるなあ。その錦之介の中から獅童が現れる。ぐっとスケールが小さくなった気がする。
   殺陣は映画にかなわない。なら舞台の殺陣ってなにか、シンプルな中の風格かな、左前という役もあるけれど乱暴な立ち回りが
   還ってスケールを小さくしているかも。くるくる回り、次々とシーンをかえるセットに感心。麿赤児がこわい、さすが。

34)2004年12月8日(水)  紀伊国屋ホール  ☆ ナイロン100℃
 
「消失」  ケラリーノ・サンドロビッチ・作・演出 島次郎・美術
    
なんと多才なんだろ。新しい月を打ち上げて、そこに人々を住まわせた段階で、破滅的戦争が起きて
    往復する宇宙船が出せなくなる。人々は宇宙からおくられてくる映像の中で全滅した。
    地上は、戦争が終わり一段落しているが、インフラは壊れ、空気や水は汚染されている。
    父母が不仲で家を出て行き、残された兄弟の話。あに39才、弟35才、共に独身。
    新しい彼女にクリスマスパーティで告白しようとしている。お笑いかコントか、と思っている内に、
    この弟に記憶の消失があるという事に気がつく。そして、殺人の臭いが漂ってくる。
    そんな中でも、互いを求めようとする男と女が居て、互いを思う兄弟が居て、壊れていく。
    ガスをひねると水が出て、水道をひねると電気がつく。そなんナンセンスギャグで笑いながら、はまっていく。
    これを見て、明日を生きていこうとかは思わないけれど、知的好奇心で引きずられた。

33)2004年11月9日(火)  駅前劇場 シベリア少女鉄道
 
「VR」  土屋亮一・作・演出 
    
VRとはバーチャル・リアリティの略、けれどこれはそれに「ER」のもじり。ほとんどNHKのER吹き替え番のままに
    ストーリーは展開していく。吹き替えのわざとらしさを誇張して。それが微妙に笑いを含まない。まじめなのか、ただ
    下手なだけなのか。妊娠中毒症の女性の出産に向かって、ERなみの緊張感が高まってくると、4つのモニターに
    それぞれの役者のまるで無関係な場面が現れ、場面と話の進行だけは、緊迫感を持ちながら、モニターでの日常的
    な台詞が、役者から発せられる。前半で設定が充分わかっているから、どんなにあほらしい事をしゃべっていても
    何を言ってるかわかる手法。これによって笑いが頻発するようになる。あほらしい言葉を聞きながら深刻な場面に接する
    わけだが、心情は伝わる。実験劇といった所。

32)2004年10月17日(日)  スズナリ 鳥獣戯画
 
「洋食のような和食」  ちねんまさふみ・作・演出 
    
役者はみんな上手くなってきていたけれど

31)2004年10月17日(日)  新橋演舞場
 「あかね空」  山本一力・原作 江守徹・演出 八千草薫 十朱幸代 赤井英和 
    
八千草薫につきるかも。十朱幸代が18才から老婆らなって死ぬまでを演ずるふみの思いを中心に
    長い日々が語られる。小説の方がもっときめ細やかであろうと思われる。演舞場には最近めずらしくしっとりとした芝居。

30)2004年10月6日(水)  ブレヒトの芝居小屋  東京演劇アンサンブル
 「ワーニャ伯父さん」  アントン・チェーホフ・作 広渡常敏・演出 岡島茂夫・美術 
    
初めて武蔵関の芝居小屋に行った。千葉からは遠い。高い天井まで届く森の木の幹が円形傾斜舞台を囲んでいる。
    チップがばらまかれていてセットだけでも面白い。客席中央足下にはレールが敷かれいて引き枠があるとわかる。
    固い台詞しゃべり。チェーホフが描く人間像がくっきりと現れてくる。

29)2004年9月21日(月)  船橋市民文化ホール  ☆☆ 俳優座劇場プロデュース
 「高き彼物」  マキノノゾミ・作 鈴木裕美・演出 川口夏江・美術 高橋長英 藤本喜久子 森塚敏
    
これは面白い。交通事故で友人を失った良い子の苦しみと父と娘の結婚話が第一幕。でも、これだけなら
   まだ平凡か。高き彼物を意識している元教員の過去の事件が浮かび上がり、その姿勢をたたえつつさらっと終わる。
   トータルでハッピーエンド、でも途中充分楽しんだ。

28)2004年8月25日(水)  市川市文化会館大ホール  こまつ座
 「花よりタンゴ」  井上ひさし・作 栗山民也・演出 石井強司・美術 旺なつき 鈴木ほのか 占部房子 小林勝也
    
ホールがでかすぎる。袖幕せめて、暗転幕閉めて。でも、客席も小さくしなければ。一幕は声がよく通らず。
    二幕は初日よりこなれてきた


27)2004年8月14日(土)  博品館 ザ・ライフ・カンパニー ミュージカル座 スイセイ・ミュージカル
 45分三本立て 「マンハッタン・プリンス」「三人の花嫁」「贈り物」 
    
2本目の花嫁が良い。友達三人が同時に式を挙げる。その花嫁の待合室。1人は2度目。1人は指輪をなくし。
    1人は車いすの人との結婚。
    バツイチの花嫁から笑いがとれ、笑い続けていくうちに、お、なるほどと思わせる。45分なら3人しか出さない。これがいい。
    1本目はひどい。3本目は、いつもの練習のダイジェストと言ったレベル。
    

26)2004年8月11日(水)  スズナリ  かもねぎショット
 「窓」  高見亮子・作 加藤ちか・美術 中川隆一・照明
    
盆が回るセット。でも何か安っぽいかな。窓からのぞいている人の力によって、自分をつかもうとした人?とくくってしまっていいのかな。
   黒ずくめの男女の食事を覗く三人の男女のシュールな場面は期待させる。リアルな展開とシュールな展開が混ざってくるけれど
   先生がしくんだのは、窓から覗いて欲しいという事なのだろうけれど、これがいったい何なのか、よくわからない。

25)2004年8月6日(金)  紀伊國屋サザンシアター  こまつ座
 「花よりタンゴ」  井上ひさし・作 栗山民也・演出 石井強司・美術 旺なつき 鈴木ほのか 占部房子 小林勝也
    
ダンス・ホール タンゴ・そして焼け跡の歌・月岡家の四姉妹と闇成金の男
。あいかわらずの笑いと歌の楽しさの中で
  楽しむ。歌、キスして(?)、上海リル などでなけてしまう。焼夷弾騒ぎで大いに笑って。後半に戦争責任が海の底にいるたぬきたちに
  あてられる。
  初日であったので、ロビーでビールが振る舞われ、紀伊国屋の支配人、作者、役者、お客小田島雄志さんの挨拶などがあったのが
  楽しかった。

24)2004年7月25日(日)  スズナリ ☆ 燐光群
 「私たちの戦争」  坂手洋二(LOST IN THe War) 渡辺修孝(戦場イラクからのメール) マリオ・フラッテイ(Blindness) 
    
剛速球の社会派、と坂手洋二を評する人がいたが、反戦といたづら書きし逮捕された青年が、アブグレイブ刑務所に捕まっている
    イラク女性と場面が変わり、彼女が、そしてその夫があの報道の通りに舞台上で虐待される。
    再び日本に戻るとアメリカ大使館前のデモに参加している女性に警察の手が回る。
     休み無く2本目にはいりイラクに入って拉致された二人のジャーナリストの物語になる。当事者の渡辺が語りつづる。
    イラクの人たちとの交流、日本人の立場、やがてこのわったんと呼ばれる彼が好きになる。つづけて3本目は、
    アメリカで戦死した友人の家にやってく夫婦の話。戦友でもある彼は目をやられているわけだが、
    やがてそれは家族が、情報から閉ざされている=見えていない、事実で終わる。

    緊張したまま見せ続けられる。渡辺さんがエープリルフールに「好きです」と言われる話がいい。イラクにはエープリルフールはないと。

23)2004年7月17日(土)  新橋演舞場 ☆☆
 七夕名作喜劇祭り「二階の奥さん」「大阪嫌い物語」「はなのお六」  美術・石井強司
    藤山直美 淡島千景
   
二本目の大阪嫌い物語が抜群に面白い。一場の大騒ぎの昆布問屋の出荷シーンから、徐々に誰かが恋仲に
   なっているらしい、片方が暇を出されたらしいことがわかり、店の中に入って長男が母に逆らえない事がわかり
   やっと、本人の登場となる。藤山直美の廊下から聞こえてくる声だけで本筋が一息に見え、登場しただけで大笑いになってしまう。
   もうあとは、ひっくり返され、笑わされ、なかされ、今日しか言わないつっこみに耐えられなくなった役者を楽しむ。
   わざ。

22)2004年7月15日(木)  船橋市民文化ホール こまつ座 ☆☆☆
 「父と暮らせば」  作・井上ひさし  演出・鵜山仁  美術・石井強司 音楽・宇野誠一郎 照明・服部基
    辻萬長 西尾まり
   
すまけいと梅沢で前に見た。大阪の高校も全国でやった。知ってるよ。前と比べて、等と思っていたのは
   前半の四分の一まで。きちっきちっとはまって、「この子達の夏」と同じ話を、笑うもんかと思いながら笑い、
   泣くわけないよと思いながら、泣き、父が娘に寄せる気持ちは、こう、そして最後に引き継いで貰いたいんだよ。
   と、悔しがる。こんな芝居かかなきゃね。

21)2004年7月9日(金)  四季・自由劇場
 「ひばり」  作・ジャン・アヌイ  演出・浅利慶太  美術・金森馨
   
ジャンヌ・ダルクをさばく。み声を聞いた少女が、隊長を操り、シャルル王を操っていく。その過程が面白い。
   けれど、何を裁こうとするのか、映画の「ジャンヌ」の時にも感じた宗教裁判が何をもとめているのかの、共通理解が
  ない気がする。

