2015年
2015−7−13 「漁港の肉子ちゃん」 西加奈子 ☆☆☆
はじめはどこに行っちゃうんだろう、と、のんびり読んでいたら、最後の方になってぐちゃぐちゃに泣いてしまった。
北陸の小さな漁港の肉屋で働く母、151p 67.4s で 憩い、むなしー やでと笑い飛ばす38才の母を、
胸もぺたんこで大人になれない小学校5年生のきくりんが、あああ、と思いながら観察していく。
三人の老人の幽霊が居る漁港、でも、人は、ここを去らず、浮気相手も元カノも、殴った相手も殴られた女も、
祭りには全員が集まって大騒ぎ。小学校女子の、さもさもの離反と集合から、べろべろと人の顔をなめる男の子、
動物の声が聞こえるキクリン。ああ、そんなね、と読んでいくといきなり全てがつながって、おおお。
そう小説ってこんなふうに結末から構成していくんだとただただ恐れ入ってしまった。
2011年
2011−3 「新釈遠野物語」 井上ひさし ☆
おもしろい。色っぽい。どんでん返しあり。楽しい。
2008年
2008−8 「ハリーポッターと死の秘宝」 J.K.ローリング ☆
上下二巻、一気に読んでふらふら。6巻から2年以上たっているのですっかり忘れていて、あれ?いつダンブルドアって死んだんだっけ?
などなど、詳細全く思い出せず、それでも、ぐいぐい進めさせてしまうのはすごいな。
ハリーとヴォルデモートのつながりがますます密接になり、ダンブルドアとセブルスの秘密がすべてをつなげていく。
1999年の賢者の石を書く前からこの構想があったというのが、この作品の特徴になるのかな。
え、でもどうして、最後ヴォルデモートは消えるだったっけ。読み終わった後からすぐまた忘れちゃう。
映画は2011年、前編と後編に別れるって言うし、うーん。
2008−5 「地下鉄にのって」 浅田次郎 ☆
古い洋館の話からふっと引きつけられた。セクシャルな話も適度でミステリアス。父親の影がどんどんかっこよくなる。
飽きることなく一気に読んだ。さて、このタイムスリップの結末は……。途中からそんな気がしたけれどやっぱりそうかと。
落ちを聞いてしまうと、タイムスリップものはやっぱりいやだな。
2008−3 「鳥の物語」 中勘助 ☆
雁の話から読んだ。いやあ漢字を読み分けるのが大変。この文体で大陸の上を飛ぶのが感じられるからすごい。
WATARIDORIみたい。鳥の観察をしながら人間の皮肉な生き方を書くのが目的。
生け贄を求める雉子の話。男のいやらしさと女の強さを書いた鵜の話。宙返りをする白鳥の話。
どこかに引っかけておいて組み合わせてネタに出来たらなあ。
2008−1 「佐川君からの手紙」 唐十郎 ☆☆
フランスで日本人留学生が女性を殺しその肉を食べた。それを映画化しようとした唐の元に刑務所の青年から手紙が届く。
唐はこの事件を自分の祖母と重ね合わせていく。イメージの世界を広げていく前半は、苦労したけれど、k・オハラが登場してくる
後半にはいると一気に読める。現実に起きた事件から一気に唐の世界に飛び込むからだろうか。
不在のミステリーとともに、おおとか思う。
2007年
2007−9 「光の痕跡」 高木馨 大樹舎
都立青山校から早大・文化座とすすんだ先輩が書いた小説。
私小説?フィクション?とにかく、懐かしく、早稲田の大隈講堂に先輩の劇を見に行ったことを思い出した。
演劇をやめ、社会復帰し、会社をかわり、トライアスロンを始め、小説を書いた。先輩の父の生き様、画家として期待されながら
食うためだけに挿絵など描いていた父。心斎橋あたりのお嬢様から孤独な中で育ってきた母。精神を病んだ妹。それぞれの生き様が
陶器を焼く竈の火の中にあらわれてくる。父のことも母のことも同世代。地名もなじみのものばかり。先輩、そうだったんですか?