20)2004年7月7日(水)  スズナリ ジャブジャブサーキット
 「動物ダウト」  作演出・はせもとひろ  
   
小泉という前の前の総理大臣がオペラ歌手との不倫がばれて、と時代設定もさりげなくはじまって、
   日常的な中に近未来な、小さな事件が描かれていく。やがて、ばけものに対するノスタルジックな表現となっていくのだけれど、
   1つの世界をつくってはいるけれど、それだけかな。直線のパネルをつないだ檻のセット、安易な机の配置もなにか情けない。
 

19)2004年6月26日(土)  俳優座劇場 シェークスピアシアター
 「ヴェローナの二紳士」  作・ウィリアム・シェイクスピア 訳・小田島雄志 演出・出口典夫  
   
恋の誓いをあっさりとやぶり、友を裏切り陥れ、それでも報われない。展開の早さ、強引さは、シェイクスピア。
   ラストの裏切った友にごめんと言っただけで、すべてが許され二組の結婚式があがってしまうのも、シェイクスピア。
   それでも認められるのは何故だろう。人物配置の強引さと筋運びのスピード感ゆえ?
     シェイクスピアの装飾に満ちた台詞をどう日本語でしゃべるか。その抑えたしゃべり方は、不自由さを感じさせるのか、
   リズムをしみこませるのか。

18)2004年6月9日(水)  新国立劇場中ホール
 「INTO THE WOODS」  作・ジェイムズ・ラバイン 曲・ソンドハイム 演出・宮本亜門  装置・ 照明・中川隆一 
  諏訪マリー 高畑淳子 
   
飛んでいく三軒の家、おお、これぞ、国立。と思うけれど、やがて動く大木にも飽きてくる。ソンドハイムの曲は面白く
  出だしは好調、一幕の後半、あ、そういう事ね、と思うとちょっとだれる。二幕の不倫話、次々と訪れる死、何もどうしようも
  ない、けれど、の歌はよい。だけど巨人を殺すのに上からたたけばいいだけなのかな。オオカミの腹を引き裂いて、頭巾にかえる
  ほどの残酷さ、それを罪と意識して、受け入れようとしている登場人物たち、殺し方にもっと救いのなさがあってもいいのかな。
  初日、開演前いきなりロビーで中川隆一さんとであい、松田聖子がこわーいSP?に守られながら手を振りながら50p横を通り過ぎ、
  休憩時間に亜門が横にいて、フィナーレで作者が部隊に呼び出され、初舞台のさやかが泣き出すなど、現実のドラマの方が
  ちょっと上だった。

17)2004年6月7日(月)  世田谷パブリックシアター
 「時の物置」  作・永井愛 演出・江守徹  装置・妹尾河童 
  有馬稲子 辰巳琢郎 
   
淡々と短い場面を、きちっきちっとつなげていく。シャボン玉ホリデーに有馬稲子がはまっていくあたりから
   笑いがと絶えなくなる。60年安保の挫折、そこからスタートした学生。旧赤線から抜け出してきたらしい同居人、
   その謎をはらみながら3時間をつなげる。特に大きい事件はないけれど、登場人物達を慈しんでる作者が居る。

16)2004年6月3日(木)  船橋市民文化ホール
 「アンネの日記」  原作アンネ・フランク 作・グッドリッチ&ハケット 演出・丹野郁弓  装置・松井るみ 
   
久しぶりにアンネを見た。滝沢の演出からかわり、装置も松井るみになった。鑑賞会の客という事もあるが、
  よく笑いがとれた。笑いと緊張感と。奈良岡、日色、里居らベテランの力、財産だと思う。
   セットも変更されている。ただ松井と以前の枠が戦っていて、成功しているとは言えない気がする。
  松井が勝手に作ったらもっと思い切った、セットになっていたのではないか。

15)2004年5月24日  紀伊國屋ホール
 「曲がり角の向こうには」  ジョアンナ・マレー=スミス・作 鵜山仁・演出  剣幸
   
一体どこへ持って行くんだ。行方不明だった二人が戻ってくる事で、はっきりしてくる。曲がり角を曲がった向こうには
   火事があった。家を失った二人の信じがたい、さとりがあった。この奥さんが強烈。
   壊れかけた生活を必死に守っている4人に突如二人が光を当てる。本格的に壊れていく。だけどしょうがないだろ。
   セットは終幕に壊れていく家を表現する。

14)2004年5月15日  新橋演舞場 ☆
 「新三国志V」  横内健介・作 市川猿之助・演出  毛利臣男・装置衣装 ☆
   
仲達と二人の息子の三人が、悪役なのだけれど、アクションもないしセットもないなかで狂言回しのように語るのが、笑える。
   そして、その悪役が戦乱の世を鎮めたと、それを認めてくれということが、苦い。悲しい。
   「夢見る力」「のぞみはかなう」くさい台詞はそのままだが、笑いあり、
   すかっとするアクションあり、そして、なにより、イラク・パレスチナの情勢あり。
  はまりすぎて涙がでてしまった。猿之助にかわって段治郎が、主役。タッパがあり、見た目がよい。

13)2004年5月14日  ベニサン・ピット ガジラ
 「国粋主義者のための戦争寓話」  鐘下辰雄・作演出  島次郎・美術 中川隆一・照明
   
まるで合わせ鏡の奥をのぞき込んでいくような机と電球の配置、
   ベニサンピットの空間をめいっぱい使った美術。
   単純に大元帥・宮城を信じようとする少尉、それと比べるとニュートラルにみえる南方の戦線から帰ってきた古参兵。
   木製ロケットを過酸化水素でとばして成層圏のB29を迎撃するという狂気の中で、先遣隊が消えるという謎解きで
   前半は快調にすすむ。けれど狂ったような大尉の兄と、弟の少尉の対決の構造がよくみえない。
    地図に何も書かれていない白い所にすむ
   吊り橋のむこうがわの日本人が本当なら、そのものたちだって誰かを駆逐してきたのではないのか。
   吊り橋の向こうに自由があり、
   こちら側にそれがない、だから部下を30人も殺してしまった、ないはずの自由をどう出してきているのかわからない。


12)2004年5月1日  駒塲アゴラ
 「山羊 シルビアって誰」  エドワード・オールビー・作 バリー・ホール・演出  
   
山羊に恋をする。この異常性はどこにあるのか。妻は獣姦にとらわれ騒ぎ立てる。けれどあの結末なら
   他の何かをあぶり出せたのではないか。ウェルメイドといっては居られない切なさをあぶり出せたのでは
   ないかと思う。それともただ緊張感とアクションを楽しむだけの本名の?

11)2004年4月15日  船橋市民文化ホール シルバーライニング
 「私生活」  ノエルカワード・作 竹邑類・演出  斉藤浩樹・美術  岡田真澄・水谷八重子
   
ウェルメイド、岡田真澄と水谷八重子だけでお客は満足。
   口げんか好きな国民性が元?
   一幕目のセットはうーん、二幕目は大きな間口を埋めるのにはこれかな。


10)2004年3月27日  東京芸術劇場中ホール
 「ミュージカル 水、はしる!」  ふしだあさや・作演出
   
緊張しない。わかりやすい、分かり切ってしまう、玉川上水の完成譚。子ども向け、といってしまえばそれまで。

9)2004年3月26日  スズナリ MODE
 「ささやく声」  ・作 松本修・演出 ☆ 
 
 緊張感がずっと持続する。精神の病、病院から兄の元にあずけられた青年。どうにも解決できない兄と弟。
  弟は薬を飲まず、カウンセラーの元にも行かない。兄は父の店を引き継いでたった1人で生活し料理を作っている。
  やくざな男と暴力でつながった女と弟は出会う。ついに事件が起きるが、病院?刑務所?の中で兄が弟のために
  料理をつくる、電気コンロにフライパン、バター、タマネギ、そしてバジルと卵。香りが感じられる場がいい。
    役者は多重人格を本質として持つ。精神を病んだ者も多重人格をもつ。目の前で分裂したしゃべりを見た時
 これは病と思えるかどうかでこの芝居は決まる。「アメリカ」と似ているセット。18シーンすべてに転換が伴う。
 公演の後ろに台所のセットがそのまま、リアルさを大切にするなら、何か工夫がないものかとおもう。

8)2004年3月14日  紀伊国屋サザンシアター 青年座
 「殺陣師段平」  ・作 鈴木完一郎・演出  中川隆一・照明
     津嘉山
 
 新国劇の殺陣師の5つのエピソード、写実の殺陣を要求される・暴れて知る・奥さんが東京に送ってくれる
   殺陣が飽きられている・死の床で最後の殺陣を考える いかにも鈴木完一郎らしい演出で、津嘉山で笑いがとれて
  でも、後半飽きてしまうな。きっと病気ながら殺陣をつけるとわかってしまうから

7)2004年2月22日  紀伊国屋サザンシアター 地人会
 「世紀末のカーニバル」  齋藤憐・作 木村光一・演出  
     渡辺美佐子 順みつき
 
 ブラジル帰りの渡辺美佐子のおばあちゃんに実はもう一人子どもが居て、それは下北半島に捨てた
  実の子で、今は地上げ屋として現れる。さて、その対面は、どうなる。あたりは十分しまっていて
  泣くかと思った。そのままこの怪しげな息子が舞台を引っかき回していくのかでは無く、悪役はバブル経済、無責任な政策
  になるところから、ぼんやりしてくる。
  移民で行ったり来たり、一世二世三世、どちらが祖国か、どちらも地球の中じゃてなところなんだろうけれど。
  

6)2004年2月20日  本多劇場 加藤健一事務所
 「すべて世は事も無し」  ポール・オズポーン・作 加藤健一・演出  舞台美術・石井強司 
     加藤健一 山口果林 一柳みる 岡まゆみ 竹下明子 清水明彦
 
 二度目の観劇となった。開演前に石井強司さんとお話が出来、終演後はセットにあがって、
  おお、こうなっているのか。と、階段や杖の仕掛けににこにことしてしまった。

5)2004年2月16日  新橋演舞場
 「空想万年サーカス団」  阪本順治・作 串田和美・演出  舞台美術・朝倉摂 照明・齋藤茂雄
     勘九郎 藤山直美 柄本明
 
 貧乏サーカスが戦前にあり戦争という時を経た頃にはつぶれてしまう。でも、空想の中では復活する。
  穴の中で育てられた女の子とか、ブランコで落っこちて頭がおかしくなった団長の息子とかだが特に
  何があるというわけでもない。三人の芸をみせるだけの前半にいらだちもしてしまうが、勘九郎の口伴奏での
  直美の踊りは笑っちゃう。演舞場の中に串田和美の世界が笹野高史のトランペットから導かれて、空中ブランコや
  朝倉摂のセットで広がっていく。

4)2004年2月10日  三百人劇場  劇団昴
 「羅城門」  芥川龍之介・原作 愉盗より  菊池准脚本・演出  舞台美術・加藤ちか
 
 新宿副都心のビルに赤い灯がちかちか、プロセニアムから客席に飛び出すくずれかけた羅城門の一部
   とこれは現代と荒廃した京をあらわすセットだと一目でわかる。ビル街ははじまったら邪魔だろうと思うていたら
  明かりが入ると、よしずが切ってつられている。
  休憩無し1時間50分。
  4人の中の、どれか二人の会話の形式で進み緊張するが、やや半ばにあきる。
  どちらが本当の事を言っているかを、かんがえつつすすむのは「藪の中」の一段階前の作品として考えればいいらしいが、
  まさに一段階前と感じてしまった。

3)2004年2月6日  東京芸術劇場中ホール  わらび座
 「アテルイ」  高橋克彦・原作  中村哮夫・演出  舞台美術・朝倉 摂 照明・服部基
 
 まじめなわらび座のアテルイ。導入の台詞を全員で割っていくのは、せわしなくてどこかの高校が
  よくやっている。反省。中程は見ていられる。デュエットやトリオの歌が聞いてられる。
  和太鼓も伴奏に徹している限り
、いい。岩手山の爆発などでは意味がない。
  星になる必要があるのだろうか。アテルイ・田村麻呂どちらにしても殺人者。戦わしてどちらかが勝ったで
  終わらしては行けないの?

2)2004年1月12日  新橋演舞場
 「おはつ」  マキノノゾミ・作  鈴木裕美・演出  舞台美術・松井るみ 照明・中川隆一
 
 近松に勝てるか?勝っていないと思う。心中という訳のわからない情念の世界を身分、
  労咳、恋の手本で絵解きしようとしたとみえてしまう。松井るみの柱を中心とし、太いひもで情念をあらわしたセット。
  まるで朝倉摂のような雰囲気。ならば近松心中物語と比べたくなってしまう。

1)2004年1月9日  栗原小巻プロデュース リリオホール ゲネプロ
 「アントニーとクレオパトラ」  シェイクスピア・作  アレクサンドル・マーリン・演出  舞台美術・コモーロパ
 
 博物館の係員とお客からはじまる導入と終わりはおもしろい。ぐいぐい引きつけられる。
  シェイクスピアが始まるとともに、すこしついて行けなくなる。言葉と人物をつかむのに時間がかかる。
  


2003年
2003年に見てきたの劇のベストファイブと言ったら?

「紙屋町さくらホテル」「頭痛肩こり樋口一葉」  「死と乙女」「ペリクリーズ」「夏の砂の上」
かな。こまつ座の再演ものが安心して見ていられる。

29)2003年12月29日  青年団プロデュース 駒場アゴラ劇場
 「夏の砂の上」  松田正隆・作  平田オリザ・演出  舞台美術・奥村泰彦
 
 子どもを失った事によって別れた夫婦。そこに妹の娘が預けられる。
  出口なしの世界を男と女にからませながら描いていく。この暗い話に笑いが混ざる。
  房子の芝居を見ながら過去をいろいろ考えた。出口なしで好きな本が「英雄たち」。
  そこには作者が登場人物へのどうしようもない愛情がある。では、これは、しずかな
  見守り?
  

28)2003年12月22日  青年劇場 新国立劇場
 「ケプラー あこがれの星海航路」  篠原久美子・作 高瀬久男・演出
 
 まじめな劇団にまじめな本、それをどうぶちこわすのかが演出。その無理矢理が前半なじまない。
  声はつぶれ台詞は聞こえない。時間がたつにつれいつもの青年劇場風になってくると落ち着いてみられる。
  フランシス・ベーコンの言葉など、現代が持っている病魔を照らし出して面白い。
  科学は世界を狭くして、国境を無くさせるという夢は強烈に感じた。

27)2003年12月7日  OPAP シアタートラム
 「もう風も吹かない」  平田オリザ・作・演出
 
 桜美林大学の学生と青年団から二人・文学座の坂口さん加わってのシアタートラム公演
   桐朋などの学年割りの試演会と違って1年から4年までの学生の中からオーディション
  でキャストが決まる。22期のなつこと24期のゆーたが出ているので恥ずかしく、まともには
  みれない。たかが試演会と思っていったので、それより安定した面白さを感じた。
  青年海外協力隊の話は俳優座に続き2本目だが、こちらは青年団風の毒。

26)2003年12月5日  こまつ座 紀伊國屋ホール ☆☆
 「紙屋町さくらホテル」  井上ひさし・作 鵜山仁・演出 石井強司・美術
 
 オープニングの巣鴨プリズンからの討論劇。ホテルでの合唱。
  無法松の一生の稽古で笑った。
  演劇論。宝塚演技論。形だけで入る演技と新劇のその人が感じる演技。
  スタニスラフスキー・小山内薫・土方・などの演出方法。楽しく色々と考えながら見た。
  俳優はきらきら光る人。ここにいる意味。ここにいる意味を悟った時に紗幕がおり、原爆ドームの
  向こう側に消えるさくら隊。にくいなあ。

25)2003年12月3日  新橋演舞場
 「ふるあめりかに袖はぬらさじ」  玉三郎・演出 藤山直美 
 
 有吉佐和子の本が良いのだろうな。杉村春子のを見たかった。
   藤山直美のお園、腰が抜けたままラストの雨を眺める、けだるさ、
   生活だあ と 感じさせる  新劇の本に30分と25分の休憩は長いか

24)2003年10月20日  遊機械オフィス シアタートラム
 「宇宙で一番速い時計」  白井晃・演出 松井るみ・舞台美術  齋藤茂男・照明 
 
 シアタートラムを横に使った舞台。毛皮工場の二階の不気味さが楽しい。
  ダンサー・イン・ザ・ダークを見終わったような、強烈な終わり方をする。
  愛、求めようもない、苦しみが、モチーフなのだろうが、富浜薫の出血の方が、動きようもなく残ってしまう。

23)2003年10月8日  船橋市民文化ホール 文化座
 「いろはに金平糖」  鈴木完一郎・演出 中川隆一・照明 佐々木愛
 
 一幕はまずまず面白いのだけれど、一代記というのはとにかく散漫になる。
  理屈と説明だけ、になってしまう。二階が消えるセットはなかなか。

22)2003年9月22日  紀伊国屋サザンシアター 地人会 ★
 「死と乙女」  アリエル・ドーフマン作・木村光一・演出 風間杜夫・余貴美子
 
 劇場に入った時から感じる緊迫した空気。石井強司さんのセット。沢田祐二の照明。
   緊密な台詞にどきどき、考えて、考えて、どちらに引っ張られるのかとはらはらして
   ラストの鏡にあっと思わされて、久々に濃密な芝居。

21)2003年9月11日  俳優座劇場 東京芸術座
 「稲の旋律」  旭爪あかね原作・平石耕一・脚色     ・演出 
 
 手紙文だけで、心の中を吐露しまくる原作。それをそのまま劇化するなんて
  やはり無謀、というような、事になっていた。田んぼのマイム等丁寧だけれど
  パンチの上に稲はやしてでは、うまくいかない、と、トマトへの作戦、ますます難航。

20)2003年8月6日  船橋市民文化ホール 劇団エルム
 「みすず凛々」  ふじたあさや・作・演出 
 
 詩は時には文字を見つめるだけで十分な力を持つのではないか。
  たくさんの歌を聴いているとそんな気がした。わずかな26年の生涯。
  それが大きなうねりを感じさせるというよりは、詩の解説を聞いているようだ。

19)2003年7月11日  プーク人形劇場 鳥獣戯画
 「三人でシェイクスピア」  ウィンフィールド・ロング・シンガー作 知念正文・演出 
 
 「シェイクスピアの○○を読んだまたは見た人?」との石丸の質問に、客席が挙手で答えていく。
 ジョン王?のあたりでさくら?に絞り込まれ三人目が登場。おかまのロミジュリのあたりでは
 もう帰りたくなるが、オフィーリアを客席から引き揚げるころから、舞台はワークショップとなり
 わらいが絶えなくなってくる。二幕に当たる三人だけのハムレット、やはりシェイクスピアは面白い
 と、思わせてしまう。

18)2003年7月6日  シアターX 劇工房・燐
 「頭ならびに腹」  小松幹生・作 手塚敏夫・演出 
 
 製本屋の社長の廃業宣言。中小企業のつらい話かと思いきや、社長と社員の
  副社長と娘の、失笑を続けていくうち、どこで落とすのかと。
  はっと気がつくとけっこうつらい松竹新喜劇。喜劇に徹しないのがつらい。