と、ききながら、読んだ。一人一人をたて、焔でまとめた。
2007−8 「博士の愛した公式」 小川洋子 新潮社 ☆
若い家政婦とその子供と、80分しか記憶が持たない博士。青年劇場の芝居を先に見てしまったので
今回はそれをなぞるような感覚になった。あの台本はここをとってるんだ。空気はそっくりだなとか、思いながら。
数式が空間に浮かんでくる、真理の深さを持って。不思議な感覚を味わえた。
2007−8 「青い鳥」 重松清 新潮社 ☆☆
きよしこから、吃音が大きく表面に現れてくる。今回は中学校の非常勤講師。吃音の国語の村内先生。
しゃべれないから大切なことだけを話す。そばにいる。ひとりぼっちじゃない。の言葉を中心に、重松ワールドが
はじまっていく。初登場の第一話から、卒業生が新しい命を得る最終話・カッコウの卵まで。時に草野心平の詩をかりながら、
こんな先生いたらいいな。いるわけないじゃん。でもほしいじゃん。と思わせる。短編集をまとめて、最後にその集大成を持ってくる。
ずるいな。たった20日間ふれあっただけの男が、
2007−8 「残虐記」 桐野夏生 新潮文庫
16歳でデビューした女流作家は1年間誘拐監禁されていた少女だった。
心の狭間に?ちょっとバスに長く乗って隣の市まで行った少女は鉄工所の少年に拉致され監禁される。
22年後、男は釈放され、35歳の作家に手紙を書く。あなたを監禁した自分をゆるさないけれど、先生も許さない。この結びの言葉に
作家は、原稿を書き始める。自分のそのときの家庭、男との監禁生活。虐待に続く、アンバランスな交流?
想像と解明される事実でつぎつぎと新しい状況が生まれてくる。
2007−7 「くちぶえ番長」 重松清 新潮文庫
子供励まし痛快思い出と言ったところ。
2007−7 「きよしこ」 重松清 新潮文庫 ☆
重松清の個人的小説。吃音。しゃべれないからこそ、そだった何か。しゃべれないからこそ見えてくる人々。
きよしこと言う少年は第一章だけ。乗り換え案内。どんぐりのこころ。ゲルマ。北風ぴゅうた。時に泣きながら、
ずるいよ。重松だよ、と思いながら。
2006年
2006−5 「その日のまえに」 重松清 文芸春秋社 ☆☆☆☆
泣いた泣いた泣いた、涙が止まらないで泣きながら読んだ。短編集と思い読んでいったら最後につなげられて
第一話から泣いたところが再び浮かび上がり、はめられて、またないた。
2006−5 「ハリーポッターと謎のプリンス」 J.K.ローリング ☆
上巻の始めの頃は、うーんとか思っちゃうけれど、後半に行くにつれてはまっちゃうんだよな。
前半の巻を読み直さないとわからなくなってきた
2004年
2004−10 「空中ブランコ」 ☆ 奥田英朗 文藝春秋 ☆
笑っちゃう ブランコでひょいと首を曲げる 心の中で歌をうたうやくざ ヅラの死闘 短編集
最後の方はそれこそパターン化でちょいあきたけど 最初の三本 笑った
2004−10 「ハリーポッターと不死鳥の騎士団」 ☆
たしかに指輪物語の壮大なスケールとは違うのだけれど、はまってしまう。魔法省、マンゴ病院の世界にはまり、騎士団の謎、スネイプ先生の謎は残されたまま。アンブリッジ先生のような悪役を描ける所がすごい。
2004−8
「Deep Love」 yoshi
これで、女子高生がわかる。?。なのかな。事実だけを並べ立てて、要素をならべたてて、そのまま。
そんな一面だけで、と、人の事は言えないけれど。
2004−5
「蹴りたい背中」 綿矢りさ(河出書房)
何か似ていると思ったらリリイシュシュ。ライブで終わるのが同じ。時代の空気が似ている?