17)2003年7月1日  新宿花園神社 紫テント 新宿梁山泊 ☆
 「唐版 風の又三郎」  唐十郎・作 金盾進・演出 
 
 30年前の唐作品。新宿の西口の紅テントを見た事があるぐらいしかないのだが
 紅テントの方が色彩豊かだった気がする。風、月光、男ども、どっどど の宮沢賢治
 あっという間に物語の世界へ入っていけるが、中程になると何故かイメージが
 沸き続けてこない。日本軍の特攻と、9.11の特攻とがダブるのはいいのだが。
 最後、さすが梁山泊の、テントがはらわれ、水、光、プロペラ、そして飛行機がとぶ。
 そお、これでいいんだ、という鮮烈なイメージが来る。だとすれば、
 途中だって、もっと豪華にイメージひっぱれないのかな。理屈を言ってもはじまらないし。
  

16)2003年6月10日  船橋市民文化ホール こまつ座  ☆☆
 「頭痛肩こり樋口一葉」  井上ひさし・作 木村光一・演出 高田一郎・美術
 
 新橋耐子の花蛍、の遊び。これに代表される楽しさ。樋口一葉だけなら
 やはり理屈っぽい所が残ってしまうのだが、実は主役の光は妹の邦子にあたっている
 というのがにくい。仏壇運びで、泣きそうになってしまう。

15)2003年5月23日  紀伊國屋ホール ☆☆
 「兄おとうと」  井上ひさし・作 鵜山仁・演出 石井強司・美術
 
 きらめく星座と違って、無理矢理音楽とも思ってしまうが、最後に 元気で きっと
  などと くると これでいいのだ と思ってしまう。兄と弟が枕を並べてねたのがわずか5回。
  その5回だけにあわせて芝居を作ってしまう。楽しい。
  憲法は国民が作り、法は政治家が作る。そんな難しい命題が、すらすらと入ってくる。
  昨今の世界と日本の動きをにらんでのお芝居かな。

14)2003年5月22日  新国立劇場
 「涙の谷、銀河の丘」  松田正隆・作 栗山民也・演出 堀尾幸男・美術
 
 長崎に引き揚げてきた4姉妹と赤子だった弟、その弟が高校の時、そして借金の中で死んでいく
  時の姉妹の3時代を3幕であらわす。姉たちがよく出されているのだが、長崎の怨念が色濃くでる
  焼け跡と、それが影を落としているだろう現在。無理矢理それを結びつけようとした演出に思える。
  巨大なセット、姉たちの言葉はそこまでのセットを要求していないように思えた。

13)2003年5月17日  四季劇場 秋
 「クレージー・フォー・ユー」 
 
 他愛ないミュージカル。タップや踊りが楽しめる。
  二人が恋に落ち、ゴーストタウン化した元劇場にショーを復活させるのは
  よしとして、でも安易だと思わせる。ジーザスではあんなに興奮したのに。
  これをみるとシカゴのあの裁判のタップを見たくなる。

12)2003年5月16日  新橋演舞場
 「夢の仲蔵・千本桜」 齋藤雅文・作 松本幸四郎・市川染五郎
   
狐忠信を染五郎が演ずる。役者が歌舞伎を演じているのだというお芝居。
   役の取り合い、金の亡者を中心に奈落で殺人が起きるのだが、近松みたいに
   恐ろしさが深まってこない。ましてや自殺でちょんぱあはないかな。ともあれ、
   歌舞伎の名場面は楽しめる。

11)2003年3月23日  東京グローブ座
 「夜叉が池」 泉鏡花・作 加納幸和・演出 花組芝居
      
佐藤アツヒロ 岡本健一 松本梨緒 
 
 夜叉が池をどうやるのだろう。どう魑魅魍魎が跋扈するのだろう。
  と、思ったら、おひねり芝居、マグドナルドだった。

10)2003年3月11日  青葉の森芸術文化ホール
 「ミュージカル フレディ」 レオ・バスカーリア・作 忠の仁・台本演出
      
島田歌穂
 
 10歳の少年が1年の入院生活の後に死ぬ。それだけの話。
  お茶目にはしゃぎ、友達の死を経験し、葉っぱをみつめ、死んでいく。
  シンプルな歌。シンプルな舞台(高田一郎)。父母の歌がいい。

9)2003年3月8日  彩の国さいたま芸術劇場 ☆
 「ペリクリーズ」 シェークスピア・作 蜷川幸夫・演出
      
内野聖陽 白石加代子 田中裕子 市村正規
 
 アンコールから始まる。舞台全体に散らばる蛇口から水が流れる。
  父が生きているのになぜあいに行かないのかとか、なにやらわからないことが
  ちりばめられているのだが、全体的には上質な歌舞伎。前半台詞を聞き分けにくいのも
  仕方がないのか。語りの二人で面白くなっている。踊りならば新感線が
  アクロバット空中ショーをやるだろうが、全体の力で上回る。

  親子出会いの船上シーンなどわかっていても泣けちゃうのは日本的だから?
  白石加代子がすごい。

8)2003年3月3日  シアタートラム
 「アメリカ」 カフカ・作 松本修・演出
 
 こちらも3時間半。ちょっと不思議な振り付けで、役者たちが悪のりして、転換していく。
  カフカの世界。実際にはアメリカに行っていない、カフカが描いた世界。部分部分はわかりやすく
  展開していく。けれど話は「城」と同じで前へ進まない。そして彼が描く人生はこのようなものだと
  プロジェクターが掲げていく。けれど、やはり、長い。ラスト、アウシュビッツなのはカフカがユダヤ人だから?

7)2003年2月24日  シアター・コクーン
 「にんげん御破産」 松尾スズキ・作演出 中村勘九郎
 
 こちらも3時間半、ただし7時からなので終電。コクーン通路までいっぱい。
  大人計画の稚拙さと、勘九郎の芸と遊び、不思議な二重の客層、生まれたての歌舞伎のような
  雑然さでやや楽しめる。鶴屋南北に弟子入りしようとする元侍の男が幕末を生きていく。
  偽金作り、小屋を造っても、書く脚本がない心はうつろ、世の中まで書いちゃおう、そして最後に
  戯作者が見つめているのは、客席自身。このラストの仕掛け、見てわかっている客がどの位いるのだろう。
  世の中の闇をえぐる、という事が、どれほどの意味があるのだろう。

6)2003年2月19日  新国立劇場小ホール
 「浮標」 三好十郎作・作 栗山民也・演出 島次郎・美術
 
 3時間半。佐々木愛のおばさんから始まって、家と、墓場を思わせる砂浜の
 セットに驚く。ピカドンキジムナーの時のセット変換よりびっくり。妻の看病をして画を描いていない画家
  借金の中で、人間が描かれていく。転向、芸術論、哲学、理屈っぽさが少しある。

5)2003年2月14日  俳優座劇場 ☆
 「現代・娘へんろ紀行」 木山事務所 小松幹生・作 高瀬久雄演出 
 
 意外と面白かった。傾斜舞台。すだれ。セットもシンプルで複雑でよし。
  登場人物達がやがて重なり合い家族となり、どろどろとなりそうでさわやか。なかなか。

4)2003年2月10日  新橋演舞場
 「2月花形歌舞伎 毛抜き 雪の道成寺 杜若艶色紫」   
 
 毛抜きがわかりやすい 道成寺後半の踊りがいい 杜若すこしたるい?

3)2003年2月1日  紀伊国屋ホール
 「墓場なき死者」 サルトル 夜想会  
 
 今、サルトル?ナチにとらわれた拷問を受けるレジスタンスたち。及びナチ達。
 どうしようもない状況の中でどうしようもない選択がなされていく。
 一瞬若手だけで?と不安を覚えたが拷問する側がベテラン陣で一安心。さて、このどうしようもない中での
 選択、どうすりゃいいのだろう。

2)2003年2月1日  紀伊国屋サザンシアター
 「White Phase 温室に棲むひと」   民芸
 
 小劇場の空気の作品を民芸が。客は民芸の客ばかり。温室に巣くう中年の男女の
 空気が綴られていく。さすが民芸のベテラン達だから見応えがあるけれど、さて、
 それとこれを、見て、どうしたいのか

1)2003年1月29日  船橋市民文化ホール
 「ジョセフィン」 前田美波里  地人会公演
 
 一代記って結局は追っているだけ?歌と踊り、美波里一人すごいと思ってしまう

2004年 2003年 2002年 2001年 2000年 1999年 1998年



2002年
2002年に見てきたの劇のベストセブンと言ったら?

    「フユヒコ」「ラ・マンチャの男」 「きゅうりの花」「女殺油地獄
   「夢があるから」「You Are The Top 今宵の君」「國語元年」かなあ?

    高校演劇以外で観た23本から5本選ぶのは大変。今年はめんどうなので7本。9月からはほとんど見てないや。
    創作に追われたので…… 

23)2002年12月10日  船橋市民文化ホール
 「フユヒコ」 マキノノゾミ・作  
 
おもしろい。招き猫シリーズでけらけら笑った。藤の実がはじける話ははじめは何だろうとしか思えなかったが
 だんだんとなじんでくる。このレベルの作品作りたいな。

22)2002年11月29日  習志野文化ホール
 「カリフォルニヤ・ドリーミン」 知念正文・作  
 
船橋旭高校の芸術鑑賞会として。教員の世代には好評なオールディ゛ス・ミュージカル。
 スズナリの間口でぴったりの舞台  高校生に受けるかどうか大変な不安。
 でも 歌を きくときの生徒は静か 台詞部分もなんとか もった 散骨シーンでは ちょっと集中

21)002年8月29日  帝国劇場
 「ラ・マンチャの男」 デール・ワッサーマン・作  
   
松本幸四郎 松たか子 
  久しぶりに見る4度目のラ・マンチャ 幸四郎が年をとった アロンソの死に近づく時の付近 ぐっと怖くなった。
  上条恒彦とのシーンは安心してみていられる。笑いも起きる。けれども前半は客がわかない。事実は真実の敵だで、
  大笑いしていた客席が懐かしい。松たか子のアルドンサ、まだまだ。音程も高く若い。上月や鳳に比べると、えっと思うシーン多い。
  けれど後半はしまってくる。松でも出来るかもと思う。20年前に見た時の驚き衝撃はない。
  もっともっとスピーディで激しい踊り、複雑な劇が出てきたからだろう。
  客もリピーターが多いせいか重い。けれど名作、大好き。序曲で泣いてしまう。
  後半アルドンサの陵辱あたりから心地よく涙がでる。

S2002年8月15日  スズナリ MONO
 「きゅうりの花」 土田英二・作  
   
スズナリでいい雰囲気のセットで見た。唐破風のような梁。庭の向こう側の石垣。斜めに置かれた机。
  自然に笑って、危機を感じて、充分に楽しんだ。登場人物の出はけによってがらりとかわる空気、力を感じた。
  何故失恋した男が死ななければならないのかな。おしい気がした。

R2002年7月23日  新橋演舞場
 「浮世噺 桂 春団治」 長谷川幸延原作  
   
藤山直美 中村勘九郎
   すごいと思った。一幕の出会い、説教、奥さんの入れ替わり。この無駄のない展開と早泣いてしまった。
   おかげで、2幕も泣いて、3幕すぎて、藤山寛美13回忌追善の挨拶まで涙が止まらなかった。
   要はこんな悪い男はいないわけで、それを非難するのでなく人情話に変えてしまう、芸のすごさがある。
   悪人こそ人が一番見たがっているものだと、痛感。そして客は己の非を思い、救いを探し求めるのだ。

Q2002年7月15日  船橋市民文化ホール 前進座
 「女殺油地獄」 近松門左衛門・作  
   
やはり近松は面白い。今まで見た前進座の中で一番、「おおっ」とか思った油地獄。
    最初のうちは型だけなどと見ていたが、豊嶋屋のお吉と与兵衛の二人きりのやりとり、殺害に至る場面まで
   身を起こして見てしまった。こんな悪、かけないな。

P2002年7月5日  俳優座劇場  昴
 「ゆうれい貸し屋」 山本周五郎・作  演出
   
新作のネタをもとめての旅。山本周五郎ならどうなのかと思ったのが間違い。お客はいっぱい。でも見たことがある人ばかり。
   懐かしい劇団が懐かしい劇場でやる。そんなお祭り。よたもののもとに色っぽい幽霊が出て一騒ぎ。
  結局は今をちゃんと生きるよ。という事で終わるのだが、よたものと、今つきあっている2年生達と比べると
  いかにもリアリティがない。観客としてのその最初のつまずきで、ぐいぐい進むべき所も何か止まって見えてしまう。

O2002年6月30日(日)  日本青年館大ホール   劇団スイセイ・ミュージカル

    「夢があるから」 高橋由美子・台本
          いかにもなセットからダンス、金属的な伴奏とマイク、くさい台詞、と馬鹿にしていたら
        泣いてしまった。一幕の敵役のうそが必要だと思えたシーンからはまってしまった。父親の力まない歌にもはまり、
        二幕の悪役に笑いいきどおり、敵役の再登場に納得した。
          ところで日本青年館は出身高校のすぐ側。信濃町から絵画館前を歩いたのは何十年ぶりだろう。高校の姿さえ
        すっかり変わったのに、卒業アルバムのクラス写真をとった絵画館前の噴水は変わっていなかった。何十年も変わらぬもの
        それは、高校時代かもしれない。

N2002年6月28日  中野ザ・ポケット  鳥獣戯画
 「SNOW QUEEN」 智恵理丸・作演出
   
小劇場が満席。31名が出演と言うこと。疲れるかな。スピーカーのせい?バラの精が氷の女王になる鏡はいいけれど。

M2002年5月24日 スズナリ  MODE

 「屋上のひと」 北村想・作 松本修・演出
    10年前の作品 しょっぱなから、えげつない台詞でぐいぐい。こんな男女の姿があるよな、と、思わせて。
   と思ったら、終演後、松本修氏と出演者と飲んでいたらとんでもない実人生のドラマが展開して、もうどきどきわくわく。

L2002年5月13日 新橋演舞場 スーパー歌舞伎
 「新・三国志U」 脚本・横内健介 演出・市川猿之助
      3年前の新三国志と比べて 京劇の立ち回りがよくこなれていて これはもう日本製の京劇といった感じ
     京劇では中国語が作品の理解を妨げるがここにはそれがない。夢を追う諸葛孔明という筋運びのための理屈は 猿之助・横内 路線で
     居心地が良くないが、30トンの本水が客席にはね、兵糧倉を焼き落とすシーンの火薬の多様など見ていて楽しい。

K2002年4月24日  本多劇場  鳥獣戯画
 「雲にのった阿国」 知念正文・作演出
   コロスケやらエレキギターやら唐組やらなにやら登場するキャスティングが5年前と比べて楽しい。

J2002年4月21日  シアターVアカサカ 方の会
「異本竹取物語」  榊原政常・作 原田一樹演出
   やはり古い。そんなことリアルにやっても嘘じゃないか、と思ってしまう。だから中納言と大納言の嘘っぽい演技の方が生きている。
  落語が好きな榊原先生だからギャグなのかと思うけれど、中途半端な説教調も混ざっているし。

I2002年3月31日  東京グローブ座 トリのマーク
「蔦には蔦の別の夢」  山中正哉・作演出
   がらあきのグローブ座。昔劇場だったとの皮肉?部屋を借りに来た男の前に、わけのわからない女が。
   終演後にリーフレットをもらって、どうやらあれがこの劇場にからみついていた蔦らしい、となる。

H2002年3月28日  船橋勤労市民センター コモンセンス
「法王庁の避妊法」  飯島早苗・鈴木裕美・作
   やはり去年のおばあちゃんは最高だった。普通の役者であるレベルを持っていてとなると「よくやっているが」と
  どこかが言われているとと同じような厳しい目で見てしまう。まず、あかりが芝居のじゃましていますょ。

G2002年3月26日 シアターX   ピープルシアター
    「心、きれぎれの夢」 森井睦・作
   中学生による浮浪者襲撃事件を描こうとしていているが、説明で終わっている。ホームレス側の人格も弱いし
  絡まない。あれた中学生も類型的。アクションシーンと人数でごまかすけれどそれが、私にとっての反省材料にしかならない。

F2002年3月24日 シアターコクーン   ホリプロダクション
    「身毒丸」 寺山修司・岸田理生・作 蜷川幸夫演出
   寺山の世界はこれだよ、みたいなスペクタクル。継母を受け入れない。でも思ってしまう。それだけ。
  それを強引に、蜷川マジックで見せていく。火花のオープニング、自転車とカブの光、見せ物小屋の人たち。
  あざやかな家。穴の中の世界。あっという間に目をつぶされる子。でも、コクーンのようなきれいな劇場ではなく
  テントにつつまれ役者に囲まれる空間で見たかった。

E2002年3月5日 紀伊国屋ホール   こまつ座
    「國語元年」 井上ひさし・作
    よくこんな難しい話を劇に出来るな。方言をマスターして舞台でしゃべる事自体が役者にとって難しい。
  時々混ざってくる標準語(山の手言葉でない)が作戦なのか、仕方がなかったのか。あれだけ言葉が違ったら
  まず通じないと思うのに通じていく。そこが何か笑えたりおかしかったり、疑問に思ったり。
  終幕近くの会津の押し込み強盗の、一人一人が言葉を大切にしていけば、
   自然と日本語がまとまってくるのではないでしょうか、というメッセージ。
   自分の言葉を手放すことが自分を失って行く、というメッセージ。
  ところで、国語ってどうやってできたんだっけ?

D2002年3月5日 世田谷パブリック・シアター ホリプロ
「You Are The Top 今宵の君」 三谷幸喜・作・演出
    市村正親・鹿賀丈史・戸田恵子 三人のための当て書き。ところが鹿賀が急病で入院。
   代役(浅野和之)をたてて、全額払い戻しでの公演。(おかげで当日券で座れた。)
   劇の行方よりもこれを鹿賀がやったらどうなるか、という興味の方が大きかった。
  劇は三谷らしからぬ過去がどんどん入り乱れて入ってきて、ちょっと不安。ただ作詞家と書けなくなった
  作曲家の思いが徐々に立ってきて泣ける。客席も不安だったと見えて、三谷含めてのカーテンコールは
   いつまでも一階席総立ちで続き戸田は涙に。かわいい人だな、と思った。三人だけで一つの世界を
  見せることが出来ると知らされた一日。

C2002年2月21日 こまばアゴラ劇場 ORT+ユニークポイント
「水の中のプール」 山田裕幸・作 倉迫康史・演出
    孤島、ひきこもりの生徒を集めた学校、プールに沈める、水の中、救いたい、前半のリアルな構造が
   不思議な世界にうまく解け合うか? スタイルはとけていると思うけれど……

B2002年2月16日 PARCO劇場 自転車キンクリート
「OUT」 桐野夏生原作 飯島早苗・脚色 鈴木裕美・演出
    なるほど緊張感のある舞台。人間の体をばらばらにしていきながら笑いがとれるのはすごい。
   最後近くセクシー。最後になんで久世さんOUT出来ちゃうのか、疑問

A2002年2月11日 東京芸術劇場中ホール 岡部企画
「白いライオン」 岡部耕大・作/演出
    100人近いキャストが8間間口で踊る。狭い。ライオンキングに似た雰囲気。
   でも話の展開が甘すぎる。なぜアフリカでクリスマスなんだ、イスラムじゃないのか?