けれどずっとけだるい。桐野夏生のリアルとも語り手と似ている。けれどもっとありふれたまま。
けだるいけど、蹴りたくなるような背中をもった男の子を、蹴りたい衝動がほほえましくさせるのか。
2004−5
「赤い鹿の伝説」 さねとうあきら(花伝社)
エゾと和人の間に生まれた子どもが京で坊主となり盗賊となり。エゾは北海道にあらず、東北、ベースはアテルイ。
2004−5
新版「シルマリルの物語」 J.R.R.トールキン 田中明子訳(評論社) ☆
指輪物語の疑問がここですべてつながる。エルフ達がどうして消えなければならなかったのかも。
ホビットの冒険でガンダルフが南にいっていたのも、ここでやっとその理由がわかる。
ホビットの冒険が発表され指輪物語が書かれ、ついに、創世記からが書かれた。そしてそれがすべてつながってくる。
まあ、なんと、壮大な構想の事。トールキンの手紙にある、神話も教えが見えてしまうと浅くなる、だから教えが見えないように、という
心がけ見習わなくては。
2004−4
「ホビットの冒険」 上下 J.R.R.トールキン 瀬田貞二訳(岩波少年文庫) ☆
指輪物語が書かれる元になったファンタジー。指輪物語の設定は恐ろしい体がないサウロンを倒すために
そのお膝元に指輪を投げ入れるという強烈な設定がある。それと比べるとのんびり。主人公達に絶対の善者が居ない。
欲望にかられ判断力を失っていく。それとともに、平凡なわがままなホビットが、裏切られても困難にあっても一番とらなければならない道を
探し求め、成し遂げるのは同じ。
2004−2〜3
「ビデオで世界を変えよう」津野敬子(草思社)
前半はニューヨークの下町に1人乗り込んだ女の子の彼氏と仕事を得ていくサクセスストーリー。
中半からはどんな被写体をどう撮っていたか。「あの人にわたせ」の原型となった番組も彼女と彼女の夫の
仕事かもしれない。
「指輪物語」 トールキン(評論社) 「中つ国の地図」を見ながら これ必携
「王の帰還」 ☆☆
長い物語も終わった。終わりが近づくにつれ寂しささえ。指輪をもつ重荷。これだけの長編ながら
さらにその前の古き時代、後に続くだろう時代を思わせ、物語一部しか読んでいない感覚にさせられる。
映画はいきなり、結婚したり、いきなり船出したりと戦争シーン以外では本当に割愛しすぎとも思う。
「二つの塔」 ☆☆
ますます面白くなってくる。映画との違いもくっきりと。映画のオークはただの外見上の悪者。
原作ではアイゼンガルトのオークとモルグルのオークが人間くさく争っている。ミナスモルグルとキリスウンゴルの
オークの争いも面白い。
「旅の仲間」 ☆
映画を見てしまってからだが、読み始めたら飽きない。拡大した各種の地図を片手に、
第10巻の辞書・索引を片手に、その構築していく世界の壮大さにあきれながら、映画の各場面を
思い浮かべる。
2004−2 吉村晃自薦作品集十一巻より
「海馬」 吉村晃・作 (新潮社) ☆
短編。元トドうちの老漁師。捨てて逃げた妻。さらに娘。傷ついた娘と、頑固な父、の思いが、ハンターの
自分の前で繰り広げられる。海の漁と親子が絡んでくるとこの人の話はまとまって、切れてくる。
「海の鼠」 吉村晃・作 (新潮社) 110頁
まるでプロジェクトX。どう鼠と戦うかだけが浮かび上がって長い。人間が対立しない話は面白くない。
「羆嵐」 吉村晃・作 (新潮社) 111頁 ☆☆
留萌の近く開墾地、もう、はじめから羆が出てくる予感でどきどきする。馬の騒ぎ。石屋の帰り道。雪の乱れ。
通夜の夜。女の体。開拓村の土から浮いた位置。持っているお金を全て投げても向かっていく区長。
酔っぱらい嫌われ者の銀四郎。きらびやかに制服を着た巡査長が、おびえてしかも戦っていく姿。
実話から立ち上げた話だということだが、そこに登場する人々の息づかいまでが聞こえてくる。
この本の中では一番の長編。一直線で怖くて、羆が生き生きと立ち現れる。なんでこの人こんなに
人が食われる場面を描くのがすごいんだろ。夜、寝られなくなりそう。
「魚影の群れ」 吉村晃・作 (新潮社) 56頁 ☆
老人と海のようなマグロ漁、けれどある瞬間から劇的に変わる。その描写は激しく脳裏に焼き付いた。
夜、寝られなくなるぐらい。登場人物は妻に逃げられてかたくなになったベテラン漁師。変骨な父を支える娘。
その婚約者の都会者の漁師希望の青年。世話焼きの漁師の叔父。この四人の濃厚な人間関係が津軽海峡の海に
浮かび上がる。
「羆」 吉村晃・作 (新潮社) 34頁
妻の朱色の肌、殺害の様子など、独特だと思うけれど、羆の話は他でも豊富で珍しくはない。
羆と主人公としか書かれてないから物足りないのか
「ハタハタ」 吉村晃・作 (新潮社) 52頁 ☆
ニュースで漁師が遭難したのにハタハタ漁を続けた村の話を聞いて、取材に赴いて書いたという作者のコメントがある。
遺体を回収せずにハタハタ漁をした事実も確かにすごいのだが、それを遭難した漁師の小さな息子の視線から
書いていく力にどきどきする。灰色の雲に覆われた、冷たい岬が見えてくる。ハタハタが来るかどうかの緊張。嵐。遭難。
ハタハタがくる。出漁の決定。村人に疎外されたまま祖父を焼く。豊漁の村のわき上がって抑えが効かなくなった中、
父の遺体、緑の固まりが発見され、浮き上がった人々の無理のない浮いた会話の中で、父が焼かれる。
そして、母の乳を飲む遭難後に生まれた赤子。
おもしろい。だから、どうだなんてなにもいえないが、少年や母、村人達がくっきり冬景色と共に、心に焼き付く。
2003年
今年読んだ中でおもしろかった5冊は?
「itと呼ばれた子」「不良少年の夢」「稲の旋律」「永遠の出口」 「リアル・ワールド」
2003−12 「楽園のつくりかた」
笹生葉子・作 (講談社)
父方のおじいちゃんの、家に突然引っ越す。すごい田舎で小中が一緒になった分校には
主人公優君(ここがなんとも……)含めて二年が四人。そのうち二人が山村留学生。
まだらぼけのじいちゃんと、町のヤンキー三人組、
わがまま風にすすんでいくうちにどんでん返しもあって、楽しめるようになっては
いるのだが、なにか都合の良い事の集大成と言った雰囲気。う、これが、ピアノトマトとかぶるのか
2003−11 「itと呼ばれた子」 第三部
デイブ・ペルザー・作 (ヴィレッジ・ブックス)
読み終わって随分立っても最初のプロローグですっかり思い出せる。
母と対決する事、解決しないまま終わる事、それがいい。
三部は、一部と二部をどう書いたかの解説が後半部分。なくてもいいかとおもうけど。
2003−10 「<私>はなぜカウンセリングを受けたのか」
東ちづる・著(マガジンハウス)
カウンセリングの中ってこうなって居るんだ、でもそれはリアルタイムで見てみないと
深い所はわからない。「いい子」で居た事が傷になる。母もそのまた母から傷を負っている。
自分を他人の評価から作るのではなく、自分を認める事。
わかりやすいけれどとっても難しい概念で、その戦いもその文も難しく感じた。
2003−10 「ひきこもりなんか したくなかった」
林尚美・作(草思社)
やわらかい文。学校・精神科・そして父母そこにどう傷を負ったのか。