@2002年2月10日 スズナリ  猫のホテル
「愛してる。いや言わんでいい」 千葉雅子・作/演出
    千葉雅子はなるほど、力があると思った。黙っただけで笑いがとれる。
  漫画の原作と漫画家のコンビが壊れ、記念館を作った漫画家を追いかけていく話だが。
  携帯の電源を切っておけばのコントは使えるかも。

2004年 2003年 2002年 2001年 2000年 1999年 1998年


2001年
2001年に見てきたの劇のベストファイブと言ったら?
    「カリフォルニア・ドリーミン」「煙が目にしみる」 「闇に咲く花」
    「夢の裂け目」「うれしい朝を木の下で」かなあ?

   高校演劇以外で観た28本から5本選ぶのは大変。今年はでも28本も見たんだ。

2001年12月11日 文学座アトリエ  文学座
「牛蛙」 川村毅・作 藤原新平・演出
   不思議な世界 沼 牛蛙 女 現実と真実 真実は自分の中に いや あなた方が決めるのが真実
  ならば自分は空白 挫折 だから 金の亡者 不思議な世界に文学座のベテランたちが引っ張り込む

2001年12月9日 東京芸術劇場小ホール2  劇団八時半
「うれしい朝を木の下で」 鈴江俊郎・作
   なかなか不思議なセット ゲジゲジがぐちゅぐちゅ言ってるような転換音 鈴江俊郎の不気味な郵便局長
 田舎に逃げたけれどどこにも生きようのない現実 1時間半の中で シーンごとに 状況がかちっかちっと入ってくる。
 でも、出口がわからない

2001年12月5日  船橋市民文化ホール  加藤健一事務所
「すべて世は事も無し」 ポール・オズボーン・作
   2階席で始めみていて石井強司さんのセット、いいなと確認。二幕で一回にきて意外と奥行きのなさを感じた。
   久しぶりの文化ホールでの観劇。やはり白い壁が劇にはなじまない。どならず、よく響く声の役者たち。
   達者な笑い。けれど何か理屈っぽさと、それだけの事なの?という何かいらだちを感じた。

2001年11月6日  青葉の森公演芸術文化ホール  翔の会
「ブラッド・ミュウジック」 ・作
   千葉大宮の芸術鑑賞会 生徒は静かに見ていたが 安易なギャグのつなぎ と それほど深くない吸血鬼の恋愛 いまいち

2001年11月4日  スズナリ  鳥獣戯画
「カリフォルニア・ドリーミン」 知念正文・作
   去年の初演に続く再演。キャストが一部変わった。去年のキャストの方が柄に会う。二度目ながらラストでは泣きそうになる。
   エンターティメント、と、ペーソスで、引っ張っている。

2001年10月25日  新橋演舞場
    「信濃の一茶」 北条秀司・作 
          緒方拳が楽しい。けれど島田正吾もうじき96才とならぶとまるで子供に見える。おもしろいな。

2001年10月15日  亀有りりおホール   スイセイ・ミュージカル
    「ONLY ONE」 高橋由美子・台本
          ホリゾントが消えると大きな岩山が現れるようなドロップの失敗のような装置、まだまだ未熟な歌と踊り
         などがあるが、表題曲、他、何曲かがいい。話は他愛ない部分があって短くできると思う。

2001年8月14日  紀伊国屋ホール   こまつ座
    「闇に咲く花」 井上ひさし・作
          石井さんのセット よし。クラシック・ギターの生演奏の秘密良し。ラストの太鼓の意味も良し。
         前半の好調さ良し。記憶の島が浮かび上がる事と、戦争でした事を忘れるなのダブリ、すこうし理屈っぽさを感じた。

2001年7月26日  シアターV赤坂   STEPSミュージカル
    「モダンガールズ」 横山由和・作
          ミュージカルってこんなものかなって思ってしまった。元気のいい研究生の研究発表会的、雰囲気。
         そのはつらつさが救いなのかな。ストーリーは他愛ない。しっかりしたミュージカル見たい。

2001年7月22日  シアターアプル   TSミュージカルファンデーション
    「天翔ける空に」 構成演出 謝珠栄 野田秀樹・原作
          宝塚+野田 罪と罰が鮮烈に始まる。歌詞が聞こえる。踊りは流石。3時間。見られるのだが
          やっぱり野田のを見たくなってしまう。

2001年7月19日  千葉県文化会館   アーツ・カンパニー
    歌劇 「カルメン」 ビゼー作曲 
          千葉市立稲毛高校の芸術鑑賞会。曲はなじみのものばかり。初めてカルメンを最後まで見た。
         歌も声も良いのだろうが、歌詞を聴き取るのは難しい。その分あらすじの理解にとどまりつらかった。
         稲毛の生徒はメールを交わしているものも多かったがおおむねよく見ていて、各幕のきれ目ごとに拍手していた。

2001年7月16日  シアター トラム   あっぷす
    「TATSU 龍」 奈良橋陽子・原案 横山一真・脚本 
          龍馬もの。ごちゃごちゃしている。役者は相変わらずうまくなってない。ウィンズオブゴッドの時は話がシンプルなので
        それでも見られるが、大ドラマを短いシーンのつながりと、少ない人数での戦争シーンではつらい。
        
2001年7月6日  新橋演舞場
    「人情馬鹿物語 芸者橘太郎」川口松太郎・作 「京舞」 北条秀司・作 
          一本目は勘九郎 の 遊び  二本目は 水谷八重子の芸 が光り 波乃久里子の踊りが見せる。 でも大道具の転換が多すぎ。裏方必死。
        それが全て有効な場面のためかといえばいらない場もありそう。昔の本だな。

2001年6月26日  新橋演舞場
    「蜘蛛巣城」 シェークスピア→黒澤明
          中村吉右衛門 麻美れい。 豪華な、だけれどシンプルなセットが気持ちよく、スムースに劇が進む。
         運命に翻弄された悪のマクベスというか、いかにも日本的な良心的な小悪党の主殺し の 部分が、少し気になるが 飽きずにみられた。

2001年6月23日 中野ザ・ポケット 鳥獣戯画
「ハッピープリンス 遥かなるピリオド」 智恵理丸・作
  今回はストーリーが通っている感じ。客演のシャンディ 石丸らの歌良い。長いかな。

2001年5月23日  新国立劇場 栗山民也・演出
「夢の裂け目」  井上ひさし・作
   苦さがいいんだろう。理想で「満月狸祭り」をやり続けるのか、安全な生活をおくるのか。でも、でも の犬塚弘の歌が
   いい。なんでクルト・ワイル なんだ ブレヒトの真似なのか とか 思っちゃうけれど 「普通の人は 悪くない」 と
   開き直られたりするとはまっちゃう。井上さんにも 石井さんにも おいつけない。

2001年5月4日  赤坂ACTシアター  ザCONBOY
 「新・タイムトンネル」 今村ねずみ・作
     前半のミュージカル部分、心にしみた。父というテーマに今弱い。後半の歌謡ショー、商業演劇の方がマシかな。うちも踊らせたいな。

2001年4月28日  本多劇場  鳥獣戯画
 「真夏の夜の夢」 シェークスピア作・知念正文・翻案
     孫福さんのセット・仮面など舞台美術が楽しい。石丸も良い。一晩の夢といってしまえば
  なんでも良いのかというと、すれ違いのなにかがくいたりない。

2001年4月25日 船橋市民文化ホール NLT
「幸せの背くらべ」 エドワード・オールビー作
  重いテーマ。一幕は92才を演じる黒柳徹子で客は湧く。二幕は考える。一幕の方が面白いのだが聞きづらい。
  二幕で生と老いと死をあつかった意図が見えてくる。アンコールの徹子が一番面白かったと思うのは私だけ?

2001年4月1日  本多劇場  大人計画
「エロスの果て」  松尾スズキ・作
   満席。並んで入った。エロスとたわいのなさと、派手さと、まだまだ若いと感じてしまった。

2001年3月31日  船橋勤労市民センター コモンセンス
「煙が目にしみる」  堤泰之・作
   開演前のセットはいつものコモンセンスと違ってとても良い。何といってもおばあちゃんが良い。
 自分の父が亡くなって、まだ半月。はまって、涙が出てしまった。コモンセンスの中ではかなりの良品

2001年3月13日  青山劇場  新感線
「野獣郎見参」  中島かずき・作
   1200席の青山劇場を8400円の入場料でも20日間満席にする。おそろしいな。チャンバラってかっこいいなっていう
 日本人の根っこくすぐっているのかな。迫力満点のたわいのない話しなんだけれど。

2001年3月9日  三百人劇場  昴・美醜
「火計り 四百年の肖像」  品川能正・作
   島津藩に連れられてきた陶工達がよみがえる。韓国語(字幕あり)と鹿児島弁 セットは竹林と壺が良い。
  韓国の俳優達の船上のシーン、玉山神社前の踊りのシーン など面白い。島津候の造形も面白いかな。

2001年2月21日  俳優座劇場 桐朋学園演劇専攻科卒業公演
「平成・近松・反魂香」  安田雅弘構成・演出
   山の手スタイルを 学生達が。実験途上の演技スタイルが
 よくも見えたり あきたりもしたが近松って やっぱり 面白いんだ と 思った。

2001年2月17日  新国立劇場 栗山民也・演出
「ピカドン・キジムナー」  坂手洋二・作
   栗山曰く、剛速球の社会派の坂手作品。広島・沖縄・朝鮮 合体させて家庭劇。30年前の労働演劇を思い出した。
  妹尾河童のガジュマルの木が凄い。最後は泉でなく井戸から水でしょ、そして泉が復活する。

2001年2月7日  下北沢OFF・OFFシアター 佐藤正隆事務所
「ハウィー ザ ルーキー」  マーク・オロー・作
   ねちっこい。一人芝居が前半と後半で違う役者。前半の役者が後半の役者を殴った話をし、後半の役者がその次の日を語る。
  本は面白い。好き嫌いは別。

2001年1月28日  本多劇場 オリガト・プラスティコ
「カフカズ・ディック」  ケラリーノ・サンドロヴィッチ・作
   カフカ理解には面白いのかな。カフカの遺稿の行方がミステリィタッチでさがされる。ケラだから笑いもとるし。

2001年1月17日  俳優座 俳優座劇場
「十二夜」  シェークスピア・作
   ミュージカル・ロマンチック・コメディとなって俳優座が歌を歌っている。400年も前のシェークスピアが面白いのは困ったことだ。
  もちろん歌い出しには違和感がある。マルボーリオ黄色い靴下シーンも笑える。以前見た平幹のマルボーリオも面白かったなと思い出す。

2004年 2003年 2002年 2001年 2000年 1999年 1998年


2000年
2000年に見てきたの劇のベストフォーと言ったら?