訴えない分、しみてくる。
2003−9 「社会的引きこもり おわらない思春期」
齋藤環・作(PHP新書)
前半は引きこもりの精神科としての分析。中程に、実例をフィクションとして構成。
後半は再び解説。 中程のフィクション部分が面白い。アンダーラインをひきながら読んだ。
2003−8 「よみがえる学校」
・作 ()
北星余市高校を取材しているディレクターが書いた本。
なるほどと思う。でも、深さで行けば映像にも、義家の本にもかなわない。
2003−8 「itと呼ばれた子」 第一部・第二部 ☆☆
デイブ・ペルザー・作 (ヴィレッジ・ブックス)
こんなむごい事があるんだと思いつつ、読むのがいやにならない。母に虐待されながら
しっかりと生き抜こうとしている、その姿が爽快感すら呼んでいるのかもしれない。
不思議。それにしても母は何故、虐待を始めたのだろう。第三部はまた後日読む事にする。
2003−8 「不良少年の夢」 ☆
義家弘介・作 (光文社)
ヤンキー母校に帰る の 本人 義家先生の 自伝
本人が語るだけに 暴力沙汰は すごい 人間の現実にある恐ろしさもすごい
それだけの事があって あの卒業式があるのだ
2003−8 「かっぽん屋」
重松清・作 (角川文庫)
短編集。A面とB面という編集。A面が少年時代。B面がサラリーマン時代と
いっていいのかな。重松清のインタビューものっている。なるほどこういう具合に
仕事していたのかと、いった感じ。
2003−8 「稲の旋律」 ☆☆
旭爪あかね・作、(新日本出版)
あいたペットボトルに封筒をさいて作ったSOSをいれて田んぼに浮かべる。
会社を首になったひきこもりの女性が何故千葉の千葉の銚子に近い水田にいたのか。
手紙のやりとりだけで、想いが事件が人柄が伝わってくる。
育つ力。
減反、有機農業、固い部分に説教臭さもあるけれど、なんども泣いてしまった。
おもわずゴルトベルク変奏曲も買ってしまった。
2003−8 「次郎物語」 第一部〜第三部
下村湖人・作、(偕成社文庫)
三部まで一気に読んだ。優れていると思えるのは確かに第一部。
以後、説教臭さがどんどん大きくなる。実話だと思える、里子、乳母、
母の死、没落、両家の良さ、それらが実際に受けたものの筆ですすむ。
それが、よい。
2003−8 「クレーン男」
ライナー・チムニク・作、(パロル舎)
強引に気が長く、男は、クレーンを動かし続ける。ワシとの日々はこの作者のロマンなのか。
2003−8 「タイコたたきの夢」
ライナー・チムニク・作、(パロル舎)
ゆこうどこかにあるはずだ 良い国 良い暮らし の言葉のもとにでていく、男達。
すごい、矛盾した思いをわくわくと、ゆさぶることばなのに、書評で得ていた評判通り
の事を感じなかった。そうだろう。そうだよな。絵が面白いなといった。
2003−7 「中国・17C 動乱に生きた少女」
しかたしん・作、徳田秀雄・絵(ポプラ社
国姓爺合戦の鄭成功にあこがれる少女を主人公にして、復讐、そして戦争に勝つ、
それは経済を基盤としなければならない事、武器がエスカレートする事を描いていく。
少女の恋心や焼き餅を、和み材として、子どもにわかりやすく、ダイナミックな海戦を描いていく。
しかし戦争のリアリテイの中に、子どもの恋心や体型に対するコンプレックスが入り込む余地があるのか
と、児童むけの説明くささが鼻につく。もっと生臭くてもいいのじゃないかな。
2003−6 「薔薇盗人」 浅田次郎
表題作を最後に持ってきた短編集。でも、世の中、不倫と出世しかないの?
2003−5 「永遠の出口」 森絵都 ☆
小学校のお誕生会・快速電車の冒険・中学での葡萄酒からのあれ・高校での失恋
進路未定組……主人公が右に曲がり左に曲がりながら、年をとっていく。
そこが面白い。中学、大平光代に似る。
2003−3 「リアル・ワールド」 桐野夏生 ☆
母親殺しの高校生ってこんなもの?女子高生ってこんなもの?と思いつつ
後半は 一気に読んた。ひとりひとりにこんなドラマがあるかもしれない。
生の世界に、とびこんでみたいなともおもう。
2003−1 「ハリーポッターと炎のゴブレット」 ☆
またもはまってしまった。電車の中ででっかい人見ると「あ、ハグリッドがいる!」などと叫んでしまう。
映画で「秘密の部屋」を見た直後だけにイメージが全部、映画通りになった。くやしい。かつわかりやすかった。
映画と本の大きな違い。
映画ではハリーをこういうヤツだと、思ってみるが、本を読んでいる時は自分がハリーになっている。
この参加する臨場感が違う。
2002年
今年読んだ中でおもしろかった5冊は?
「見張り塔からずっと」 「賢者のおくりもの」「カラフル」 「チャリンコライダー」 「あらしの夜に」
2002−9〜12
「二つの国の物語」 赤木由子 理論社
満州。「花いちもんめ」の時につかんだ大陸での出来事。「朱夏」では興奮した事が、この本では
興奮できない。八路軍の書き方が今の考えと違ってきてしまってそこがいちいち引っかかってしまう。
ソ連・北朝鮮・東欧・文化大革命、と、一方的な正義が成り立たない世界を見ていて、八路軍だけが正しい
的な文学はきつい。
「パレスチナ」 広川隆一 岩波新書
占領・自爆テロ・報復、その輪廻がいつまでも続く。解決不可能と思えてしまう。
2002−8
「パレスチナが見たい」 森沢典子 TBSブリタニカ
保母さんが今年の3月に3週間一人で観光旅行としてパレスチナに入った。
ジェニン・ガザ アラブの人達とイスラエルの人達の今年の春の様がわかる。
このような本を探そうとすると今、本屋に本がない。朝日ジャーナルもアエラも
世界情勢に触れられる本が一冊もないなんて、一体どうなるんだろ。
2002−7
新美南吉のごんぎつね(岩波少年文庫)から
「花のき村と盗人たち」 いいなこんなのんきな話
「おじいさんのランプ」 人の思いに触れる
「牛をつないだつばきの木」 日露の兵隊さんね
絵本から「10羽のインコ」これ、いい。絵がいい。かわいい。おすすめ。
「花さき山」やっぱり名作だな。いいことをしたことだけどこかで花を咲かせている。いいな。
「龍の子太郎」 松谷みよ子 講談社
まだ読んでいなかった。または忘れていたのか。うさぎやねずみやうり坊が笛をきくのは楽しい。
でも、鬼とはなんだろう。自然の災害が鬼。昔の人間にとってひでりや水害はたしかに悪だった。
それゆえに、それを退治する発想が生まれる。治水、開拓が自然から奪い取った人間の勝利だ。
その観点で龍の子太郎が活躍する。母を思い人々を思い、大きな湖を干あげて、山を切り崩し、
平らな水田地帯に換えてしまう。自然を壊したことによってしっぺ返しをうけている現在と、自然にもまれながら
細々と暮らしていた伝説が生まれる時代との差が、この無邪気な話を苦い話に変えてしまっている。
「ナージャとりゅうおう」 唐 亜明 講談社
時代、痛快なやんややんやの喝采を浴びそうなこの絵本も、りゅうが何を著すかで残虐で陰惨な話に変わる。
龍が権力を象徴するなら庶民の味方、すごいすごい。ただナージャが将軍の息子だから、わからなくなる。海で暴れて
鬼を殺し、竜王のむすこまで殺し、怒った竜王が高波で攻めてきた時、自分の首を切って命を捧げ、国を守る。
魂は仙人によって再び体躯を与えられ、竜王をやっつける。このもの知らずのスーパースター、野放しにしていいの?
2002−7 「リヴァイアサン」 ポール・オースター 新潮社
今、人からきいて理解したことが事実だけが残って、180度変わってしまう。その繰り返しの中に爆死した男と
それに関わった私と女たちの記録がつづられていく。時に狂おしく、時に推理小説のように。