    「カリフォルニア・ドリーミン」「ミラクル」「マイ・シスター・イン・ディス・ハウス」 
    「ら抜きの殺意」かなあ?

   高校演劇以外で観た19本から5本選ぶのは大変な感じ。期待が大きければがっかりすることも多いし。

Q2000年12月13日  文学座アトリエ 文学座
「マイ・シスター・イン・ディス・ハウス」  ウェンディ・ケッセルマン・作
   ジャン・ジュネの「女中たち」を鐘下演出で見たことがあるが、こちらの方が、面白い。
  2時間、休憩なし、暗転多く、少しつらいが、緊張感は持続する。殺人の残酷さが導かれるには
  これだけの量が必要なんだな。

P2000年12月10日  本多劇場 竹中直人の会
「隠れる女」  岩村了・作
   岸田今日子の狂気の空気が、小泉今日子と竹中直人に要求されて、その中でねとねとと愛が感じられ、てな
 ことにこれはホントになってたの?

O2000年12月3日  紀伊国屋ホール 俳優座
「離れて遠く二万キロ」 山田太一・作
   南米の小国の首都。海外青年協力隊の連絡場所。俳優座の若手とベテランと山田太一で
   かっちりと討論しながら人間のにおいを出していく。きっちりとしているけれどやや並列で理屈っぽく感じたのは私だけ?

N2000年11月15日  スズナリ  鳥獣戯画
「カリフォルニア・ドリーミン」 知念正文・作
   少し泣きそうになった。世代にはまる。おもしろかった。戯画の中でかなり面白い部類の劇。旭高の竹内久美子は今回はちょい役。
   客演陣がよい。

M2000年11月1日 船橋市民文化ホール 劇団銅鑼
「ラブソング」 
他校の芸術鑑賞会。生徒はおおむね静かに見ていました。しっかりした発声、ベテランの味。
コギャルと老人ギャル で話が進む。転換がやっぱり多いので、場面の息が短い感じがする。

L2000年10月26日 四季劇場・春 劇団四季
「ライオン・キング」 
もちろん、衣装など面白いのですが。ハイエナも王を乗っ取る弟も象の墓場のセットも面白いのですが。
アニメでも感じた、この話しに対するいらだちがますます深まった感じでした。
だまされて王国を捨て、それがトラウマとなって国に帰れない過程が納得行かない。
あっさりと叔父を倒して王国をのっとるシンバに魅力を感じない。
ジャングル大帝と比べるのはひねくれてますか。

K2000年10月20日 船橋市民文化ホール
「アイ・ガット・マーマン」 宮本亜門・作
宮本亜門の話題作。でも箱が大きすぎるのか歌がこの身を包んでくれない。いい曲はあるけれどそこへ行くのに道のりが長すぎた感じになってしまう。
ミュージカルは嫌いじゃない。でも、歌詞が聞こえてこないのはなぜ?天使にラブソングのゴスペルなんてあんなに楽しかったのに。
歌手の違いなのかな。

J2000年9月19日 日生劇場 荒俣宏・作
「夢の仲蔵」 
幸四郎と染五郎 道成寺のシーンよし。歌舞伎の4つの劇中劇が面白かった 「関の扉」初めてでよくわからない。でも染五郎の踊りきれいだった。
劇中劇比べて外側はまあまあと言った感じ。

I2000年8月19日 新宿コマ劇場 再春館製薬ファミリーミュージカル
「新オズの魔法使い」
開幕前の劇場全体の舞台セット自体がわくわくする。コマの三重盆。フライング。ムービングスポット。
生のオーケストラ。文句ないはずなのだけれど、もっと求心力のある台本が欲しいな。たとえ子供ミュージカルといえど。

H2000年7月5日 船橋市民文化ホール テアトル・エコー
「ら抜きの殺意」 永井愛・作
濡れ手に粟や、ら抜きで互いを脅迫するところが面白い。でも彼のために体が狂うほど言葉をかえるのかな。
中川隆一さんの明かり良いな。

2000年6月28日 中野ザ・ポケット 鳥獣戯画
「ウィンナー・ワルツ」 智恵理丸・作
セットに布、前後する円形ステージの上に手回しの盆、良し。前半、ネズミの女王のエピソードおもしろい、でも
前半でストーリーが終わってしまった感じ。

G2000年6月9日 船橋市民文化ホール 一跡二跳
「少女と老女のポルカ」 古城十忍・作
半ばがたるい気がする。ラスト周辺は可。一緒にいった部員はまあまあ気に入ったよう。

F2000年5月22日  青山円形場 MOTHER
    「スィート・フラジャイル」 東野ひろあき・作
          そこそこ楽しめるかな。軽いのりと笑いとペーソスと。でももう一つ深くない。

E2000年5月2日  俳優座劇場 俳優座劇場子供の広場
    「雪おんな」 菊池准・作
          村、雪女、母と息子、洪水、欲、山姥とよく似ているキーワード
                 青い石のために山を丸裸にするそこ自体が少し無理かな

D2000年3月20日  二子玉川園横特設テント 鳥獣戯画+無言劇カンパニー
    「サーカス物語」 エンデ・作 知念正文・IKUO三橋 脚色
          フランス人のフランス語、空中ブランコ、つなわたり ゲストのマルセ太郎 宝塚の日向薫
          燃える契約書、マジックだけでも面白い。それが欠点を補っているのかな。

C2000年3月12日  紀伊国屋ホール 泪目銀座
    「夢から覚めても」 福島三郎・作
          夢の世界に逃げてしまった感じだと、ウェルメイドになりきれない気がするんだけれど

B2000年2月26日  新橋演舞場
    「浅草パラダイス」 
          楽の藤山直美と勘九郎のかけあいが自由はちゃめちゃ。一幕目滞る。
          渡辺えりこは商業演劇には似合わない?勘九郎に向かって「お前の芸は中途半端だ」
          という良い台詞があるのに解決されないまま終わる。そこ中心にやると面白いのになあ。

A2000年2月19日 本多劇場
「HAPPY DAYS」 鐘下辰男・作
        美術良し。一幕目 冗長。二幕目、しまっている。
       ケラの演出の部分がちょこちょこと現れる鐘下の世界。

@2000年2月6日 東京芸術劇場中ホール フォーリーズ
「ミラクル」 辻仁成・原作
             何故か お父さん役の鶴見辰吾の歌で泣いてしまいました。
        コーラス部分はなんとも思わなかったけれど ソロ・デュエットなどいくつかしみた。

2004年 2003年 2002年 2001年 2000年 1999年 1998年


1999年

1999年に見てきたのベストファイブと言ったら?
    「きらめく星座」「赤鬼」「アリアリ」「エレジー」「イーハトーブの劇列車」かなあ?
   順位はつけられませんです。

1999年12月15日  新橋演舞場
    「花あかり」 
          藤山直美を中心としたいわゆる商業演劇。落としどころも良くわかる。でもあの転換、何とかならないのかな。
         営業上の理由で休憩があるのはみとめるけれど。

1999年12月3日  シアターコクーン  
    「パンドラの鐘」 野田秀樹・作 蜷川幸雄・演出
          劇場に入って、やられた。と思うセット。序盤は興奮。でもそのうち重く感じるように
         なったのは、私がひねているから?

1999年11月30日  習志野文化ホール  あっぷす
    「ザ・ウィンズ・オブ・ゴッド」 今井雅之・作
          旭の芸術鑑賞会。前半の漫才で生徒はつかまって、中盤の静かな部分でやや私語が出て、
         後半の特攻部分で泣いた生徒も居ました。私自身はもう何度も見ている劇なのでなんとも。

1999年11月8日  スズナリ  鳥獣戯画
    「お母さんはフランケンシュタイン」 知念正文・作
          前半の幼児虐待のシーン、おもしろかった。戯画の中でかなり面白い部類の劇。旭高の竹内久美子は
         石丸有里子の娘役で登場

1999年10月27日 安田生命ホール 一条静子リサイタル
「とおぬっぷ(遠野)語り歌U 水の章」
一人オペラだけど、演劇的。岩手の言葉って音楽になるなあ。
一人であれだけの表現 見習いたい。

1999年10月13日 船橋市民文化ホール こまつ座
「きらめく星座」 井上ひさし・作

前回の夏木マリ・すまけい 紀伊国屋も見たけれど 今回も良い。しみる。
客席も良くのって。紀伊国屋よりずっと大きな間口の文化ホール
でも 石井強司さんのセットも良いな。


1999年9月24日 シアタートラム 日タイ現代演劇共同制作プロジェクト
「赤鬼」 野田秀樹・作

タイ語での公演、日本語イヤホンガイドで。いや、面白かった。大変な刺激。明日から稽古が変わるかな。

1999年8月14日 紀伊国屋サザンシアター 木山事務所
ミュージカル「はだしのゲン」

ストレートで飲み込みやすかった。言葉の通じないニューヨークでスタンディング・オベレーションというのも
なんとなくわかる。でも、このタイプで一番参ったのは「この子たちの夏」かな。


1999年7月16日 船橋市民文化ホール 
「アリアリ」

ちょっと飽きるところもあるけれど、なかなか でした。2回ほど涙。


1999年7月2日 船橋市民文化ホール エイコーン
「欲望という名の電車」 テネシー・ウィリアムズ・作

栗原小巻のブランチ 杉村春子 東恵美子 と 3人見てきたが
今回は、かなり笑いをとる。船橋の客が笑いすぎるのか。
テネシーウィリアムズとちょっと違ったイメージ感じたけれど。


1999年7月1日 中野ザ・ポケット 鳥獣戯画
「豆の木になれなかった豆」 智恵理丸・作

プークより少し大きい劇場へ。セットに布、良し。衣装はかわいい。
ストーリーは弱いかな。主役に竹内久美子、一歩前進、でも
エピソード不足。

1999年6月2日 船橋市民文化ホール 幹の会+リリック
「十二夜」 シェイクスピア・作

平幹のマルヴォーリオ、他の役者がしゃべり切れてなかったのか第一幕はやや退屈。
二幕は客も乗って笑いが起きた。
今回は仕込みも手伝いました。  

1999年5月25日 紀伊国屋サザンシアター 文学座 
 「北の阿修羅は生きているか」 鐘下辰男作

 ちょっと、だれるようなところもあったけれど 面白かった。照明も演出もよし。
過去から現在へ、また過去へ、時の変化がよし。



1999年5月21日 風 レバートリイシアター 風 
 「ヘレン・ケラー ひびきあうものたち」 

 ヘレン・ケラーのお芝居なので行きました。スタジオをもてるということはいい。
ヘレンとサリバンの格闘はそれなりに面白い。でも全体が理屈っぽい言葉で進むのに
苦しかったのは、同じ芝居をやっていて、演出の立場で見てしまうから?


1999年5月17日 世田谷パブリックシアター 遊園地再生事業団 
 「おはようと、その他の伝言」 宮沢彰夫・作

 初めてのパブリックシアター、面白い劇場ですね。劇は浮遊?セットは無限の停滞?


1999年5月1日 東京芸術劇場 フィーバー・ドラゴン 
 「五人の魔女の物語」 黒蛇

 二和と東海大浦安のOBが中心になってつくった劇団。今回はその本公演とは空気を
変えた海賊版公演とか。へたなギャグでは死にました。ダンスと音と劇場の使い回しで
持たせました。回転寿司の話は良し。そのエピソードに本筋が勝てない感じ。


1999年4月22日 新橋演舞場 スーパー歌舞伎
 「新・三国志」 横内健介
      単純な夢 いかにも 横内 でも やはり 見てしまう 商業演劇の強さかな
       亀じろうがいい 楽しそう

1999年4月19日  俳優座劇場  俳優座劇場プロデュース
  「小さき神の作りし子ら」 マーク・メドゥフ
          むずかしい劇ですね。本も読んだし「愛は静けさの中で」も見たし、石井強司さんのセットも
         さすが。ろうの大橋さんも素敵。本で理解していたときの方が迫力を感じたのですが。
         五体不満足を最近読んで、ヘレン・ケラーのことをもう一度考えていて、もしかして、
         障害を持つ事が つらい イメージが つくのは 今は違うのかな とも 思ったりしました。
         千葉ろう劇団の植野会長さんと席が近かったので、少し、お話しできたのですが、劇中に出てきた
         弁護士が「ご機嫌いかが」と手話でやると客席から笑いが出る。それと、同じ自分で 情けなくなりました。
         うー、もっと 手話出来るようになりたいな。

1999年4月18日  本多劇場  鳥獣戯画
    「桜姫恋振袖」 知念正文・作
          県立船橋旭高校の去年の卒業生 竹内久美子も 石丸有里子の弟役で登場
          というわけで 最近旭の追っかけ親部隊が 戯画についています。
          2時間あまり休憩なし 孫福さんのセット が 勉強になりましたが もうひとつかな

1999年3月4日 紀伊国屋サザンシアター 木冬社
 「エレジー」 清水邦夫・作
           さすがです。1幕でもう参ってしまいました。脚本書かなきゃ
         なんていってる自分がバカみたいです。
    
1999年2月26日 スズナリ THEガジラ
「女中たち」 ジャン・ジュネ・作
        3人芝居。島さんのセットと中川さんの明かりが魅力的
        芝居の中身はちょっと難しいかな。存在の不安とでもまとめればいいのかな。

1999年2月24日 船橋市民文化ホール 楽市楽座
「枯れすすき」
            日色ともえが、面白い。芸達者がしっとりとお芝居してる。
            でも、暗転の長い芝居は、もうつらいな。

1999年2月20日 紀伊国屋ホール こまつ座
「イーハトーブの劇列車」 井上ひさし
             宮沢賢治の村田が大きくて、米を何俵でもかつげそう。
            でも、佐藤慶の宗教論争面白い。20年前の初演が懐かしかった。


1998年

1998年12月26日 日生劇場 松竹
「アマデウス」 ピーター・シェーファー
              幸四郎はいいな。染五郎はもう少しかな。日生はちょっと
             大きいから、声の通りが今ひとつ。でも、いい。

1998年12月5日 シアターアプル STEPS
「サクセス」 横山由和
              もう一息のミュージカルと思うけれど、でもいいかな。

1998年12月2日 四街道市民センター  あすなろ
「イエスタディ」
              千葉黎明高校の芸術鑑賞会 まじめなAIDSの教育劇
              生徒は最後まで見ていた。

1998年12月1日 習志野文化ホール アップス
 「ウィンズ オブ ゴッド」 今井雅之・作
              薬園台高校の芸術鑑賞会 生徒はよく集中し笑っていた。
              何度も高校演劇のものもエルカンパニーのものも見てきたので個人的には感銘なし
              まじめで良くやっている。

1998年10月27日 スズナリ 鳥獣戯画
「ガリバーがいっぱい」 知念正文・作
               嫌いなタイプの芝居ではないけれど、エピソードがまだまだかな

1998年10月19日 朝日生命ホール 青年劇場
 「17才のオルゴール」 秋元
               原作の町田知子さんもいらしてました。劇の出来は、八千代松陰の素直さの方がいいかな?

1998年10月16日 増上寺特設ステージ 青年劇場
 「鮮やかな朝」
山の手事情社
 「ゼウスガーデン衰亡史」
         雨中での野外公演となりました。レインコートに身をくるんで。増上寺と東京タワーを借景で。

1998年10月6日 柏市民会館   
 「ブラボー ファーブル先生」 平石耕一作東京芸術座
           市立柏高校の芸術鑑賞会 生徒はとても静かに見ていました。

1998年8月29日 シアターX 無言劇カンパニー+鳥獣戯画
「モダン・ダモン」 
            習志野文化ホール 青年劇場
「愛が聞こえます」 平石耕一
  内容的にはまずまずと思うけれど、暗転が長いな
              セット2場面転換のリズムなんとかならないかな。

1998年8月5日 船橋市民文化ホール こまつ座
「人間合格」井上ひさし・作
やっぱり手本になるな。

1998年7月14日 俳優座劇場 フォーリーズ
 「偽原始人」井上ひさし
 まだまだかな

1998年7月5日 スペース・ゼロ スタジオ・ライフ
「訪問者」
         ちょっと面白かった。客層も女の子ばっかりで一瞬どきどき

        前進座劇場 STEPS
 「0/30」 横山
         つめがちょっとあまいかな。

1998年7月3日 プーク 鳥獣戯画
 「ずっぴょん」
        身内が初舞台、ちょっとどきどき

1998年6月 本多劇場 加藤健一事務所
 「トーチソング・トリロジー」
        面白かった、でも、やはりアメリカの話は距離感を感じてしまう。

1998年5月18日 紀伊国屋サザン 文学座 
「THE BOYS」
                 面白かった。暗転もあまり気にならず。
                 セット・明かり良し。

1998年5月17日 船橋市民文化ホール 東京演劇アンサンブル
 「奇跡の人」 ウィリアム・ギブソン
                 暗転多すぎて、気分が切れる感じがした。静かすぎるのかな。
                 セットきれい。でもバルコニーは?

1998年4月  本多劇場  鳥獣戯画    
「好色五人女」 知念正文
    

1998年3月  ナイロン100℃ 本多劇場 
「ガンビーズ大爆発」 ケラリーノ・サンドロビッチ
   面白かった。

1998年3月  鳥獣戯画    
「トリッピング・ミスター・じじい」 知念正文・作
   もう一つ。

1998年3月  一跡二跳    青山円形劇場  
「平面になる」 古城十忍
    なにか理屈っぽく感じた

1998年2月  民芸       紀伊国屋サザン 
「どちらの側につくか」
   

1998年2月  青年団     スズナリ 
「東京ノート」 平田オリザ作
    スズナリ、熱かった。

1998年2月  俳優座     俳優座 
「ロミオとジュリエット」
    中途半端かな

1998年2月  俳優座プロデュース 俳優座 
「いぬもあるけばぼうにあたる」 別役実
    別役、私には難しい。
2004年 2003年 2002年 2001年 2000年 1999年 1998年

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